お祝いをする前に「還暦」を正しく理解しよう
還暦というのは、実年齢で60歳を迎えることです。60歳になる年の誕生日がきて、満60歳になった時に還暦を迎えたということになります。還暦のお祝いは、60歳の誕生日や、家族が集まりやすい前後の休日などに行われることが多いようです。
プレゼントには赤いちゃんちゃんこを贈ることが定番となっていましたが、昨今ではあまり喜ばれていないようです。赤色は、魔除けや厄払いの意味を持つので赤にちなんだものを贈るという方が多いですが、厳密な決まりはありません。
実年齢と数え年の違いってなんだろう?
日本の伝統的な暦、干支は別名十干十二支といいます。10種類の「干」と12種類の「支」を組み合わせ、「乙未」や「丙午」というように呼ばれます。その組み合わせが全部で60通りあり、生まれた年の干支がもう一度巡ってくるのは60年後になります。干支が一巡してもとの暦に還ることから「還暦」といい、もう一度生まれたときに戻る、新たな人生の始まりとしてお祝いするのです。
■実年齢とは?
今現在のあなたの年齢は、「実年齢」と呼ばれる年です。生まれた時は0歳で、初めての誕生日を迎えた時に1歳になりますよね。そして毎年1歳ずつ年が増えていきます。このように、生まれた日から何年経ったかで年を数えるのが実年齢です。普段あなたがいろいろな場面で答えている年齢のことで、満年齢とも言います。
■数え年とは?
世界的に見ても、もともと「0」という概念は存在しませんでした。元号でも学年でも0年や0年生というのはありませんよね。始まりは「1」であり、数え年では生まれた時が1歳となり、以後、誕生日ではなく新しい年を迎えるごとに年齢が増えます。12/31に生まれた場合、数え年だと翌日に2歳になるということになります。
これは、仏教の考えにあるという説もあります。仏教では、お母さんのお腹で誕生した時から命をいただいたと考えるからです。つまり胎内にいる間が0歳ということになります。命の始まりを大切にする、日本古来の温かい考え方ですね。
■還暦は「実年齢」ほかの長寿祝いは「数え年」で覚えよう♪
還暦は干支が一巡して元に還るということですので、生まれた年の干支が関係します。そのため数えではなく実年齢で数え、満60歳を迎えた時にお祝いをします。その他の長寿のお祝いは干支は関係ありません。満年齢が登場する戦前に生まれた賀寿の考えですので、数え年の年齢でお祝いすると覚えましょう。
還暦祝いを成功に導く5つの重要ポイント
■ポイント①お祝いのプレゼントの相場は約1~3万円
両親や祖父母、叔父さん叔母さん、上司や義母など、還暦を迎えた人との関係性によってプレゼントの金額の相場は変わり、近しい間柄の方が金額は高額となる場合が多いです。
また、お祝いを渡す人の年齢にもよりますので、還暦に贈るプレゼントの予算は1~3万円と幅がある設定になっています。高価なものを贈ろうとお考えの方は、数名でお金を出し合ってプレゼントしても良いでしょう。
■ポイント②贈り物には熨斗(のし)をつける
還暦に限らず、長寿のお祝いのプレゼントには必ずのしをつけましょう。水引は紅白の蝶結びを使います。のしの上段には「祝還暦」と書き、下段に縦書きで贈る側の名前をフルネームで記入。合同で渡す贈り物の場合は、連名で書いたり、子供一同・孫一同などと書くようにしましょう。夫婦連名の場合は夫の氏名の左横に妻の名前を書きます。
■ポイント③実用的なプレゼントが喜ばれる♪
還暦のプレゼントには、メモリアルグッズや赤にちなんだアクセサリー、ファッションアイテムなどがおすすめ。中でもやはり嬉しいのは実用的なプレゼントです。趣味に使えるゴルフグッズやインテリアにもなる時計など、実用的かつ記念に残るものをプレゼントしてみてはいかがでしょうか。
■ポイント④贈り物に感謝の言葉を添えて
還暦のお祝いは、育ててくれたことや、日頃お世話になっている感謝の気持ちを伝える絶好の機会でもあります。プレゼントには、普段言えないありがとうの言葉を添えて贈るようにしましょう。素敵な贈り物とともに気持ちが伝わり、家族の絆も深まるはずです。
■ポイント⑤60歳はまだまだ現役!お年寄り扱いはNG
昔は「人生50年」と言われており、還暦を迎える60歳というのは長寿とされてきました。しかし平均寿命80歳を超えた現在は、60歳という年齢はまだまだ若いと感じる年代です。第一線で活躍している方も大勢いますので、お年寄り扱いをするのは失礼になってしまいます。現在の還暦祝いは、長寿のお祝いというより、日頃の感謝と労をねぎらう会とする方がふさわしいでしょう。
還暦以外の長寿のお祝いは?由来やお祝いカラーをご紹介
長寿を祝うお祝いは60歳の還暦だけではありません!還暦からスタートし、節目となる年齢で数々の賀寿が存在します。どのような長寿のお祝いがあるのか、それぞれの特徴などを確認しましょう。
■【66歳/緑寿】お祝いカラーは「緑」
緑寿は「ろくじゅ」と読み、6との語呂合わせと、21世紀が環境の世紀と言われることになぞられてそう名づけられました。古くからの習わしである他の賀寿とは違い、こちらは2002年に日本百貨店協会が提唱したもので、数え年で66歳になったタイミングで祝います。
昨今では、定年する年齢を、60歳ではなく65歳とする企業が増えています。そのような背景から、65歳で定年し、66歳から第2の人生のスタートラインに立つという意味を込めて作られました。
■【70歳/古希】お祝いカラーは「紺・紫」
数え年の70歳は古希(こき)といいます。中国の唐時代の詩人、杜甫の「人生七十古来稀なり」という詩の一節に由来し、「七十年生きる人は古くから稀である」という意味になります。
60歳という年齢がまだまだ若いとされる現代では、70歳の古希が還暦よりも本格的な長寿の祝いの始まりと考えられてます。お祝いカラーは紺色、紫色とされており、紫は気品や風格を備えた色とされているので、70歳を迎えた方への敬意を表し、紫色をお祝いの色に用いるようになりました。
■【77歳/喜寿】お祝いカラーは「紺・紫・ 黄・芥子」
数え年で77歳は喜寿(きじゅ)と呼ばれます。喜寿という名前の由来は、「喜」という漢字を簡略化した草書体が「㐂」ということにあります。「㐂」を分解すると七十七と読めるので、77歳を喜寿と呼ぶようになりました。
何色かお祝いカラーがありますが、古希と同じように高貴な紫色が喜寿のカラーです。ラッキーセブンが並ぶ縁起の良い記念日ですので、その幸運にあやかってみんなでお祝いしたいですね!
■【80歳/傘寿】お祝いカラーは「紫・黄・金 芥子・金茶」
傘寿は「さんじゅ」と読み、数え年で80歳を指します。「傘」という漢字の略字は「仐」となり、漢字の八と十を重ねてような形になります。「仐」が八十と読めることに加え、傘が開くや縁起の良い末広がりなどの意味を込めて、80歳を傘寿と呼ぶようになりました。古希、喜寿と同様に紫をお祝いの色と考えるのが一般的ですが、黄色や金色も傘寿の色とする説もあるようです。
■【88歳/米寿】お祝いカラーは「黄・金茶 金・芥子」
数え年で88歳が米寿(べいじゅ)です。「米」という漢字を分解してみてください。漢字の八と十と八に分けることができますね。「米」が八十八に見えることから、88歳を米寿と呼んでいます。米寿は、縁起の良い末広がりの八が2つ重なる、大変おめでたい年です。お祝いの色は金ですので、金製品や黄色のちゃんちゃんこ、座布団などを贈って豪華にお祝いします。
■【90歳/卒寿】お祝いカラーは「紫・黄・金・芥子 金茶・白」
数え年で90歳を卒寿(そつじゅ)と言います。「卒」という漢字の略字は「卆」と書き、漢字の九と十に見えます。このように「卆」が九十と読めることに由来し、90歳は卒寿と呼ばれています。古希や喜寿と同じく紫が卒寿のお祝いの色とされています。これには、古希、喜寿等の色に戻り再出発するという意味が込められているそうです。
■【99歳/白寿】お祝いカラーは「白」
白寿(はくじゅ)は数え年で99歳です。百の漢字から一を引いてみてください。白になりますよね。100から1引いた数は99ですので、99歳を白寿と呼ぶようになりました。白寿はその名の通り、白が長寿祝いの色とされています。心を白くまっさらにして初心に帰るための神聖なお祝いとなります。
■【100歳/百寿】お祝いカラーは「白」
数え年で100歳は百寿と言い、「ひゃくじゅ」もしくは「ももじゅ」と読みます。100才を迎えたということは一世紀を生きているということなので、100歳は紀寿とも呼ばれています。白寿と同じように白いものを贈るという場合と、百がももと読めることから桃色が白寿の色とする説などあります。100歳の大台に乗った大変におめでたい日ですので、形式にこだわらず、相手の好みに合わせた色や記念品を贈り盛大にお祝いしましょう。
長寿のお祝いがひと目でわかる「早見表」もぜひご参考にしてください♪
還暦は家族で楽しくお祝いしよう♪
還暦のお祝いは、60年という年月、ここまで健康でこれたことをお祝いするとともに、感謝の気持ちが伝えられる場でもあります。あなたがいたから今の家族があるというありがたさを改めて感じ、家族揃ってお祝いしましょう。兄弟姉妹、孫たちも集まって盛大に楽しいひと時を過ごしたいですね。