感動を贈るプロ集団「結婚式プロデュース会社」の次なる一手

感動を贈るプロ集団「結婚式プロデュース会社」の次なる一手

ギフト市場の新しいムーブメントを追う連載企画「ギフト2.0」。今回は「結婚式の思い出=ギフト」と捉え、ウェディング業界の革命企業・株式会社CRAZYにスポットを当てます。CRAZY WEDDINGというプロデュースチームを立ち上げ、これまでの結婚式の常識を覆す、世界に一つしかないオリジナルウェディングを提供し続ける同社。その最前線で活躍中のプロデューサーに、「感動という名の贈り物」を創り出す醍醐味や、今後の展望などを伺いました。


新郎新婦のみならず、家族やゲストも感動させる結婚式を!

日本で初めてオリジナルウェディングを企業として確立させたCRAZY。そのウェディングブランドであるCRAZY WEDDINGは2012年、理想の結婚式を新郎新婦と共に創るプロデュースチームとして発足しました。

プロデューサー、コーディネーター、アートディレクター3名からなる専任チームが、新郎新婦からのヒアリングをもとに、コンセプトを決定。それを余すことなく表現した装飾や演出を通じて、新郎新婦のみならず、家族やゲストにとって一生の記憶に残るような、完全オーダーメイドの結婚式をプロデュースしています。

今回取材に応じてくれたIWAI OMOTESANDOプロデューサーの森裕美さんは、5年前に利用客としてCRAZY WEDDINGで結婚式を挙げ、人生観が変わるほどの感動を体験。それがきっかけで「自分も誰かの人生に触れる仕事がしたい」と思うようになり、CRAZYへ入社したそうです。感動を贈られる側から贈る側に回った彼女に、オリジナルウェディングの素晴らしさや将来性などを語ってもらいました。

取材先プロフィール

株式会社CRAZY:https://www.crazy.co.jp

国内におけるオリジナルウェディング事業のパイオニアにして最大手。CRAZY WEDDING は2012年7月、創業者である山川咲と森山和彦の理想をカタチにした結婚式のプロデュースチームとして発足。これまで1,200組のオリジナルウェディングを手がけてきた。

人物プロフィール

IWAI OMOTESANDO プロデューサー:森裕美さん
2014年入社。社内最多の結婚式プロデュース経験を持つ。「どんな人生も肯定し愛情で包む」のがモットー。趣味は自己成長と自己探求、そして旦那さんと過ごす時間。

「非日常的空間」だからこそ出せる感情や行動がある

――CRAZY WEDDINGの専門分野はギフト事業ではありませんが、言わば「感動を贈るプロフェッショナル集団」。そこで今回は御社の理念や発想から、「贈り・贈られる」ギフト市場の新たな可能性を見出すべく、取材に訪れました。

森裕美さん(以下、森):ありがとうございます。お役に立てれば幸いです。

――では早速お尋ねしますが、御社が手がけるオリジナルウェディングには、お客様にどのような体験を届けたいという思いが込められていますか?

森:対新郎新婦様向けで言いますと、結婚式は人生で三本の指に入るほどの大きなお買い物になると思うんです。ですから、「これ以上ない」と思えるほどの体験をお届けすることが大事で、そのためにはどの人にも当てはまる定形の式をお届けするのではなく、「その二人にしか生み出せない空間や時間や装飾」を私たちが創り出すよう努めています。

対ゲスト向けで言いますと、新郎新婦様がゲストの方に届けたいもの、感じて欲しいことを最大限カタチにするよう努めます。また、ゲストがお二人をお祝いしたい気持ちを出しやすい場を創ることにも力を注ぎます。拍手だけにとどまらず、思わず立ち上がって「おめでとう!」と叫んでしまったり、新郎新婦様とハグしてしまったり。

いわゆる「非日常的空間」に来たからこそ出せる感情や行動もあると思いますので、そこをいかに引き出すか。それらを意識しつつ、二人のコンセプトに基づいた結婚式をトータルでデザインしています。

――ということは、ゲストへのギフトである引き出物も毎回、趣向を凝らしたモノになるのでしょうか?

森:はい。たとえば過去には、「裸足で歩こう」というコンセプトの新郎新婦様がいました。一人では勇気が出なくて選べなかった本当にやりたいことや好きなことを二人でなら一つずつチャレンジすることができる。

そんなありのままの自分で歩く人生の美しさを大切なゲストとも分かち合いたい。という思いから、「ありのままの自分で歩く美しさ」を"裸足"で表現して、挙式もお二人は裸足で緑の芝のバージンロードを歩かれました。そして、まさに当日使って、そのときの思い出や時間が染み込んだサンダルを引き出物として持ち帰ってもらったところ、大変喜んでいただけました。

プロセスこそが、コンセプトウェディングの醍醐味

――モノではなくコトを贈るという意味で、演出が成功したケースはありますか?

森:たくさんありますが、結婚式がきっかけで家族の関係が変わったという事例を一つ挙げますね。新婦のお父様が、家にいることが少なく、しかも儀礼的なことに時間を使うのはもったいないという考えの持ち主で、「結婚式に行きたくない」というケースがあったんです。新婦も「そんな父を説得するのは無理」と自信なさげに言うのみでした。

その自信のなさはどこからくるのか。ヒアリングを重ねる中でわかったのですが、その新婦は「父から愛されていないんじゃないか?」というコンプレックスを抱えていたんですね。じゃあ、これを解決するには来てもらうことだな、と。そこから半年ぐらいのプロセスでは、新婦といろいろ作戦を立てて、お父様の誕生日に手紙を送るなどの働きかけを重ねました。その結果、どうにかお父様が式に出席してくれることになったんですよ。

――すごい!

森:出席する時点で新婦にとっては達成感があったのですが、私としてはその先にもう一つやりたかったことがありました。それは、「お父様がご家族に対して何を思っているのか?」を知ることでした。そこで、式の中で、お父様がご家族に感謝を伝える場面を用意したんです。お父様の口から「これまで本当にありがとう」という言葉が出た瞬間、お母様は涙を流し、会場全体が大きな感動に包まれました。

仕事に打ち込み、あんなに家に帰ってこなかったお父様の本心を知ることができて、新婦は自己肯定することができたし、以後、ご家族の関係性も変わったそうです。一家でご飯を食べに行く機会が増えたり、お父様が娘さんの誕生日に初めて手紙をくれたり。

その結婚式のコンセプトは「celebration」だったのですが、ある意味それを言い訳に、お父様はそれまでやらなかったことをやってくれるようになった。そういうプロセスこそが、コンセプトウェディングの醍醐味だと私は感じています。

叶えたいと思ったら夢は叶う

――そもそもコンセプトありきの結婚式事業を始められた動機は何だったのでしょう?

森:創業者の山川咲と森山和彦が自分たちの結婚式を挙げる際、いろんな式場さんに「こういう結婚式をやりたい」とプレゼンして回ったそうなんですけど、どこからも「無理です」と断られたことがきっかけになります。路頭に迷った末、自分たちで最終的には300名ものゲストが入る、6時間にも及ぶ式をセルフプロデュースすることに成功したんですよ。

叶えたいと思ったら夢は叶う。その経験は山川にとって、まさに人生が変わるほどの出来事だったそうです。でも多くの人はそれを諦めてしまっていたり、そもそもやろうという考えにも至っていなかったりする現実もある。そこで、自分たちが世に広げるべく、オーダーメイドウェディングを事業化しようと思い立ったそうです。

――オーダーメイドのギフト同様、オーダーメイドの結婚式はさぞかし喜ばれることでしょう。お客様の反響はどのようなカタチで知ることが多いですか?

森:結婚式後のアンケートや、直接のお声から知ることが多いです。直接のお声ということで言いますと、CRAZY WEDDING で結婚式を挙げた新郎新婦様のコミュニティがいくつもあり、彼らが自宅でパーティーを開く際には私たちプロデューサーも招かれるなど、結婚式後も関係が続いているんです。妊娠や出産の際にも一緒にお祝いをしたり、"結婚式"という点で終わらず、生涯お付き合いできる関係性になる中で、何度でも生の声を直接聞けるんですよ。

――お客様の声をヒントに、なんらかの新規事業をスタートさせた事例はありますか?

森:私たちは創業当初から、二人にとってどんな準備期間であり、どんな感情が生まれる当日になるかを大事にサービスを作ってきましたが、式が終わると、想像以上に親御様などご年配の方から結構反応をいただけるのが驚きでした。「いい式だったよ」と握手してもらえたり、アンケートの中でも「参加した母が感謝しています」という声が寄せられたり。新郎新婦様に向けてやっていたことが、その先の親御様やゲストに伝わっていたことがわかったときに、私たちのお客様は新郎新婦様だけじゃないということを再認識しました。

それもあって、今年の2月にオープンしたのが、IWAI OMOTESANDOという自社施設です。これは、「二人中心」の披露宴スタイルではなく、「ゲスト中心」の結婚式をイメージして設計した建物になります。これまでは、私たち社員の生き方や、会社の持つ概念で選んでいただくことが多かったのですが、建物を持ったことにより、具体的に足を運んでいただいたり、料理を楽しんでいただく体験を通して式場を選んでもらえるようになりました。

――とはいえ、結婚適齢期の男女の人口が減り、婚姻件数も下がってきています。その現実にはどう対応していくおつもりですか?

森:祝う場面や対象を増やしていけばよいと考えています。「結婚○周年パーティー」などがその一例です。お祝いのタイミングは、一生の中で考えるといろんな場面である。弊社のIWAI OMOTESANDOも、結婚式だけではなく、式が終わったあとも何度でも帰ってこられる場所にしたいですし、生涯にわたってお祝いをし続けられる私たちでありたい。そのためにも、生涯付き合っていきたいと思っていただけるような関係性を築くことが大事だと考えています。

戸籍上同性同士のカップルのお祝いも、より積極的に取り組みたい

――なるほど。それはギフト市場におけるシェア拡大のヒントにもなりそうです。では最後に、御社のこれからの目標を教えてください。

森:「世界で最も人生を祝う企業でありたい」という理念に基き、同性婚を含む多様な結婚式を受け入れられる体制を整えたいです。実は今年4月の代々木公園でのレインボープライド、そして6月にはIWAI OMOTESANDOを無料解放して、同性のカップルの方々がお互いへの想いを伝える「誓いの場」をプロデュースさせていただきました。

6月のイベントでは、60名の公開パーティーを開いたところ、300名もの方から応募があったんですよ。パーティーの席では「そもそも結婚式を挙げるという概念すら持っていなかった」という声も多く聞かれました。そういった方々に「結婚式を挙げるという選択肢もある」ということを伝えていくのも弊社の役目だと思っています。

「本当はこの人と結婚したい。だけど……」「本当はこういう式を挙げたい。だけど……」といった思いは、実はいろんな方が抱えているはず。その思いを解放する組織であり続けたいですね。

企画:天野成実(ロースター)
取材・文:岡林敬太
撮影:norico

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