耐熱ガラスだからこそ叶う、曲線が美しいガラスアクセサリー
職人の熟練の技が織り成す「匠のギフト」をご紹介する本連載。今回は、ガラスのアクセサリーで人気を集める「HARIO Lampwork Factory(ハリオ ランプワーク ファクトリー)」です。「HARIO(ハリオ)」とは、1921年に創業した耐熱ガラスメーカー。同社のコーヒーサーバーでその名を知っている方も多いのではないでしょうか。
「HARIO Lampwork Factory(ハリオ ランプワーク ファクトリー)」は、そんな「HARIO(ハリオ)」がはじめた、ガラス工房兼ギャラリーショップです。現在、コーヒーサーバーなどのほとんどの製品は機械で作っています。
そこで、職人の技術を後世に伝えるために立ち上げたのがこちらのガラス工房。職人が手がけたガラスアクセサリーは、とっておきのギフトとなりそう。今回はその魅力を伺うべく、ギャラリーショップのある日本橋へ向かいました。
■取材先プロフィール
HARIO Lampwork Factory(ハリオ ランプワーク ファクトリー)
1921年創業の耐熱ガラスメーカーHARIOが職人の手仕事技術の継承のために作りはじめたテーブルウェアやアクセサリーを製造販売する店。店頭では実際に職人さんたちが作業を行っており、店内の製品が生み出される様子を見ることができる。
■人物プロフィール
HARIO ランプワークファクトリー株式会社
島田 理佳(しまだ りか)さん
透明な輝きにうっとり。特別なギフトにはガラスのアクセサリーを
※「リトルティアーズ」8,800円(税込)
――どれもとても綺麗ですね。光に反射してきらきらと輝くガラスが素敵です。こちら全てガラスで作られたアクセサリーなんですか?
ありがとうございます。全て「HARIO」の耐熱ガラスで作られています。耐熱ガラスは、非常に粘り気が強く伸ばしたり、切ったり……と加工がしやすく、細かな加工が必要なアクセサリーに非常に向いています。
花の形や、水滴のような丸い形など、職人さんの繊細な手仕事を活かせるのがアクセサリーだったんです。
さらに、「長く使える」のも利点。もし割れてしまっても、修理が可能です。耐熱ガラスは再加工ができ、壊れても元に戻せます。店舗に持ってきていただければ殆どが1,100円でお直ししができるんです。
――それは嬉しいです。一度買ったら修理保証付きですね。
そうですね。直せば元通りになりますので、長く使っていただけます。
――ギフトとしても長く使えるのは嬉しいポイント。ターゲットとしている年齢層はありますか?
20代後半〜60代くらいまで、幅広い世代にご好評いただいています。耐熱ガラスは一般的なガラスよりも軽いんです。身につけていてストレスがないのは、幅広い層からご支持いただける理由かもしれません。
また、透明なガラスで展開しているので、年齢や服装を選ばずにつけられるのも魅力です。ガラスというと、夏向けの、涼しげな印象を持たれるかもしれませんが、冬の装いにも合うんですよ。セーターに合わせても素敵ですし、まるでウィンターシーズンのイルミネーションをイメージさせます。季節を問わずにつけられるアクセサリーですね。
――確かに、シンプルだけど上品。年齢や季節、装いを問わないアクセサリーは汎用性が高そうです。
そうですね。華美すぎないシンプルなデザインなので、どんな服装でも馴染みます。表面にガラスの粉を吹きつけて「すりガラス」のようにしたり、あえて荒いカットを活かしたり。
ガラスの形によって光り方が変わってくるので、きっとお気に入りのデザインが見つかると思いますよ。
※金沢の金箔をあしらったガラスアクセサリー、「HAKU」シリーズから、「ストーン」26,400円(税込)
バーナーワークを次世代に繋ぐためにブランドを旗揚げ
――耐熱ガラスで有名な「HARIO(ハリオ)」さんが、ガラスアクセサリーに特化した店舗を作られたきっかけは何だったのでしょう?
1921年に創業した当時は、職人がひとつひとつ手加工で、ビーカーなどの理化学器具や食器を作っていました。しかし徐々に機械による製造に移行し、現在では商品のほぼ全てを機械で作っています。
「HARIO(ハリオ)」は、2021年で創業100年。原点に立ち返り、ガラス職人が丹念に作った作品をお届けしたい、そんな思いでブランドを立ち上げたのがきっかけです。
――なるほど。職人さんの手仕事を後世に継承するために作られたブランドということもあり、職人さんが作業している様子が見られる工房がついているんですね。
そうですね。店内では職人の加工風景を見ながらのお買い物を楽しんで頂けます。外からも見られるようになっていますので、通りを歩いている方が、作業風景に目を奪われて、足を止めていかれる方もいます。
――バーナーから火が吹き出て、ガラスを溶かして作っているんですね。これは思わず見入ってしまいます。
そうですね。この技法を「バーナーワーク」と呼びます。バーナーは、1,000℃~2,000℃ほどまで上がるものを使用しています。耐熱ガラスは粘り気が強く硬いため、高温で溶かしながら細かな加工をしていきます。
使用しているガラスは、ストロー型のガラス管と、ムク棒の2種。完成品の大きさにあわせて太さの違うガラスを使い分けます。例えば、シャボン玉のような丸いものはガラス管を使います。ストロー状になっているため、空気をいれて膨らませることができるんです。水滴のような形を作るならムク棒。一粒ずつ溶かして丸い形を作っていきます。
職人の共通点は「ガラスが好き」
――あっという間に、ガラスの棒から丸い形が生まれていきますね。職人さんにはどのような方が多いですか?
皆さん出身はバラバラ。芸術系の大学でガラス工芸を専攻されていた方もいれば、会社員を経験された後、ガラスの専門学校を卒業してここに来られた方もいます。二足のわらじで、イラストレーターや作家活動と兼業されている方もいらっしゃいます。全員の共通点は、ガラスが好き、ということでしょうね。
――皆さんガラスが好きで働かれているなんて素敵ですね。繁忙期はあるんでしょうか?
ガラスには涼しげなイメージがあるため、春夏用のアクセサリーを探しにくる方は多いですね。併せて、クリスマスの時期のギフト購入も多いです。ですので、春夏とクリスマスに向けた冬の時期が比較的忙しいですね。
全体で見ると自分用についでギフト用として選ばれる方も多いです。なかには「友人のプレゼントを選びに来たけど、見ているうちに自分も欲しくなったとご購入に繋がるケースもあります。
職人さんの作ったアクセサリーは、やはり丁寧で繊細。機械で作ったものとは違った良さがあります。ぜひ実際に手にとって、選んでいただけたら嬉しいですね。喜んでもらえる贈り物になると思います。
――ガラスの重厚感や、質感など、実際に手にとってみるとよく分かりますね。これはいただいたら嬉しいです。
そうですね。当ブランドでは、ネックレス、イヤリング、ピアス、リング、帯留めなど様々なガラスアクセサリーを取り扱っています。シリーズによって、雰囲気も随分と変わりますし、きっと気になるものが見つかるはず。ぜひ手にとって、お気に入りのものを見つけてもらえたら嬉しいですね。
企画・取材:ロースター
文:天野成実(ロースター)
撮影:norico