レザータウン草加が手掛ける一生モノ「HIKER」のレザーインテリア

レザータウン草加が手掛ける一生モノ「HIKER」のレザーインテリア

職人の手仕事が生み出す、日本が誇るべき匠のギフトを紹介していく本連載。今回着目したのは、インドアでもアウトドアでも使えるレザーのインテリアです。レザータウンを標榜するほど実は皮革産業が盛んな埼玉県草加市。この街の職人たちが協業して作り上げるブランド「HIKER」は、長い時間を共に過ごす大切な人へのギフトなどに最適です。


草加に生きる革職人たちの本気が詰まった「HIKER」

※左後ろから時計回りに、
「Mosquito Coil Holder」¥8,600(税抜)
「Tube Tissue」¥7,600(税抜)
【Cutlery】シリーズより「Fork」「Knife」「Bread knife」「Opener」「Spoon」各¥3,600(税抜)

グランピングに代表される上質なキャンプが市民権を得たことで、自宅でもアウトドアギアを家具として取り入れる人が増えてきました。

「家具をギフトにするのはハードルが高いのでは」と思う方もいるかもしれませんが、家具といっても、蚊取り線香やティッシュケースなど、比較的小さなものなら手軽です。さらに、アウトドアから発想されたものなら、アウトドア好きには喜ばれること間違いありません。

そこで今回ご紹介するのが、埼玉県草加市の皮革職人集団とクリエイティブチームのコラボによって生まれた「HIKER(ハイカー)」です。生活に深く根付き、世代を跨いで使い続けられるようにと心を込めて作られたプロダクトは、キャンプシーンではもちろん、家のリビングでもラグジュアリーな存在感を放ちます。

取材先プロフィール

HIKER(ハイカー)
2018年秋、埼玉県草加市のプロダクトブランドプロジェクトとしてスタート。地元の皮革職人集団とクリエイティブチームが連携し、イスや薪バスケット、蚊取り線香ホルダーなど、キャンプシーンから着想を得たプロダクトを展開している。

人物プロフィール

鈴木 功(すずき いさお)さん
1944年生まれ。東京都神田で育つ。22歳のとき、婦人物のハンドバッグを手掛ける職人のもとへ弟子入り。その後、さらに腕を磨くため爬虫類の皮革を扱う職人へも奉公し、26歳で独立。扱いの難しいクロコダイル製の製品には特に定評がある。過去には鞣し(なめし)革でカナディアンカヌーを製作するなど、革の可能性を広げる活動も。

草加が誇る皮革産業の粋を結集した「HIKER」

――草加というと「草加せんべい」のイメージが強いですが、実は皮革産業が盛んと聞きました。草加と革にはどんな繋がりがあるのでしょうか?

鈴木功さん(以下、鈴木):昭和10年頃、原皮卸の会社が浅草から移転してきたのがはじまりと言われています。草加は浅草からも近く、良質な地下水も豊富。土地も広いですから、それをきっかけに主に東京からいろんな企業や職人たちが移ってくるようになったんです。水質が良いので、浴衣などの染め物の会社も多いんですよ。

草加における皮革産業の歴史は60年以上になり、皮革にまつわる職種は一通り揃っています。原皮の卸会社から、革を鞣し(なめし)、染色するタンナー、それらを製品へと落とし込むメーカーや個人の職人まで。

特に戦後、皮革がファッションに使われるようになると、鞄や衣料品、靴などが作られるようになったので、一通りの革製品は草加で揃うと言われるようになりました。また、米ぬかを鞣し加工に応用するなど、エコロジカルな取り組みを行っているのも草加ならではですね。

――「HIKER」はどのようにして生まれたブランドなのですか?

鈴木:今、世の中の人の価値観も大きく変わってきていて、革離れが進んでいます。リアルで安価な合成皮革が登場したことで、ブランドも消費者も、これでいいや、となってしまった。さらに追い打ちを掛けるように、革製品のメッカであるヨーロッパとのEPA(経済連携協定)によって、革製のコートやバッグ、革靴などの関税が段階的に撤廃へ向かうことが決まりました。

そうなると、草加に限らず日本の皮革産業は大きなダメージを受けるでしょう。そんな中で、せっかく草加には良い技術があるのだから、それらを使って何かできないか、とはじまったのが、この「HIKER」なんです。

そのため、すべての工程を草加の職人たちで分業して製品を仕上げます。製品はデザイナー自身がキャンプをしたりする中からヒントを得て企画されて、それを私たちが形にする、という流れです。

革も埼玉県産のブランド和牛「武州和牛」(通常20ヶ月程度が多い出荷月齢を28ヶ月以上とし、大きく育てているのが特徴)の原皮を使いますし、街のブランドとして育っていくといいなと思いますね。

※「Chair」¥168,000(税抜)

――ギフトとしては、どんな魅力があるでしょうか?

鈴木:革製品の魅力は経年変化にありますが、「HIKER」は全ての製品をあえて色を染めていない革で作っています。

手触りの良さを感じていただきながら、共に時間を過ごしていく中で一緒に変化していき、空間に馴染んでいく、その過程をぜひ楽しんでいただきたいと思っています。なので、長く大切にしたい家族や友人へ贈っていただくというのがいいのではないでしょうか。

ちなみに、結婚3周年は「革婚式」といいます。使うほどに味わいが増していく革のように夫婦の仲も成熟していく、そんな思いを込めて2人で贈り合い、絆を深めるというのも素敵だと思いますね。

仕上がりはワイルドな革製品。裏側には繊細な手仕事

――実際に製品がどんな風に作られていくのか、作業工程を教えていただけますか?

鈴木:まず革をパーツごとに裁断するところからはじまります。牛一頭分の革を背中で半分にした半裁と呼ばれる状態の革を切っていきますが、革には血筋や傷、虫刺されの跡なんかがありますから、見た目を美しく仕上げるために、それらを避けて綺麗な部分を選ばないといけません。

「HIKER」は大量生産の製品ではありませんから、手裁ちといって、すべて手作業で行います。

鈴木:次は漉き(すき)の工程です。革は分厚いので、その厚みを調整するために革の裏面を削る作業をします。

「HIKER」の製品は革の厚みも魅力の一つですが、縫ったり貼り合わせたりする部位ごとに適切な厚みにすることで美しく仕上がります。一人前に漉けるようになるまで、7、8年は掛かると言われているほど、大切な工程です。試しに、端材を1枚漉いてみますか?

※実際に「漉き(すき)」の工程を体験するライター・石井

――おぉっ、確かに真っ直ぐ漉くことも出来ないし、厚みも不均一になってしまいますね……。鈴木さんはすごく簡単そうに作業されていますが、実はすごく繊細な調整をされているんですね。

鈴木:はい。折り曲げる部分などは裏側に彫刻刀のような道具で筋を1本入れたこともありました。見えない部分の仕事が肝心なんです。

そして次はパーツを自作の治具に固定し、形をつけていきます。濡らして乾かすことで、その形になるんですよ。例えばチェアの脚が刺さる部分などは、パイプとほぼ同じ径になるように調整しています。それが終わったら、各部を縫い合わせて完成です。

――細かな作業が裏側に隠れているんですね。

鈴木:それぞれ技術が必要なところはありますが、やはり一番大変なのはデザイナーが描いた絵をどう実現するか、というところ。

革はどうしても伸びが発生しますから、それをどう抑えるかとか、平面の革をどう立体的に成形するか、道具の形や素材も吟味しながらかなり時間を掛けて作り込んでいきます。やっぱり職人として、「できない」とは言いたくないですからね。

「HIKER」は革の可能性を感じさせてくれるもの。

――製革業者であるタンナーとの連携も製品の完成度を挙げているひとつの要因なのだそうですね?

鈴木:そうです。通常であればタンナーとメーカーの間に問屋が入るので、タンナーは自分たちが鞣した皮革がどのような製品になっているのかまで知りません。ですが、草加の中ですべてを作っていると「こういうものを作りたいから、こう鞣してほしい」というような細かなやり取りができるのです。

また、単一の農場から出荷された牛の皮革のみを直接仕入れられるのもメリットです。普通は「この農場の牛から採れた革を仕入れたい」というような指名買いはできない仕組みになっているんですが、企業や職人の横の繋がりで可能になっています。

「HIKER」で使う武州和牛は過度のストレスを与えないよう、肥育環境にこだわっている農家さんで育てられた個体のみを使用しているので、革の美しさにも自信があります。

――様々な職人さんたちが協業で作り上げる「HIKER」ですが、鈴木さんにとってはどんなブランドなのでしょうか?

鈴木:革と金属を組み合わせた「HIKER」の製品は今までの発想にはないものでした。その分、試作にはとても苦労しましたが、だからこそ、革の可能性を感じさせてくれるものだと思います。また、これを通じて草加の皮革産業にも目が向く機会になるといいですね。

企画:ロースター
取材・文:石井良
撮影:栗原大輔(ロースター)

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