ユニークなデザイン、匠の技、この道40年の職人が紡ぐ「giraffe」のネクタイ

日本が誇るべき職人が、手作業で一つ一つ時間をかけて作る匠のギフト。今回訪れたのは、東京都渋谷区にあるネクタイ専門店「giraffe(ジラフ)」。環境対策を目的とした“クールビズ”などが定着しつつある日本では、ネクタイを締めたサラリーマンを見る機会も減っている気がします。しかし、そんな時代においても、ユニークなデザインと丁寧な匠の技で、思わずワードローブに加えたくなるような至極の逸品があるのをご存知でしょうか?男性へ贈る定番ギフトであるネクタイ。丹念に作られ、職人技が光るネクタイの魅力に迫りました。


多様なシーンに寄り添う「giraffe」のネクタイ

ビジネスウェアの軽装化が推奨される動きはありながら、現代でもTPOに応じた着こなしは大切です。また、新成人や新たなスタートを切る人、冠婚葬祭など、ビジネスシーン以外の様々なシーンでも用いられるネクタイは、その人の印象を左右する要素の一つでもあります。

今回は、定番のスーツスタイルに加え、普段使いやパーティーシーンにも着用できる、他にはない珍しい柄や織りのデザインも揃うネクタイ専門店「giraffe(ジラフ)」に注目。恋人や家族、友人など、大切な人が大事な節目を迎える際のギフトとしてもぴったりなこだわりのネクタイについて、詳しく伺っていきましょう。

取材先プロフィール

ネクタイ専門店giraffe(ジラフ):http://giraffe-tie.com
株式会社スマイルズが運営しているネクタイを専門とするブランド。カラフルな色・柄使いで、素材もシルエットも様々なネクタイは、34℃、36℃、38℃、40℃と4段階の体温別に分けられたラインナップで展開している。

人物プロフィール

ジラフ事業部 縫製マイスター
井口晶子(いぐちあきこ)さん

約40年、giraffeでネクタイの縫製業務に携わるネクタイ職人。

ジラフ事業部 営業サポート室 副室長
渡邊幸雪(わたなべこうせつ)さん

さりげない個性を添えるビジネス用デザイン

※胸元に切り替えが現れるバイカラーデザイン。「スラント小紋ペイズリークレリックタイ」GRAY×NAVY 14,300円(税込)

※カジュアルなシーンにも合わせやすい人気のリバーシブル。「トップドットレジメン」NAVY 14,300円(税込)

――素材や色も様々で、シンプルなものからユーモアの効いた少し変わり種のデザインまで、豊富な品揃えですよね。

渡邊幸雪さん(以下、渡邊):ありがとうございます。giraffeでは、34℃、36℃、38℃、40℃と4段階の体温に分けたラインナップで展開することをコンセプトとしています。

34℃は、冠婚葬祭で用いやすいようなモノトーンが多く、都会的でクールなアイテムが揃います。36℃は、人間でいう平熱なので通常のビジネスシーンで使いやすいデザイン。

38℃は、ビジネスシーンでも、プレゼンなど少しテンションを上げたいときに使っていただきたいリバーシブルなどがあります。40℃は見るだけで楽しめるような華やかなデザインで、パーティシーンなどにおすすめです。

――面白いコンセプトですね。なかでも人気のネクタイはどちらでしょうか。

渡邊:やはりビジネスシーンで使いやすい36℃のシンプルな色合いのものと、少し変化をつけられる38℃のリバーシブルデザインが人気ですね。通常は表面に光沢がある素材を用いられやすいネクタイですが、giraffeのネクタイではマットな生地感が締めやすくて好評です。

リバーシブルのものだとデザイン自体は派手に見えるかもしれませんが、同系色であればトーンが落ち着いていますし、結んだ時に切り替えが胸元に入るのでフォーマルなシーンでも少しアクセントをつけることができます。

――カジュアルなスタイルにもマッチして着用の幅も広がりそうですね。どのようなお客様が多いのでしょうか。

渡邊:もちろんご自身用に購入される方も多いですが、半数のお客様がギフトとしてご利用くださっています。例えば、ご家族からお父様への誕生日プレゼントだったり、同僚への昇級祝いだったり、恋人へのクリスマスプレゼントだったり……。

価格帯は¥10,000〜¥15,000くらいと、決して安価な値段ではありませんが、1本1本職人さんが時間をかけて作っていますし、他にはなかなかないデザインなのでお客様には納得してお買い求め頂けていると思います。公式ECサイトからも購入可能で、専用のBOXやギフト用の包装も用意しております。

※様々な雪山を登る登山家をイメージしたタイピンと、ネクタイのセット。アイスクライマーシリーズ 各¥27,500セット価格(税込)

「織り」で生み出す唯一無二の絵柄

――ユニークなデザインはどうやって考えられているのでしょうか。

渡邊:デザインは基本的に女性デザイナーが担当しています。女性目線の観点が取り入れられ、“ネクタイ=かっちりとしたビジネスウェア”の概念に囚われないようなデザインも生まれていると感じています。

最近では女性のお客様も増えていて、アイスクライマーシリーズのような、登山家をイメージしたタイピンと山岳をイメージしたネクタイがセットになった商品もギフトに人気です。

――プリントではなく織りで作られた生地を使用されているのですね。

渡邊:そうなんです。ネクタイに使われる生地のほとんど京都の工場で織られたものを使用していて、雪山のネクタイもそのひとつです。ここまで複雑な絵柄を織りで表現するのは簡単なことではないため、工場の職人さんとは何度もやり取りをしながらサンプルを作り上げています。

私たちのデザインに対するこだわりに対して、素晴らしい技術で応えてくださる職人さんたちがいるからこそ、このユニークで唯一無二のネクタイが生まれています。

※約40年間、ネクタイを作り続ける職人の井口さん

――次に、giraffeのネクタイ職人である井口さんにお話を伺います。まずこの世界に入られたきっかけを教えていただけますでしょうか。

井口晶子さん(以下、井口):最初はネクタイの裏つけの内職をしたのがきっかけです。そこで働いていた今の主人と結婚してそのままネクタイ作りが仕事になり、気づけば40年ほどになります。元々ミシンを踏むことも、生地を触ることも好きなものですから、途中で嫌になることはありませんでした。

――giraffeの職人さんは、井口さんお一人だと伺いました。ほかのスタッフさんとの作業はどのように分担されているのでしょうか。

井口:基本的に、生地の裁断からミシンで縫って完成させるところまで私一人で作業をしています。パッチワークデザインのネクタイは縫製スタッフにテキスタイルの部分をお願いしています。縫製スタッフは、余った生地でペンケースやポーチなどの生地小物も作っています。ネームタグと、かんぬきは現在アシスタントに任せています。

――それでもほぼ全工程をお一人で作られていますよね。1日にどのくらいのネクタイが出来上がるのでしょうか。

井口:一日あたり10本くらいでしょうか。生地は最初にまとめてハサミで裁断をし、その後の工程も何本かでまとめて行います。ミシンで縫って、アイロンをかけ、ネクタイの形づくりに重要な芯を入れて縫って、最後にまたアイロンをかけます。1時間に1本のペースです。

1㎜単位の精巧さがネクタイの格好を決める

※ミシンでネクタイの芯付けを行う井口さん

――最も難しい作業工程はどちらでしょうか。

井口:やはり、ネクタイの形を決める芯つけです。ネクタイは一本の芯を生地で包んで縫うのですが、芯がぴったりと入っていないとネクタイにシワが出たりするんです。1㎜ズレていても全く違った雰囲気になってしまうので、きれいな形でも完璧だと言い切れるものを作るのは容易ではないと日々感じています。

――まさに熟練の技を試される作業ですね。一人前になるにはどのくらいかかるのでしょうか。

井口:そうですね、形になるには3年以上はかかるかと思います。私も最初は主人に教わりましたが、一から丁寧に教えてくれることなんてなかったので見様見真似でやっていました。感覚的なところもあるので自分でコツを掴んでいくしかないですね。一から完成まで作れる職人は日本にもそう多くはいらっしゃらないかと思います。

――オーダーメイドも可能なのでしょうか?

井口:はい。たくさんの生地の中からお好みのものを選んでいただき、太さも調整できます。それだけでなくリペア(お直し)も行っています。

もちろんgiraffe以外のブランドも可能です。布が擦り切れてしまったり、誤って洗濯をして縮んでしまったネクタイも出来る限りのことはさせていただいております。くしゃくしゃに傷んでしまったネクタイをアイロンで伸ばしてお直ししたときは、感激されるお客様もいらっしゃいました。

また、定期的にワークショップも開催しているので、ネクタイ作りや生地を使ったテディベアを作る体験もできます。縫製経験ゼロのお客様もいらっしゃるので、本当に誰でも気軽に参加していただけると思います。そういった機会から、少しでも手製のネクタイに興味を持っていただけたら嬉しいですね。

企画:ロースター
取材・⽂:佐藤有紗
撮影:藤井由依(ロースター)

関連するキーワード


職人の技が光る 匠のギフト

関連する投稿


これぞ職人魂。ライオンハートのあるライフスタイルを届けるために

これぞ職人魂。ライオンハートのあるライフスタイルを届けるために

職人さんにオススメのギフトを伺う本連載。今回はちょっと視点を変えて、プロ根性が垣間見える至極のギフトに注目しました。本日お話を聞いたのは、メンズアクセサリー業界を牽引するブランド、「ライオンハート」の藤原勇気さん。時代を超えて永く愛されるブランドに、アクセサリーPRの極意について伺いました。


レザータウン草加が手掛ける一生モノ「HIKER」のレザーインテリア

レザータウン草加が手掛ける一生モノ「HIKER」のレザーインテリア

職人の手仕事が生み出す、日本が誇るべき匠のギフトを紹介していく本連載。今回着目したのは、インドアでもアウトドアでも使えるレザーのインテリアです。レザータウンを標榜するほど実は皮革産業が盛んな埼玉県草加市。この街の職人たちが協業して作り上げるブランド「HIKER」は、長い時間を共に過ごす大切な人へのギフトなどに最適です。


大切なあの人には末広がりの八角箸を。幸せを呼ぶ“ハシ”渡し

大切なあの人には末広がりの八角箸を。幸せを呼ぶ“ハシ”渡し

職人の手仕事が生み出す匠のギフト。今回は、江戸時代から続く老舗漆工芸「漆芸中島」さんの『江戸八角箸』です。八角箸とは名前の通り、八角形の箸のこと。箸のプレゼントは“人と人とのご縁をつなぐ、幸せのハシ(橋)渡し”とも言われる縁起の良い贈り物。大切なあの人に、とっておきの八角箸を贈ってみては?


国宝級の逸品。強く美しい江戸切子を贈る

国宝級の逸品。強く美しい江戸切子を贈る

日本が誇るべき職人の手仕事が生み出す匠のギフト。今回は、江戸の伝統工芸として有名な江戸切子です。江戸時代後期、海外から長崎に持ち込まれたカットグラスが江戸へと渡り、「江戸切子」として開花したのがその起源。代表的な矢来・菊・麻などの紋様には、それぞれ意味が込められているため、贈りたい相手にメッセージが込められる粋なギフトとなりそうです。


匠の技を伝えるために生まれた「HARIO Lamp work Factory」のガラスアクセサリー

匠の技を伝えるために生まれた「HARIO Lamp work Factory」のガラスアクセサリー

職人の手仕事が生み出す匠のギフトを紹介していく本連載。今回は、「HARIO Lamp work Factory(ハリオ ランプワーク ファクトリー)」をインタビューしました。ここは「HARIO(ハリオ)」という老舗ガラスメーカーが手がけた、ガラスアクセサリー専門店です。太陽の光に反射してきらきらと輝くガラスアクセサリー。特別な日を彩るギフトとなりそうです。


最新の投稿


[2024年お歳暮]"オシャレでセンス抜群”もらって嬉しい贈り物30選

[2024年お歳暮]"オシャレでセンス抜群”もらって嬉しい贈り物30選

毎年やって来るお歳暮の季節。今年は”お洒落でセンスの良い品”を贈ってみませんか?「相手の好みが分からないから」「毎年のことでネタ切れで」…なんて結局無難な定番を選んでしまうあなた。本当に”もらって嬉しい贈り物”をMEMOCOがご紹介します。一風変わった、ちょっと珍しいギフトアイテムもおすすめですよ。「これ誰から?」と話題になるような、印象的なお歳暮になりますように、厳選した逸品ばかりです。誰にも喜ばれるグルメギフト、華やかなスイーツ、ジュースやお酒などの飲み物類、実用品と様々。最後までチェックしてくださいね。


予算500円前後のプレゼント!子供なら誰もがもらって嬉しい25選

予算500円前後のプレゼント!子供なら誰もがもらって嬉しい25選

お誕生日会やクリスマス会、ご近所のママ友同士での子供会などちょっとしたプレゼントを贈るシーンは多いもの。シチュエーションによっては参加者の性別や趣味がわからないことや、ばらまき用の景品を大量に選ぶシーンもありますよね。そこで本記事では、幼児から小学生までを対象とした予算500円のプチギフトをラインアップ!子どもに喜ばれる実用品や雑貨小物だけを厳選しているので、欲しいプレゼントにきっと出会えるはずです。「男女共通」「イベントのお菓子」「ベビー」「男の子向け」「女の子向け」と全5つのカテゴリーの中から、用途にぴったりなギフトがきっと見つかります。


1万円前後の男性向けプレゼント!高級感が伝わるおしゃれギフト27選

1万円前後の男性向けプレゼント!高級感が伝わるおしゃれギフト27選

予算1万円で買える男性向けプレゼントをご紹介。身近な男性へ送る節目のお祝い、クリスマスプレゼントなどにぴったりのアイテムを幅広く揃えました。彼氏や旦那様、お父さん、おじいちゃんなど、さまざまな年代やシーンに合うギフトを見つけられますよ。1万円で満足感のある商品を見つけるポイントや、男性へのプレゼント選びのコツも解説。予算が足りず困ったときに助かる低予算のギフトアイデアもあります。ぜひ参考にしてみてくださいね。


12月生まれの誕生日プレゼント|想像の斜め上をいく特別なギフト14選

12月生まれの誕生日プレゼント|想像の斜め上をいく特別なギフト14選

12月に誕生日を迎える方へのプレゼントは、どんなものが喜ばれるのでしょう。この月はクリスマスや大晦日など、楽しいイベントが盛りだくさん。それだけに「子どもの頃はクリスマスと誕生日のプレゼントが一緒だった...」なんて、ちょっぴりせつない思い出を持つ方も少なくないのだとか。でも大丈夫です。本記事では単品ではもちろん、誕生日&クリスマスを組み合わせた2倍嬉しくなりそうなプレゼントを男女別にご紹介。誕生石やカラー、お花など12月ならではのギフトや、クリスマス要素を含んだ華やかグッズ、寒さや乾燥対策の美容&あったかグッズなどを集めました。後半は今年最後の笑い納めやサプライズ体験が叶うギフトもご提案しますので、どうぞお楽しみに。


プレゼントに贈りたいフェイスパック|高級・プチプラおすすめ17選

プレゼントに贈りたいフェイスパック|高級・プチプラおすすめ17選

女性へのプレゼントにおすすめのフェイスパックをご紹介!プチギフトに最適なプチプラ商品から、誕生日・クリスマスに選びたい高級アイテムまで、もらって嬉しいフェイスパックを厳選しました。デパコスブランド、韓国コスメブランドなどが次々と新商品を発売していることで、近年フェイスパックは品揃えが大充実。プレゼントには何が選べばいいのかわからない方もいるでしょう。本記事を読めばそんなお悩みも解決!女友達や彼女、奥様、お母さんなど、お相手にぴったりのギフトが見つかりますよ。ぜひチェックしてみてくださいね!