橋本真里子さんに、とっておきの手みやげを聞きました
橋本 真里子(はしもと まりこ)
ディライテッド株式会社代表取締役CEO。2004年大学卒業後、上場企業5社以上で受付を経験。1日平均500人、月間10,000人、延べ120万人もの接客経験を通して確立した独自のノウハウを活かし、2016年1月にディライテッド株式会社を設立。翌2017年にクラウド受付システム”RECEPTIONIST(レセプショニスト)”をリリースした。
ディライテッド株式会社
2016年1月設立。「受付から内線を無くすと、来客応対はもっと快適に。」をコンセプトに"RECEPTIONIST(レセプショニスト)"を開発。日程調整から来客対応までをワンストップで効率化できるクラウド受付システムで、導入企業は1800社を突破。
――今回、10年以上受付を務められ、現在その経験を活かし会社を経営されている、いわば接客のプロである橋本さんの考える“手みやげ観”について様々なお話をお聞かせいただきたいです。早速ですが、手みやげについて気をつけていること、心がけていることはございますか?
手みやげは“地味に嬉しい”ものをあげられるよう意識しています。プレゼントと手みやげは似ているようで異なるもの。プレゼントは、実感として『あげた、もらった』を感じて欲しいけど、手みやげはさりげなく渡してさりげなく嬉しいくらいのものでありたい。
手みやげには、“さりげなさ”が寄り添っていることが大切だと思うんです。気を遣わせてしまうような高価なものや、相手を悩ませてしまうような大げさなものではなく。自分が食べてみて美味しかったもの、日々生活するなかで出会ったちょっと良いものを“おすそわけ”するよう心がけています。
いつ急なお呼ばれやパーティーがあっても良いように、お気に入りの手みやげは常に家にストックしてあります。家にあるちょっとしたお菓子を一つ二つほど、心配りとしてサッと渡せたら良いなと思っていて。
経営者が持つホスピタリティ•マインドに感応され、気遣いの大切さに気づきました
――日々の生活のなかで見つけたものをおすそわけ、とても素敵です。日常的に贈り物をされているんですね。贈り物を好きになったきっかけとして、周囲からの影響はありましたか?
これまで勤めていた会社の役員、経営者の方々が持つホスピタリティ・マインドに感銘したことはあります。気遣いも仕事の一つだと。仕事の一つというと業務のように聞こえてしまいそうですが、人との交流が大切な役職では、そういった心配りも良好な関係を構築する上で欠かせない大切なことの一つ。その延長に贈り物があるんですよね。
――受付時代の経験が橋本さんの手みやげ観に影響しているんですね。橋本さんはこれまで数々の手みやげを吟味されてきたかと思いますが、味、見た目、コストパフォーマンス、実利面などギフト選びにおいて、何を重視してきましたか?
とにかく自分が良いと思ったもの、この視点は大切にしています。そして、相手の生活に馴染むものを選びたい。手みやげは相手に渡った後、少しずつ相手の生活に溶け込んでいきますよね。贈ってくれた人を思い出す余韻を残しながら馴染んでいくと思うんです。その手みやげに触れたことによって“潤う”、“豊かになる”とか、食卓が“華やかになる”ことを感じてもらいたい。相手が受け取った後のことをイメージして、贈り物を選ぶことが多いです。
ひと手間かけた至福の甘さ 「NUMBER SUGAR」の『キャラメル』
――相手のことを考えながら、贈ったあとの情景もイメージして贈り物を選ばれているんですね。今回ご紹介いただける一つ目の手みやげとの出会いはいつでしたか?
たまたまお店の前を通りかかったとき、キャラメル専門店という名前に惹かれて、導かれるように試しにひとつ買ってみたことがきっかけです。とても美味しくて、懐かしい甘さ。生キャラメルなだけあって柔らかく優しい口当たり。
カバンを持たない男性でも、そのままポケットに忍ばせて帰ることもできるサイズ感。コーヒーを飲むタイミングで一粒、社員の人に一粒ずつ配ることもできる。男性向けの手みやげや、ちょっとしたプレゼントに最適な手みやげです。
美味しさの秘密は、キャラメルの製造工程にあるそうです。火加減や火から下ろすタイミングなど細かな工程にも気を配り、納得のいくものしか店頭に並ばせないようにしているそうです。香料や着色料を加えない無添加なつくりは、そのシンプルな美味しさに繋がっています。賞味期限が1ヶ月と適度に日持ちもするので、いつも大人買いをして自分用としてもストックしていますよ。
東京都渋谷区神宮前5-11-11 1F
恵比寿の人気フレンチの高貴なスイーツ 「AU GAMIN DE TOKIO」の『お酒に合う焼菓子SET』
――こちらの手みやげはキャラメルとは打って変わって大きめな箱に入った詰め合わせですが、こちらはどのようなシーンで使われますか?
こちらは、中目黒の「AU GAMIN DE TOKIO(オウ ギャマン ド トキオ)」というフレンチレストランで出している焼菓子セットです。普段はこのお店で会食した際にお土産としてお渡しします。往訪で持っていくときにこの焼菓子セットを使うこともありますね。
塩気のあるコショウが入ったもの、ポルチーニ茸をふんだんに使ったもの、白トリュフが薫るクッキーなど、ちょっと珍しい焼菓子の詰め合わせ。アーモンドやキャラメルの香りと塩気がよく合う、お酒に合わせたい一品です。ワインが好きな人、甘いものが苦手な男性に差し上げたいです。例えば経営者の方はお忙しい人が多いので、自宅に持って帰ってご家族とのリラックスタイムに召し上がっていただくのも良いですね。
――この手みやげに合わせたいオススメのお酒はございますか?
さっぱりした白ワインが良いと思います。冷えたスパークリングワインのイメージもあります。勝手な押し付けですが、休日の昼下がりにリラックスして飲むときのお供として召し上がっていただきたいです。
〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿3丁目28−3
吸い付くようなもっちり食感 「JEAN FRANCOIS」の『パン・ド・ミ』
――続いての手みやげは食パンということですが、おもたせに食パンを使われることが意外で驚きました! この手みやげとの出会いのきっかけは何でしたか?
実は私、食パンが大好きなんです。都内の食パンを食べ比べていたんですが、一年ほど前、この「ジャンフランソワ」の『パン・ド・ミ』に出会いました。
水分量が90%も含まれているので、舌に吸い付くようなもっちり食感が楽しめます。何もつけずにそのまま食べても濃い味わい。食パンというとカジュアルな印象ですが、毎日食べるものだからこそ、ちょっと良いものをもらえたら嬉しいと思うんです。家族がいる人なら一日で食べきってしまうようなものですが、日常に彩りを添えられる気軽な手みやげとして重宝しています。
〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1丁目12−1
国産小麦がぎっしり詰まった弾力のある食パン 「CENTRE THE BAKERY」の『角食』
――こちらの食パンは「ジャンフランソワ」の『パン・ド・ミ』とどのように使い分けていますか?
「ジャンフランソワ」さんはいつも身近な日常的な食パン。「セントルザベーカリー」さんは、店の前にはいつも行列が出来ていて人気店、店舗も少ないことでの希少価値、見た目もどっしりとしていて迫力があることから、ちょっとしたインパクトを残せます。手みやげに印象を加えたいときにこちらを選びますね。
店舗には、『角食』・『プルマン』・『イギリスパン』の三種類があります。国産小麦を使った角食パンが一番味が濃く、好みの味でした。キメが細かくて弾力があり、焼きたてをそのままちぎって食べるのがオススメです。
――どのようなシーンで食パンをお持ちしますか?
そうですね、例えば週末に友人が遊びに来るときや、久しぶりに会う友人に渡してオススメしています。お家に遊びに行く時に買って持っていくこともあります。日常的に使えるリアルな手みやげです。
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5丁目52−2 青山オーバルビル1F
噛むほどに美味しい旨味 「ワインセラーエスカルゴ」の『フエテック(サラミ)』
――白カビのサラミ、おしゃれですし、美味しそう。このサラミのオススメのポイントは教えてください。
白カビというとブルーチーズのような独特な味を想像してしまいそうですが、これは豊かな風味が癖になる、飽きのこないサラミです。すごくコクがあり、お酒によく合います。ディナーやホームパーティーに、ワインやビールと共に食べていただきたいですね。薄くスライスしてサラダに使ってみても良いし、サンドイッチにしても美味しそう。その人の色に染められる一品だと思います。良ければ召し上がってみてください。
――ありがとうございます。白カビの印象は無く、深みのある味わいでとても美味しいです。こちらも男性向けの手みやげですか?
これは意外と女性に人気です。お肉を差し入れするようなカジュアルさがあります。この癖のないジューシーさは子供も好きだと思いますよ。ホームパーティで料理として出してもらっても充分楽しめますし、すでに料理がたくさん用意されていたら別の機会にとっておくこともできるので、先方にとって使い勝手の良い手みやげだと思います。
りんごの果肉がゴロッと入った 「Bubby’s」の『アップルジャム』
――続いてご紹介いただくアップルジャムとの出会いはいつ頃でしたか?
「Bubby’s」のお店でランチをしたあと、帰り際に何気なく手に取って買ってみたことがきっかけです。一目見たときに美味しいだろうなと思いましたが、食べてみて予想を裏切らない美味しさでした。保存が利きますし、値段もそれほど高くない。食パンをプレゼントすることが好きなこともあって、食パンと共にあげることも出来る使い勝手の良さも魅力だと思っています。残念ながら現在入荷をしていないためご用意できませんでしたが、一度食べた時の衝撃が忘れられず今回ご紹介させていただきました。
これまで市販のアップルジャムの印象は、りんごを潰したジュレのようなジャムでした。アップルパイが人気の「Bubby’s」が作るジャムは、りんごの食感が残るコンポートのような仕上がり。本当にたっぷり果肉が詰まっていて嬉しい。
――果肉が入ったアップルジャム、とても美味しそうです。このジャムはどういった方に贈りたいですか?
ご家族がいる人に贈りたいです。大きめの瓶なので、一人暮らしの人には多すぎてしまうかもしれません。例えば、朝ごはんにトーストと一緒に食べてもらうのも良いですし、トーストの上にバターとりんごジャムとバニラアイスをのせて、スイーツとして食べても格別。ご家族みんなで楽しんでいただけたら嬉しいです。
〒107-6002 東京都港区赤坂1丁目12−32 アーク森ビル 2F
自分なりのエッセンスを加えたギフトを贈りたい
――様々な手土産をご紹介いただきましたが、社内でもこのような手みやげを交換される機会はありますか?
そうですね、社内では毎月テーマを決めて懇親会を開いているんです。先月の懇親会は“スペイン料理”がテーマ。パエリアや先ほど紹介したサラミ、チーズなどを用意して楽しみました。今回はたまたまおしゃれな感じですが、時には餃子祭り、王将の山盛りチャーハン、カレーやお寿司のときもありますね。みんなで企画してワイワイやっています。
――受付を経験されていた頃よりも、そういったパーティーでの手みやげや、差し入れ、贈り物をする機会は増えましたか?
そうですね、格段に増えました。受付では、自分達はむしろ受け取ることの方が多かったです。誰かが誰かに渡すものを一時的に預かることもありましたが、自分が贈り物を渡す立場になったのは、会社の経営を始めてから。往訪した際には手みやげを持っていきますし、移転パーティーや出版パーティーなどのお祝いには何かしら準備します。
とはいえ、スタートアップの経営者。上場企業の社長とは違うので高価なものはなかなかお渡しできません。自分を表現するもので、自分なりの贈り物のエッセンスだと思っています。金額が高くなった、量が増えたことよりも、その分、贈り物に込める思い、相手に対する気遣い、TPOを意識する機会が増えました。高価なものを渡すのは難しくて、もらった相手の心が少しでも豊かになるような自分なりの手みやげをおすそわけすることができたら嬉しいですね。
企画:大崎安芸路(ロースター)
取材・文:天野成実(ロースター)
撮影:norico