「ストーリーを感じてじっくり楽しんでもらいたい」Edが選ぶとっておきの手みやげ

日本人にとって、仕事でもプライベートでも、手みやげは身近な存在。それだけに贈り手のセンスが問われるものです。新連載「とっておきの手みやげ帖」では、各界における目利きの著名人が極上の手みやげをご紹介します。オススメの逸品との出会いや、おもてなしについてなど、手みやげにまつわるエピソードを語っていただく本企画。第4回目のゲストは、国内外のモード誌や広告などで、長年に渡って女性の肖像を描き続けているイラストレーターのEdさん。イラストレーションに留まらず、アートディレクションやデザイン、舞台美術や執筆、写真など、様々な分野で幅広く活躍されています。今回のインタビューでは、自身の贈り物にまつわるエピソードをたっぷり語っていただきました。


Edさんに、とっておきの手みやげを聞きました

Ed
1966年広島生まれ。イラストレーター、アートディレクター、画家。1988年、東京を拠点に活動を始める。長年に渡り国内外のファッション誌、ブランド、企業広告等に描かれる女性のモードイラストレーションは日本の美人画の系譜とも言われる。自身のウエアブランド『nakEd bunch』(2001-2010)のデザインを手掛けるなど活動の場を広げ、『DESSERT HOUSE』、『CoCo』、『QUAKENESS』、『Panspermia』、陶芸作品展『Salt Honey』など展覧会多数。2019年1月にエドツワキ(Ed TSUWAKI)より、Edに改名。
www.eeeeed.com

贈り主との関係から生まれるストーリー。プライスレスな贈り物

――今回は本企画にご協力いただきありがとうございます。Edさんは、プレゼントや贈り物をするのと、いただくのでは、どちらが多いですか?

いただいてばっかりです。いつもいつも“施し”を頂戴しているので、もう自分はお地蔵さんか、托鉢(たくはつ)のお坊さんに見えているのかな?と思っています(笑)。年齢を重ねるごとに図々しくなってきたので、遠慮なくお言葉に甘えられるようになりました。有難く頂戴して、いつか何がしかのカタチで返礼できたらいいですね。

――どういったものをいただくことが多いですか?

食べ物が多いです。ご自身が丹精込めて作られた米や野菜をいただくこともあります。春には長いお付き合いの北海道のおばちゃんが山に入って摘んだ『行者大蒜』がダンボール一箱送られてきました。

毎回、前触れもなく届くので、その日に招集を掛けて集まった幸運な友人たちと天ぷらにして、有難くいただきました。みんなあまりの美味しさにビックリしますよ。パワー満点です。これが届くとおばちゃんが達者な証拠なので、うれしいかぎりです。

おばちゃんへのお返しに、仲良くしている熊本の「のはら農研塾」からスイカを送ってもらいました。日本で一番早く収穫されるスイカで、毎年5月にいただきます。とても甘くて大きくて、ずっしりと重い、立派なスイカです。

東京にいながら、縁があって大地の成果がひょっこり届きます。プライスレスですよね。

――Edさんが多くの方に愛されている証拠ですね!ちなみに、どういった機会に贈り物をいただくことが多いですか? 

様々です。

関西や九州で個展の巡回展をやったときは、作品を積んで自分の車で西に向かったんだけど、会期中はギャラリーのオーナーや友人のお宅に長期の逗留をさせていただいて、滞在制作したり、食事をご馳走になったり、一緒に風呂屋に行ったり、下着の洗濯までしていただいたり… 裸の大将まっしぐらです(笑)。

旅のおみやげ選びには手を抜きたくない

――キャラバンのようですね。やはり、そのような旅行の終わりにおみやげを買われることはありますか?

いざ贈り物を選ぶ側に回ったら手を抜かない性分かもしれません。

海外でみやげ物屋の店内を歩き回ってみて、実際にその国で作られた物を見つけ出すのは至難の技だったりします。例えばワイキキあたりでMade in Hawaiiのものを探してみてください。ほとんどないと思います(笑)。キーホルダーひとつとっても本気で選びます。絵葉書でも、その国の切手でも、僕がそこで出会ったということが大事でね。自分がもらってうれしいものが見つかったら買って帰ります。

――特に印象に残っているおみやげはございますか?

石を拾ってくるくせがありましたね。もうやめましたけど。道で拾ったガラクタとかも。おみやげと言えるか分からないけど。

※左上から松ぼっくり、石、釘、「Peugeot(プジョー)」のバイクのメーター

この錆びた釘は、アイルランドのアラン島で石塀の上にボロッと置き去りになってたもので、一体どれくらいの年月そこにあったんだろう。

こっちは初めてパリに行ったときに道端で拾った、Peugeot(プジョー)のバイクのメーター(笑)。もちろんこれまでたくさん旅をしたし、もっとマシなもの、買い物もたくさんしたのに、何故か今もこんなジャンクが手元に残っています。殆どのものが淘汰されていったのに、不思議ですね。

スピリチュアルでサプリのようなチョコレート
「cacao∞magic」の『インナートリップセット』

――まさに自然からの贈り物ですね。さまざまな物ひとつひとつにストーリーが感じられてとても素敵です。今回ご紹介いただく「cacao∞magic」の『インナートリップセット』との出会いのきっかけは何でしたか?

「cacao∞magic」のショコラティエである松田すみれちゃんが30年来の友人なんです。彼女は日本におけるローチョコレートの先駆者で、彼女に「cacao∞magic」の初期のチョコを食べさせてもらったことが、そもそものきっかけです。

ローチョコレートとは、カカオ豆を48℃以下の“RAW製法”という特別な低温調理で仕上げたチョコレート。実はカカオは300種類以上もの栄養素が詰まった、“スーパーフード”なんだそうです。低温で調理されたカカオは、カカオ本来に備わっている栄養素を壊すことなく、また風味も損なわずに美味しく仕上げることができるそうですよ。

「cacao∞magic」のローチョコレートを初めて食べた時は衝撃を受けました。フレッシュで濃厚なカカオの香りと味が口中に広がって得もいわれぬ体験でした。今まで食べてきたチョコレートはなんだったんだろう? という。

――ローチョコレート、初めて聞きました。面白い外箱ですが、何かコンセプトのあるチョコレートでしょうか?

グラフィックアーティストの河野未彩さんの作品『HIPNOSIS 01』から着想を得て、ストーリーに出てくる4つのモチーフ『UFO』、『PYRAMID』、『BUDDHA』、『TORUS』を型どったチョコレートのセットですね。エネルギー循環システムを表す『トーラス』は僕も好きなモチーフで、ニコラ・テスラやバックミンスター・フラーに繋がってくるんだけど… ぜひこれ『ムー』でも取り上げてほしいですね! (※『ムー』=学研プラスが発行する月刊オカルト情報誌のこと)

ブックレットにそれぞれのフレーバーの効能が図解入りで記述されています。

※上から『UFO』、『トーラス』、『ピラミッド』、『ブッダ』の効能が記載されたブックレット

――チョコレートを食べる前に効能書きを読むなんて面白いです。この味の中でどのフレーバーが一番お好みですか?

ブッダさんが好みです。頭をかじるのは少々気が引けますが...

昔、チョコレートは気付け薬のような役割りをしていたそうです。そう考えると、すみれちゃんは錬金術師や薬剤師といった見地でチョコレートを作っているんじゃないかな。処方箋はいらないし、美味しいし、彼女は使命感持ってやってる気がします。

――どんな人に贈りたいですか?

確かな舌を持ってて、このセンスオブユーモアを解してくれて、封を開けたときにゲラゲラ笑ってくれる女性に贈りたいですね。

――丁寧に目を通してもらえたら、この手みやげをより一層楽しむことが出来そうです。本日は様々なお話を伺うことができ大変光栄でした。ご協力いただきありがとうございます。

ありがとうございました。

企画:大崎安芸路(ロースター)
取材・文:天野成実(ロースター)
撮影:藤井由依(ロースター)

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