情報だけじゃない。「想い」を届けるカタログギフトを

ギフト市場について業界のキーマンに語っていただく「ギフト2.0」連載企画。今回はリンベル株式会社の濱田奈津樹さんに、同社が設立から手がけ続ける「カタログギフト」の最新の魅力を伺います。人生の節目や年中行事の贈り物として定番のカタログギフト。近年は体験型アイテムなども充実し、ゲスト別の「贈り分け」活用、さらにカード型の登場など、進化中です。


贈答品の定番「カタログギフト」、実はまだまだ進化中!

贈り贈られ、たくさんの幸せを生み出すギフトは、おもてなしの心が根付く日本にとって大切な文化。お歳暮や結婚式の引き出物などのフォーマルギフトから、誕生日や手土産といったカジュアルギフトまで形は様々。さらに新たなライフスタイルが生まれ多様化する今、ギフトもまた変化しています。

そこでこの連載では、これからのギフトについてキーパーソンに聞いていきます。今回訪ねたのはリンベル株式会社。世代を超えてすっかり定着したカタログギフトの世界にて、パイオニアであり続ける存在です。同社ブライダル営業部課長の濱田奈津樹さんに、カタログギフトの魅力の本質や、最新潮流までを伺いました。

取材先プロフィール

リンベル株式会社
1987年設立。カタログギフトの黎明期から現在まで、名ブランドにして革新者であり続ける。豊富な品揃えとクオリティで各シーンに合わせたカタログギフトを企画・制作・販売。一般ギフト商品の開発・販売も行う。2019年3月「リンベル ギフトブティック」を銀座にオープン。

人物プロフィール

濱田奈津樹(はまだ なつき)さん
リンベル株式会社 営業本部 流通統括部 ブライダル営業部課長。2008年に入社し、現在は主に婚礼施設への営業を担当している。

贈る人と贈られる人、どちらにも「選ぶ喜び」を

リンベル株式会社 営業本部 流通統括部
ブライダル営業部 課長 濱田奈津樹さん

――リンベルはカタログギフトの黎明期から現在まで、30年以上この領域の第一線を走っています。今や年間約950万件のギフトオーダーを扱うとのこと。そんなエキスパートの皆さんから見て、カタログギフトの魅力とはなんでしょう?

濱田奈津樹さん(以下、濱田):贈られる方の視点でいえば、やはり自分の好みや都合に合わせてカタログの中から好きなギフトを選べることでしょう。贈る側にとっても、お祝いや感謝の気持ちは強いけれど相手の好みがわからない、という悩みも解決できるギフトかと思います。

また結婚式などで手渡される際、軽くて壊れる心配がなく、賞味期限を気にする必要もありません。そうした日本的な思いやりの心にもマッチするのが、カタログギフトではないかと思います。

――今は一冊のカタログから選べるギフトアイテムも豊富ですね。ファッション、電化製品、日用品、食材、家具などなど。

濱田:当初は物品中心だったのが、やがて多様なグルメ食材も扱えるようになり、さらに近年はレストランやエステ、旅行など、体験型ギフトも人気です。リンベルでは、伝統芸能鑑賞などのエンターテインメント領域もいち早く取り入れてきました。

掲載アイテム数については、多いものだと一冊のカタログに2000点ほど。取扱アイテムの総数は4万点を超えています。現在は約50シリーズのカタログがあり、全体で約700万部発行しています。

――アイテムだけでなく、カタログのラインナップもここまで豊富にしている理由は?

濱田:好きなものを選んでいただけることがカタログギフトの良さですが、贈り手の方からすると、逆にそれで「適当に決めたカタログをくれたのかな?」とは思われたくないですよね。また近年は、結婚式などでは豊富なカタログ群から個々のゲストに最適なものを選ぶ「贈り分け」や、数冊組み合わせるスタイルも普及しています。

カタログの多様化はそうしたニーズに対応していると言えるでしょう。当社ではウェディング、出産祝いなどギフトシーン別のカタログはもちろんのこと、同じシリーズでも価格帯ごとに複数コースがあり、ライフスタイルマガジンのような「RING BELL THE PREMIUM」などもあって多種多様です。

他にもグルメ食材に特化したものや、レストラン体験を特集したもの、またディズニーグッズのみを集めた一冊や、『25ansウエディング』などの雑誌とコラボしたカタログも作っています。

ラッピングにもこだわる。「アート水引」(左)は水引デザイナー長浦ちえがデザイン。「スペシャルラッピング」(右)はラッピング技能士やデザイナーとの共同開発。

――「相手に選んでもらえる良さ」と同時に、贈る側の想いや価値観も伝えられる。カタログギフトはそんな存在を目指して発展してきたわけですね。

濱田:そう思います。カタログギフトは仕組み上、贈り物としての暖かさを表現しにくいイメージを持つ方もいるかもしれません。でも、だからこそもらった瞬間から喜んでいただけるものにしたい。そんな想いからラッピングにもこだわり、ひとつひとつ手で結い上げるアート水引や、和紙と紐でひとつずつ包むスペシャルラッピングなどもご提供しています。

また2017年から、公募による「リンベル カタログギフト ラッピング大賞」も開催しています。そこに込めたのは「贈るだけではなく、贈り手の想いまで届けることを大切に」という気持ちです。

「想いが届くカタログギフト」を実現するキーワード

――良いカタログギフトには、贈る側の想いやセンスも込められる。そんなカタログギフトのアイテム群を仕入れる際、何を一番大切にしていますか?

濱田:やはり、一番大切なのは「品質」です。選べるギフトだからこそ、良いものだけをお届けしたいですから。リンベルでは各ジャンルのトップブランドも取り扱っていて、これは値引きなどを一切せず各社とお付き合いしてきた信頼関係で実現しています。

また、各ギフトアイテムのトレーサビリティ確保(製品がいつどこで誰に作られたのかを追跡可能な状態にすること)に加え、社内にも品質管理室を設置するなどしています。その意味で、品質確保はお客様と仕入先、双方との「信頼」につながっているとも思います。

多様なシーンや志向に応えるカタログは約50シリーズに上り、価格帯で複数コースを展開する。

――一方で、オリジナルギフトブランドも開発していますね。日本全国の特産品を紹介する「日本の極み」は産地直送などで品質と安全にこだわりつつ、現在約400点の商品ラインナップとなっています。

濱田:これはリンベルグループ創業の地である山形から、地域生産者の方々のご協力を得て独自に始めたプロジェクト「山形の極み」が出発点です。手応えがあったので、ぜひ日本全国でやってみようとなりました。いずれもパッケージデザインは、山形の東北芸術工科大学の学長でアートディレクターの中山ダイスケさんに依頼。

日本パッケージデザイン大賞2017での金賞受賞でも注目していただけました。こうした、リンベルでしか手に入らない「オンリーワン」のギフトにも力を入れています。著名ジュエリーブランドの4℃とのコラボで実現した、オリジナルワイングラスなどもそのひとつですね。

――「品質」「信頼」「オンリーワン」といったキーワードにこだわる背景には、どんな想いが?

濱田:やはり、想いが伝わるカタログギフトをご提供したいというのがひとつ。加えてリンベルという企業の視点から言うと、贈った方と贈られた方、それぞれにリピーターになっていただきたいとの願いがあります。

カタログギフトは、人生の節目節目にご活用いただくことが多いものです。結婚や出産はもちろんのこと、大切な人を送り出すお葬式や、故人を偲ぶ集まりの場などもそうです。

だからこそ、満足していただければ「次の機会も」と思ってもらえるし、受け取った人は「自分が贈るときもここがいいかな」と思っていただける。当然、がっかりさせてしまえば逆もあり得るので、真摯に取り組んでいます。

近年はカードタイプにも注力。「リンベルe-Gift ブライダルカタログギフト」(左)や、引き出物 3 点セット 「STYLISH e-Gift」(右)を展開中。

ウェブ活用から実店舗進出まで、業態ミックスで進化する

――近年、カタログギフトの世界では、クレジットカードサイズの「カード型」も登場しています。カードに記載されたIDやパスワードで専用ウェブサイトにアクセスし、受け取るギフトの選択ができる仕組みですね。

濱田:紙ではなくウェブだからこそ可能なサービスとして、最新のファッションや旬のグルメ、そして数量限定のアイテムなどに対応できる利点があります。リンベルでの取り組みの例を挙げると、ブライダルで人気のカタログギフトの 2シリーズに、ウェブから選べるカードタイプの「リンベル e-Gift(イー・ギフト)」を追加しました。

また、カード1 枚で「引き出物」「引き菓子」「縁起物」の 3 点を選べるウェブカタログギフトサービス「STYLISH e-Gift(スタイリッシュ イー・ギフト)」も全5コースの価格帯でご用意しています。

――まずはカード一枚でギフトを受け取れると、みんなが大きな引き出袋を抱えて二次会へ……といった大変さも解消されそうです。

濱田:そうですね。一方で、ここでも贈り物としての温かみは大切にしたいと考えました。そこでパッケージは上品なボックスタイプと封筒タイプから選べるようにし、小さな手提げ袋も用意するなど工夫しています。ネットを活用したギフトサービスは卒業式や企業のパーティなど、より多様な場面でも活かせると思います。

また、たとえば受け取り手ごとに特化したメッセージを表示させるなど、柔軟なパーソナライズ機能にも可能性がありそうです。近年はSNS でつながっていれば気軽に贈れるソーシャルギフトも人気ですね。ただ、ネットの利点を取り入れる際も「ギフト感」は大切にしたいと考えています。

――「ギフト感」というと?

濱田:たとえばいまお話したパッケージの話もそうで、小さくても持って帰れる「形」があることが、想いを伝えることにつながるのではないでしょうか。

また、結婚式のような祝いの席は両家の結び付きの場でもあるので、ご自分たちらしさと同時に伝統も大切にできたら良い、といったことがありそうです。それぞれのギフトシーンで、便利さだけではない、贈りものとしての想いを届けられる形がご提供できたらと常に考えています。

――テクノロジーの活用だけでなく、2019年3月には実店舗として新業態のギフトセレクトショップ「リンベル ギフトブティック」がオープンしました(東急プラザ銀座のセレクトストア「HINKA RINKA銀座」内)。

濱田:店内では当社の各種カタログギフトに加えて、「日本の極み」シリーズをはじめとした上質なギフトアイテムもご購入可能になっています。ぜひみなさんいらしてください。私たちにとってはお客様の生の声にふれられる貴重な場であるのと同時に、そこで得たものをこれからのカタログギフトにも随時フィードバックできるのでは、と期待しています。

――それでは最後に伺います。濱田さんにとって「ギフト」とは?

濱田:ギフトとは、人と人との心をつなぐもの。「贈って良かった」「もらって嬉しい」というように、人はギフトを通じて相手との関係を深めることもできると感じています。また、ふだんの自分なら選ばないような世界に、ギフトを通じてふれられることもありますよね。

私にもそうした体験があります。姉の結婚式でカタログギフトを手配してあげたのですが、式後に私もギフトを選んで受け取ろうとなったとき、手配時は知らなかったウェブ限定アイテムの中から、とても素敵なピンクのピアスに出会いました。

以来、いまでもそれを大切にしています。ギフトがくれるそうした発見や出会いは、人生を豊かにしてくれると思っています。

企画:天野成実(ロースター)
取材・文:内田伸一
撮影:菅原景子

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ギフト2.0

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