東京みやげの定番! 東京御三家の名匠「亀十」どら焼き

東京みやげの定番! 東京御三家の名匠「亀十」どら焼き

日本古来より脈々と受け継がれる技術で匠の逸品を生み出す職人たち。近年、熟練の技を活かした伝統工芸が進化を遂げているのはご存知ですか?今回ご紹介するのは浅草で90年の暖簾を誇る、老舗和菓子屋「亀十」。浅草では知らない人はいないといわれている名店のどら焼きは、差し入れや手みやげにぴったり。老舗の味を求めて足を運び、その魅力を聞きました。


1日売上げ約3000個!定番と称される名店の味とは? 

お手頃なおやつとしても、取引先への手みやげとして重宝されているどら焼き。その発祥は諸説あり、銅鑼を模して作ったと言われていたり、“義経一行が奥州へ逃れる道中に、弁慶がとある民家で怪我の手当をしてもらったとき、お礼に熱した銅鑼で生地を焼き、餡を包んだ菓子を作ってあげた”のが始まりだと言われていたり。

今回は、いつの頃からか私たちの生活に馴染み寄り添ってくれたどら焼きの名店をご紹介。職人が一枚一枚手で焼き上げるこだわりのどら焼きが人気の「亀十」に、その魅力を聞きました。

取材先プロフィール

亀十
長寿で知られる“亀”と、1〜10の中で最大の数10を掛けて、末長く大きく繁栄するような願いを込めた浅草「亀十」。大正末期から90年の創業を誇る老舗和菓子店。

人物プロフィール

井上修一(いのうえ しゅういち)さん
亀十のスタッフとして約20年勤続。亀十の魅力を伝え、その長い歴史の一端を担う一人。

優しく柔らかい甘み。こだわりの典雅な味わい

※贈り物用に5個入りから箱詰め、包装していただけます。

――「東京三大どら焼き」とも言われる亀十さんのどら焼き。贈り物として利用されている方にはどのような方がいらっしゃいますか? 

井上修一さん(以下、井上):一般のお客様でしたら、若いカップルのデートスポットや、海外の方の観光スポットとして立ち寄っていただいています。帰省時の東京みやげとして購入される方もいらっしゃいますね。一つから買えるので、半分に割ってシェアして食べてもらいながら観光する方もいらっしゃいますね。昔から長く利用していただいている常連さんもいらっしゃいますし、様々です。

土地柄、周辺に企業様もありますので、挨拶の手みやげとして買われるサラリーマンの方もいらっしゃいます。芸能関係ですと、一昨年は乃木坂46さんから紅白の楽屋に差し入れとして購入されました。あとは梅沢富美男さん、林家一門さんもよくご利用いただいています。

美味しさの秘訣①ふわふわの生地

――ぜひ美味しさの秘密を教えていただけますか?

井上:うちのどら焼きの特徴は3つです。1つ目は皮にあります。一枚一枚鉄板で焼きあげたふわふわの生地。絶妙なタイミングでひっくり返さないと、しぼんでしまう、まさに熟練の技です。また皮のサイズも均一して大きめにしてあります。

大きくてふわふわのどら焼きは、手にした時のインパクトが違います。“焼き専門”の職人たちが5、6台ある鉄板に向かい合い、店舗にほど近い工場で焼いたものをその日のうちに提供しています。

美味しさの秘訣②皮の模様

――確かにふわふわとしていて皮も大きめですよね。手焼きと分かる焼き目がどこか懐かしいです。

井上:はい、2つ目の特徴として、皮の模様があります。コンビニなどでよく見かける市販のものは、表面がつるつるとしていて焼き目が綺麗ですよね。でも実は、表面にブチがあればあるほど、美味しくふわふわに仕上がる。うちの皮の独特な模様は、美味しさと直結しているんです。手焼きのような焼き目でうちのどら焼きを覚えていてくれるお客さんも多いですね。

美味しさの秘訣③こだわりの餡

3つ目は、餡。100%十勝の小豆を使用し、工場で煮て作っています。小豆の風味を損なわないために使う甘味もグラニュー糖のみ。添加物不使用の自然な甘さがこだわりです。

――中の餡は、あんこの他に種類はありますか?
井上:インゲン豆の餡と、小豆のあんこの2種類です。和菓子業界の用語では、インゲン豆の餡は“手亡豆(てぼうまめ)”と呼びますが、一般的にインゲン豆と言われているものです。

この2種類は、うちの生地と相性が良いんです。小豆は柔らかく煮ているため、ふんわりとした生地によく馴染むしっとりとした餡。砂糖の量も生地とのバランスを見て、甘くなりすぎないよう設定しています。後引く甘さが潔い味わいです。

――亀十のどら焼きの美味しさには様々な秘訣が隠されているんですね。差し入れや手みやげとして贈る際は保存方法など気をつけることはございますか?

井上:うちのどら焼きは添加物や保存料を使っていません。素材そのものの味、質感を楽しんでほしいので、購入してから3日以内に召し上がっていただくのを推奨しています。冷蔵すると長持ちしますが、直接品物を冷やしてしまうことで生地が水分を含んで沈んでしまうためオススメしていません。あえて常温保存で、お早めに食べていただきたいですね。

行列必至の暖簾を守る技術力

※約15年亀十の工場に勤める職人の酒井さん

――さきほど“焼き専門”の職人さんがいるとお聞きしましたが、工場には何人もの職人さんが作業されているんですか?

酒井:本店の裏にある工場にはだいたい“焼き専門”が8名、“餡付け専門”が4名ほど。それ以外にも砂糖を測ったり、生地を作ったり、他の和菓子を作るものも居ます。ひとつの品物でもいくつかの工程に分かれているので分業して作っています。入ってすぐの新人は粉を振るなどの簡単な業務を担当し、ベテランのものは焼きを任されています。

――生地を焼き上げる上でのポイントをお教えいただけますか?

酒井:ポイントは色々ありますね。生地を鉄板に落とす時には大きさや形を均一にするよう気をつけます。焼き方にも注意が必要です。火加減が重要ですが、ひっくり返すタイミングも生地のふわふわ感を演出するためには大切な要素のひとつです。

焼きあがったと感じたら、さっと鉄板から生地を離して冷まします。ひっくり返すタイミングは感覚。何度も練習をして失敗をして、長年焼き専門でやっていく上で培った技術ですね。冷まし切ったら餡を塗り挟んで包装し、提供します。ここまでの作業をさまざまな職人で分担しながら毎日たくさんのどら焼きをお店に出しています。

――毎日どれくらいの枚数を焼かれていらっしゃるんですか?

酒井:とにかくたくさん。時期によってムラはありますが、1日平均して3000個ほどのどら焼きを提供しているので、生地は倍の6000枚になりますね。

どら焼きブームで亀十の人気に火がつく

――創業当初からどら焼きが人気でしたか?

井上:創業当初の大正時代は、どこの和菓子屋さんも羊羹や最中を売り出していたようですが、亀十もまた同じように最中から始まりました。戦後間もない時代だったのでお砂糖は高級品。そこで、砂糖をたくさん使った小豆を蓋がしまらないほどたっぷり挟んだうちの最中は、当時インパクトがあったようです。創業から看板商品として長く愛されてきました。

どら焼きの人気に火がついたのは、そこから時は流れ、砂糖が一般的に使われるようになった平成の世。バターを入れたどら焼きが人気となり、“生どら焼き”と呼ばれる商品が出始め、世間に「どら焼きブーム」が訪れた頃、亀十のどら焼きが注目され始めました。

今では開店前から行列ができ、メディアでも取り上げていただく“人気店”と呼ばれるお店になりました。“どら焼きのお店”と覚えていただけることもあり、有難いですね。

――これほどまでに人気を保ち続ける秘訣は何だと思われますか?

井上:素材や技術にこだわった職人の作るどら焼きは、食べた時に懐かしさや優しさが感じられて暖かい。見た目のインパクト、立地、列に並ばなければ買えない希少さ等、他にも様々な理由はあると思いますが、職人のどら焼きに懸ける愛情が皆様から愛され続ける商品を提供できる大きな理由だと思います。

贈り物として大切な人に渡すとしても、自分へのご褒美としても、ふらっと立ち寄った際のおやつとしても、ぜひ当店をご利用いただけたら嬉しいですね。

企画:天野成実(ロースター)
取材・文:天野成実(ロースター)
撮影:藤井由依(ロースター)

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