押さえておきたい!お中元の意味と贈り方!
夏に行われる贈答の風習として知られている「お中元」。地域によって多少の違いはあるものの、お歳暮とセットで贈っている方も多いでしょう。
これからお中元を贈り始めようと考えている方や、そういえばいつも贈っているけれどお中元ってよく知らないという方は読んでみてください!
知っていますか?「お中元」とは?
お中元とは、「夏に贈る贈答品」のことです。暑さによる健康状態を気遣うとともに、1月から半年間お世話になったお礼を込めて品物を贈る風習です。
では、具体的にいつ頃、どんなものを贈ればよいのでしょう。今後、末永いお付き合いをしていく方との付き合い方のひとつとして、心得ておきましょう。
■お中元の由来と意味とは
お中元は、贈る時期が違うだけで、基本的には「お歳暮」と同じ意味合いで使われます。お中元は「半年間お世話になったお礼」と「暑さと相手の体調を気遣う」目的で贈る品です。
日本の風習の中ではお中元は「お盆」の時期と重なるため、お中元を「盆礼(ぼんれい)」や「盆供(ぼんく=お盆のお供えものという意味)」と呼ぶこともあります。
■地域で異なるお中元を贈る時期とは
お盆に「新暦・旧暦」という1ヶ月の違いがあるように、お中元の時期も地域によって異なります。
相手の方の地域が「新暦のお盆(7/15)」なのか「旧暦のお盆(8/15)」なのかによって贈る時期が1ヶ月ほどずれますので注意しましょう。
新暦のお盆の場合は7月初めから7/15まで、旧暦のお盆の場合は7月下旬~8/15までに贈ります。
■お中元とお歳暮の両方を贈らなければいけないの?
これは見解が分かれるところですが、「お中元」を贈るのであれば、「お歳暮」も贈るべきでしょう。
お中元もお歳暮も「お世話になったお礼」として贈るものですが、お中元は半年間お世話になったお礼の意味合いが、お歳暮は1年間お世話になったお礼という意味があるので、お中元を贈らずにお歳暮だけ贈ることは失礼になりません。
今回1度だけ贈るのであれば「お中元」ではなく「御礼」として贈りましょう。また、1度贈り始めたお中元をやめる場合はやめ方にも注意が必要です。
確認しておこう!お中元を贈る「相手」とは?
相手に感謝を伝えるのがお中元と言われても、「どんな人に贈るべきなのか」を迷う人も多いですよね。お世話になった人に、と言われてもある程度のところで線引きをしないと贈る相手が膨大になってしまいます。
お中元を贈るべき人と贈らなくても良い人の境界を確認してみましょう。
■継続的にお付き合いする相手であること
会社関係(上司や取引先)や親戚など、継続的にお付き合いする方には、お中元を贈るべきとされています。しかし最近では「今後、お気遣いは無用に願います」といったお断りをいただいたくこともあるようです。
お中元はいただいたほうも気を遣うことがあるので、どうしても感謝の気持ちを伝えたいのであればお中元よりも気を使わない「御礼」として贈ることをオススメします。
■相手の嗜好や家族構成などの情報を掴んでいること
これは重要なポイントです。お酒が苦手なのにビールをいただいたり、独身なのに家族向けの量が多い品をいただくなど、受け取った側が品物の処理に困ることもあります。
お礼の品といえども、「相手の立場」を考えるのは重要なこと。相手の最新情報が更新できないような関係であれば、お中元は避けたほうが良いかもしれません。
■政治家や公務員ではないこと
政治家であれば「公職選挙法」、公務員であれば「倫理規定」に抵触する恐れがあります。これは自分と利害関係のある人(有権者や取引相手など)との賄賂とみなされる可能性があるためです。
最近では外資系や民間企業でも、「パワハラの温床になる」「贔屓(ひいき)が生まれる」「個人の負担が大きい」などの理由から禁止しているところが増えてきました。
押さえておきたい!お中元で贈る品物の選び方とは?
お中元に定番の品というものはありますが、「感謝・お礼の気持ち」を表すものなので、あなたの感性で選びましょう。
何を贈ったら良いか分からないとき、まずは自分が考える「夏の暑さを乗り切れるもの」「涼しくなれるもの」を基準に品物を選んでみましょう。
■お中元で贈る品物を選ぶ時の心遣いとは
お中元は夏の暑い盛りに贈るものなので、まずは「涼しくなれるもの」を探してみましょう。
そうめん、ビール、水ようかん、ゼリー、アイスクリームなど、いろいろありますね。それらの中から、受け取る方の年齢や家族構成、嗜好を考えるとだんだんに品物が絞れてくるはずです。
金額ではなく「気持ち」を届けるものなので、あまり高額になるものは避けましょう。翌年以降が大変になってしまいますよ!
■ お中元で贈ってはいけない品物とは
お中元として贈ってはいけない品物もあります。「語呂合わせの悪いもの」や「(花言葉など)良くない意味を持つもの」、そして「身に着けるもの」や「金券」です。
語呂合わせの悪いものは「4(死)」や「9(苦)」を連想させるものの事です。櫛や刃物(縁が切れる)などがあります。
良くない意味を持つものは「花言葉」やハンカチ(和名は手巾=てきれと言い、「手切れ」に通じる)などがあります。
身に着けるものや金券は、特に目上の人にはNGです。靴下や靴は「(相手を)踏みつける」、金券は「お金のない人」、肌着などは「(着るものに困るほど貧乏なので)恵んであげる」という意味が含まれるためです。
■相手によって異なる「贈る品物」の金額の目安とは
お中元は「無理のない範囲」の金額(3,000円~5,000円)が一般的です。お中元よりお歳暮のほうが3割程度高い金額になることを考えても、あまり形式張らないほうが良いでしょう。
親戚や知人などであれば3,000円程度、上司や目上の方でも5,000円程度が妥当です。あくまでも目安ですので、目安金額以下の品を贈ったからといって無礼ということではありませんからご心配なく!
知っておきたい!お中元につける「のし紙のマナー」とは?
お中元の顔ともなる「のし紙」は、さまざまなタイプがあります。
使って良いもの、悪いもの、正式なもの、略式なものなど相手によって使い分けることが必要な場合もあります。また、お中元の時期を逃してしまった場合についても考えてみましょう。
■「内のし」と「外のし」の違いとは
内のしというのは「包装紙の内側にのし紙を掛けたもの」のことで、外のしというのは「包装紙の外側にのし紙を掛けたもの」のことです。
外のしは「表書きがすぐに見えるように」、内のしは「(内祝いなど)お祝いのおすそ分け」に使われていました。最近ではデパートなど配送先から直接配送される場合も多いため、配送途中に破損したり汚れたりしないよう「内のし」にすることが多くなりました。
■使う水引の種類と表書きの書き方とは
お礼は厳密にはお祝い事ではないのですが、毎年繰り返し贈り、今後も長く付き合いが続くようにという願いを込めて白赤で蝶結び(花結び)の水引を使用します。白い水引は掛け紙の色と同化して見えにくくなるため、白の代わりに金色で印刷した赤金の水引ののし紙もあります。
水引の数は基本である5本のほかに、より丁寧な7本のものと、略式の3本のものがあります。お中元には5本か7本を使うと良いですね。表書きは「御中元」または「お中元」としましょう。
■「熨斗」を付けてはいけない品物とは
のし紙というくらいなので「熨斗」が付いているのが当たり前なのですが、熨斗を付けてはいけない品物があります。それは「生臭物(なまぐさもの)」と呼ばれる生ものです。
生ものとは鮮魚・魚卵・お肉や貝などを含みます。熨斗は本来「お祝いの品である目印」と「中身が生ものであることを知らせる」役割がありました。その流れで、中身が生ものの場合のしは付けないこととされています。
■お中元期間を過ぎた後に贈る場合の表書きとは
地域によってお中元の時期が異なることはご紹介しましたが、その関係で「贈る時期を逃してしまった!」ということがあるかもしれません。そんな時はどうしたらよいのでしょうか。
立秋である8/7までであれば「暑中見舞い」、それ以降であれば「残暑見舞い」という表書きを使います。目上の方に贈る場合は「見舞い」は失礼なので「暑中御伺」「残暑御伺」と書きましょう。
知っておきたい!お中元を「贈る時」のマナーとは?
お中元は、持参する場合と宅配にする場合でもちょっとしたマナーの違いがあります。「デキる大人」になるためにも、それらのマナーについてみていきましょう。
お礼の品というのは「持参するのが基本」です。もしどなたかがお中元をもって来た場合の受け方も、合わせて確認してみましょう!
■お中元を直接持参する時のマナーとは
相手方に持参して手渡す場合、まずは事前に連絡をして、「いつ」「何時ころ」が良いのかを確認しますが、あくまでも「相手の都合優先」で。
また、訪問するときは約束の時間きっかりか、それより5分ほど遅れていくのが良いとされています。
風呂敷に包んだり紙袋に入れて持っていくと思いますが、相手に渡すときはそのまま渡すのはNGです。必ず風呂敷や袋から出し、包装の破れなどがないかを確認したうえで、名入れが相手の方に向くようにして渡しましょう。
そのとき、「ご無沙汰のお詫びかたがた、心ばかりですが」や「いつもお世話になっております。お口に合うかどうかわからないのですが」といった一言を添えられればGoodです!
■お中元を宅配便で贈るときのマナーとは
宅配で先方に贈る場合、生ものなど日持ちのしないものや常温保存できないものを贈る場合は特別な配慮をしましょう。
どのお宅にも冷蔵庫・冷凍庫はあると思いますが、贈られた品が入りきらない、ということも起こりえます。そのため「生もの」や「冷蔵・冷凍品」を贈る場合は、事前に連絡を入れ、いつ、どのくらいの量が届くのかを伝えておくと親切です。
■相手や自分が喪中の時の「お中元の贈り方」とは
贈る側、受ける側いずれか(もしくは両方)が喪中であっても、お中元は贈って良いとされています。ただし、四十九日を過ぎてから贈る(四十九日未満の場合は香典の意味合いになるため)というルールがあります。
また、お祝い事の意味がある「熨斗」と「水引」の付いていない「無地のし(奉書紙=ほうしょし)」を使うのがマナーです。無地のしではなく「白紙短冊」を使用しても問題ありません。
お中元がわかればお歳暮も理解できる
お中元のルールがわかれば、お歳暮にも応用できます。日本の風習であるお盆と結びついているので複雑に感じていた人も、ここまで読んで「そんなに複雑でもないかも♪」と感じていただけたのではないでしょうか。
社会人になるとお中元やお歳暮はついて回るものです。礼儀とマナーができて初めて「大人」と呼べるのかもしれませんね。環境が変わったら、その都度お中元について見直してみると良いですよ!