謝罪の菓子折りの渡し方・訪問マナー
取引先に迷惑をかけてしまった、新入社員が失礼な態度で先方を怒らせてしまった、などなど…。ビジネスシーンでは「謝罪」の機会がたびたびあります。また日常生活でも子供が物を破損したり、事故やトラブルを起こしたり、お詫びの訪問をする機会がありますよね。
謝罪の場に菓子折りは持参するとき、どのように渡せばいいのでしょうか?まずは謝罪に関するマナーをご解説します。ビジネスシーン・プライベートシーン共通のマナーです。ぜひ、事前にチェックしてみてください。
■訪問して謝罪するケース…菓子折りの渡し方
実際に菓子折りをもって謝罪しに行く際の、訪問マナーは次の通りです。
謝罪の流れ
(1)約束した時間の5分~10分前に訪れ、エントランスで待機する
(2)時間ちょうどに呼び鈴・内線を押し、入室する
(3)会議室・応接室などに通されたら着席せず下座(入口付近)で待つ
(4)謝罪の相手が到着したら、相手より後に着席する
(5)経緯を延べ、今後の対応を相談する
(6)帰り際に菓子折りを渡し、挨拶(お詫びとお礼)をして退出する
渡すタイミングは後
挨拶用の菓子折りを渡す際は、通常、会の一番初めです。しかし、謝罪の菓子折りは会の終わりに渡すのがマナー。菓子折りを受け取る=お詫びを受け入れることを意味するため、最初から渡してしまうと受け取らない恐れがあります。
渡し方のポイント
一番目上の人に渡します。袋から出してお辞儀をし、「心ばかりの品物ですが」「この度は誠に申し訳ありませんでした」と添えて渡しましょう。
■訪問せず菓子折りを郵送して謝罪するケース
何らかの事情で訪問することができない場合、あるいは、後日改めてお詫びの菓子折りを送る場合。菓子折りに手紙(お詫び状)を添えて発送しましょう。お詫び文の内容は「誠に申し訳ありませんでした。これに懲りず今後もご愛顧(お付き合い)頂ければ幸いです」など手短にまとめましょう。手書きのお詫び状があると誠意が伝わりますよ。
謝罪に菓子折りって必要?選び方のマナーと予算
謝罪の場に菓子折りを持参するか迷ってしまう人も多いかもしれません。しかし「受け取らないだろうから」と手ぶらでいくのは危険です。受け取るか・受け取らないかは相手が判断すること。たとえ持ち帰ることになったとしても、謝罪を目に見える形にして相手に示すことが誠意です。
また挨拶など普段の手土産と違って、謝罪の菓子折りは選び方にポイントがあります。マナーを守って最適な一品を選びましょう。
■謝罪の菓子折りは”老舗”の”箱入り”、熨斗(のし)は不用!
心からのお詫びが伝わるように、それ相応のグレードのものを選びましょう。人気・流行りの華やかなショップは避け、老舗・有名店の贈答用ギフトが適切。箱入りの落ち着いた菓子折りをを選びます。外箱や包装から一目で上質な品物だと分かる菓子折りがいいですね。
なお、熨斗(のし)と表書きは不用です。厳密にはのしをつけてもマナー違反ではないといわれますが、一般的にはのしをつけずに包装します。
■日持ちは一週間程度、食べきりやすい菓子折りを選ぶ
生ものではなく日持ちがするもので、個別包装の菓子折りを選びましょう。焦って食べたり、取り分けたりする手間をかけない方がいいですね。
なお、日持ちが長いに越したことはありませんが、大容量の物は、処分に困る可能性もあります。筆者の職場でも取引先からもらった羊羹が余ったままということがありました。お詫びの品がいつまでも残っていると、見るたびに思い出してしまいます。一週間程度で食べきれる品物を選びましょう。
■謝罪の菓子折りの予算は3,000円~5,000円
謝罪の内容や相手方との関係にもよりますが、菓子折りの金額目安は3,000円~5,000円です。ただしこれはあくまで目安です。値段で絞るのではなくお店と商品を先に決め、取引先の人数に合わせて個数・金額を選ぶのが基本。
大企業の取引先で人数が分からない場合などは、10人程度で分け合えるものを選びましょう。ご家庭への謝罪も、ご家族全員に行きわたる個数を準備してくださいね。
謝罪の菓子折り8選!お詫びの気持ちが伝わる厳選商品
さてここからはお詫びの気持ちを伝える菓子折りをご紹介します。謝罪の場面が福と転じますように…末広がりの「八」点を厳選しました!なお、巻末には謝罪の流れもご解説しますので、ぜひ最後までチェックしてみてくださいね!
■【羊羹】は謝罪の内容を”重く受け止めている”印
せんべいなど軽い口当たりのものとは対照的に、ずっしりと重みのある「羊羹」。事態を重く受け止めているという意味もあり、謝罪の菓子折りとして人気です。ただ定番品であるがゆえに、貰い慣れている会社もあります。奇抜な商品を選ぶ必要はありませんが、個包装になっていること・食べきりやすいことは必ず押さえておきましょう。
1.謝罪菓子折りの大定番!「とらやの小型羊羹」
とらや
京都限定 小形羊羹14本入
謝罪用に羊羹の菓子折りをお探しなら、なんといっても「とらや」です。ビジネスパーソンなら誰もが知っている老舗ですね。
こちらは切り分ける必要がない個包装のミニ羊羹です。同じとらやでも竹皮に入った棒タイプの羊羹は、相手に手間をかけてしまいます。謝罪用にはこちらの小形をチョイスしましょう。
2.個人宅・年配の方に贈るなら…「たねやの水羊羹」
たねや
本生羊羹 6個入
こちらはゼリーのようにすくって食べる、柔らかい水羊羹の菓子折りです。スプーンを使うため忙しいビジネスマン向きではありませんが、謝罪で個人宅に伺う場合や、年配の方・食の細い女性におすすめです。
羊羹はボリュームがあるため、食べにくい…と感じる方も多いですが、こちらはツルっと食べられます。手を汚さず、落ち着いて食べられるのもいいですね。
■【洋菓子・和洋菓子】も上質なものなら謝罪に使える!
和菓子が苦手な人や子供向けの菓子折りなら、洋菓子・和洋菓子もおすすめです。落ち着いた有名店の品なら、お詫びの場にもふさわしい菓子折りが見つかるでしょう。
3.口当たりの優しい和洋菓子…「鼓月の千寿せんべい」
鼓月
千寿せんべい
老舗の和菓子屋「鼓月」の菓子折りです。ヴァッフェルと呼ばれる波型の香ばしい生地に、柔らかいシュガークリームを挟み込んだお菓子。和菓子と洋菓子の中間的な味わいで、食べやすい商品です。
サクっとした食感で口当たりが軽いので、ペロッと食べられるのがポイント。美味しく食べきっていただければ、悪いイメージを引きずらすに済みますね。
4.謝罪にもふさわしい有名ブランドの菓子折り…「ピエールエルメパリのクッキー」
PIERRE HERMÉ PARIS/ピエール・エルメ・パリ
ラング ド シャ 12枚詰め合わせ
クッキーは気軽に手を伸ばせるお菓子で、食べやすさが魅力ですよね。こちらは、マカロンでおなじみ「ピエール・エルメ・パリ」のラングドシャクッキー。定番チョコレート2種と、バやはフランボワーズの華やかな味わいを楽しめる「イスパハン」が入っています。
外箱も見た目も爽やかさがあり、洋菓子でありながら落ち着いた風合いです。和菓子はちょっと苦手…という人への謝罪用として、おすすめですよ。
■【カステラ】は食べやすく謝罪向き
昔からあるお詫びの品として、「カステラ」も不動の人気です。口当たりも優しく子供も食べられるため、ご家族への謝罪用としてもおすすめです。こちらも個包装になっているカステラを選びましょう!
5.洗練された菓子折りなら…話題のカステラ「フクサヤキューブ」
福砂屋
フクサヤキューブギフトセット 10個入
創業1624年。福砂屋はカステラの本拠地、長崎を拠点とした有名店です。味わい豊かなカステラを現代風にアレンジしたのがこちら、フクサヤキューブです。
四角い箱を開くと中には切り分けたカステラがお目見え。カット済みなおで気軽に食べられます。
謝罪の相手が女性であったり、渋すぎる菓子折りは喜ばれないかも…というときはこちらがおすすめ。老舗×ほどよいデザイン性で謝罪の場にもピッタリです。
6.贈る人を選ばない老舗の菓子折り「文明堂のかすてら巻き」
横濱文明堂
かすてら巻 15個入
カステラといえば横浜文明堂は老舗中の老舗。こちらのかすてら巻きは柔らかい口当たりに、ほどよい甘味で人気のロングセラーアイテムです。個別包装で食べやすいですね。
プレーン味の15個入りで、子供からお年寄りまで幅広く喜ばれる菓子折り。謝罪の場でも好印象を与えてくれるはずです。
■【最中】はご縁をつなぎとめる品!謝罪の場にもピッタリ
二枚の生地が合わさった最中は縁起物として人気のお菓子です。お祝い事だけではなく、謝罪用の菓子折りとしても選ばれていますよ。お詫びをする相手との縁をつなぎとめる、頼みの綱になってくれるかも⁉
7.誠実さが伝わる昔ながらの菓子折り…「たねや・斗升最中」
たねや
斗升最中 15個入
老舗たねやから、最中もご紹介。斗升最中(ますますもなか)は粒あんと柚子餡を挟み込んだ最中です。
「ますます」というネーミングには幸いが訪れるようにという意味がこめられています。相手に迷惑をかけてしまった場面でも、「今後も宜しくお願いします」という気持ちをこめて贈ってみてはいかがでしょうか。
8.謝罪の菓子折りに新定番!「新正堂の切腹最中」
新正堂
切腹最中
お詫びの品としてここ数年人気なのが「切腹最中」です。文字通り「腹を切る思いで謝罪します」という意味で贈られる菓子折りです。
東京新橋に構える新正堂は、忠臣蔵に縁があることからこの商品が考案されたそうです。謝罪の内容によってはややカジュアルかもしれませんが、シリアスな謝罪の場をホッと和ませてくれる一品ですよ。
お詫びの菓子折りはいつ手配する?謝罪のノウハウを徹底解説!
最後に、「謝罪」の流れについてより詳しくご解説します。トラブルが起こると動揺してしまいますよね。慌てて対応を間違えうことがないよう、謝罪のノウハウをしっかり押さえておきましょう。もちろん、菓子折りの手配もお忘れなく!
■ビジネスシーンでの謝罪!ポイント・流れをご解説!
ビジネスシーンで重大なミスや不手際が発覚したときに、取るべき対応とビジネスマナーをご解説します。
(1)発覚時点で謝罪する
苦情の連絡をもらったら、まずはその場で謝罪しましょう。当たり前のことに聞こえるかもしれませんが、実は「申し訳ありません」の一言がとっさに出てこない人も多いのです。イレギュラーなことがあると頭がパニックになってしまい、特に新入社員は真っ先に”言い訳”をしてさらなるクレームに発展する場合も。こちらの非が明確な場合は、まず一にも二にも即・謝罪です。
もし部下や後輩がお詫びの言葉もなく電話を切ってしまったら、すぐにかけなおして謝罪の言葉と、再度連絡する旨を伝えましょう。
(2)関係者に連絡し、対応を決める
上司、社内の関係者に一報を。下請け業者など関係する取引先にも連絡しましょう。ここで事実確認と今後の方針を決めます。トラブルは夕方移行に発生することが多いものです。関係者が帰宅してしまってからでは手遅れ。スピード勝負です。
(3)訪問の日時を決め、謝罪の準備
報告のとりまとめなど、準備と同時進行で謝罪の日程調整をします。その日のうち~翌日の早い時間に相手とコンタクトをとり、訪問の日程調整をします。日程が確定したらメールし、確定した日時と出席者、お詫びの言葉を記載しましょう。この時点では長々と経緯報告せず「取り急ぎ深謝申し上げます」等とお詫び文を添えます。
持参する報告書の作成、そして菓子折りの手配を忘れずに。対応にかかる時間を逆算して行動を決めましょう。
■子供のトラブル、交通事故…ビジネスシーン以外の謝罪の仕方は?
子供同士のトラブルや、事故、訪問先で私物を破損してしまったなど…プライベートな場での謝罪も基本はビジネスシーンと同様です。その場で謝り、後日謝罪の機会を設けます。第三者に事実確認をする必要があるなら、早急に連絡しましょう。
ビジネスシーンのように報告書などは必要ありませんが、だからこそ謝罪の菓子折りが大切です。
謝罪の菓子折りは…マナーを押さえて気持ちをこめて!
同じ菓子折りでも、挨拶や手土産に選ぶのとお詫びの品として選ぶのとでは、全く気持ちが違いますよね。こちらの心境はもちろん、選び方のポイントやマナーも異なります。ぜひこちらの記事を参考に、気持ちを落ち着けて謝罪の場に臨んでください。
マナーを押さえて謝罪の気持ちをこめることが大切です。あなたの対応で、状況をいい方向に変わりますように…祈っています!