結納の服装選びは重要!
結婚を決めたら、いよいよ結納。最近は簡略化したり、省略する人が増えていますが、伝統を重んじる地域や家庭では、外せない結婚のステップですね。日取りや会場を決めたり、結納品を手配したりと、あれこれ準備が大変ですが、意外に悩むのが当日の服装です。
結納は改まった儀式なので、服装もそれなりの準備が必要です。一般的にはセミフォーマル以上の装いがふさわしいとされています。また両家のバランスも重要。今回は結納の準備の中でも、服装に的を絞って解説します。
結納とは?
結納の服装について確認する前に、まずは結納そのものの基本を押さえておきましょう。そもそも、結納の意味は?伝統儀式とは言うけれど、その由来は?ここでは結納にまつわるアレコレについて、ご紹介します。
■婚約したことを公のものにする儀式
結納は、結婚により親族となる両家が、それをともに祝って贈り物(=結納品)を交わす儀式です。両家の絆を強め、結婚の約束を公にするという意味で、婚礼の儀式の中でも大切なステップと言えます。
最近は結納はもちろん、挙式も行わないカップルが増えてはいるものの、地域や家庭によっては、まだまだ欠かせない婚礼行事です。また、特に伝統的な考え方にこだわらない場合でも、結婚へのけじめとして、結納を行うカップルも多いです。
■結納は「古墳時代」から存在していたという声も!
結納は古式ゆかしき日本の伝統行事と言われていますが、その由来は非常に古く、なんと4~5世紀頃、古墳時代にさかのぼると言われています。日本の結納は、仁徳天皇の皇太子、のちの履中天皇が妃を迎える際に行ったのが始まりと言われています。
もともと、皇室の婚礼の儀式として始まった結納は、平安時代には貴族にも広まり、室町時代に入ると武家によって現代に通じる礼式が整えられていきます。とはいえ、当時、一般庶民は結婚式すら挙げる風習がなかったことから、結納が一般的になるまでには、長い年月がかかりました。
江戸時代に入ると、商家など一部の裕福な庶民が、婚礼の儀式を行うようになりました。明治に入り、ようやく結納や結婚式が庶民の間でも一般的な儀式となっていきました。
■地域により結納の風習はいろいろ
多くの冠婚葬祭の儀式と同様、結納も地域によってさまざまな風習が伝えられています。室町時代に整えられた結納の作法は、その後、各家庭や地域の様々な風習と結びつき、多様化していきます。
代表的な例では、関東式と関西式の違いがあります。関東式では、両家が同等の結納品を用意し、お互いに取り交わす方式ですが、関西式は、新郎が結納品を用意し、新婦へ納めるという方式です。結納品の内容や品数も、関東式と関西式では微妙に異なります。
■両家での事前の打ち合わせが大切
結納の作法は、地域による差はもちろん、各家庭でも異なることがあります。結納をすると決めたら、両家で齟齬がないように、事前に打ち合わせを行いましょう。どのような作法で行うのか、結納品は何を手配するか、当日の進行はどうするかなど、一見些細なことに至るまで、お互いに合意しておくことが大切です。
せっかく両家の絆を強めるはずの儀式が、認識の違いから、後味の悪いものになってしまっては、元も子もありません。お互い良き日を迎えられるよう、細かい点まできちんと調整しておきましょう。
正装で結納を行う時の服装は?
結納は、両家にとって大切な儀式。お互いすれ違いがないよう、あらかじめ様々なことを決めておく必要があります。服装も両家で認識を合わせておきましょう。結納の服装で大切なことは、両家の格を合わせておくことです。まずは正装で結納を行う場合について解説します。
■新郎は「ブラックスーツ」
正装で結納を行う場合、新郎の服装は略礼服のブラックスーツが望ましいです。ブラックスーツは、紺やグレーのダークスーツより、一段各上で、よりフォーマルな席にふさわしいとされています。男性の正装は、本来は紋付袴かモーニングが基本ですが、最近では新郎は略礼服が一般的です。
■新婦は「振袖」が人気
新婦の服装は、フォーマルなワンピースやセットアップでもOKですが、なんと言っても振袖が人気です。未婚女性の正装である振袖は、結納の場にふさわしいのはもちろんですが、結婚後は着る機会が無くなることから、最後の記念として着用したいという人も多いようです。
■父親は「紋付き袴」や「モーニング」を
正式な結納では、父親は男性の正装である紋付袴かモーニングを選びます。服装は和装と洋装どちらでも良いですが、両家でいずれかに合わせるのが無難です。仲人を立てて行う正式な結納の場合は、仲人の服装より格上にならないよう注意しましょう。
■母親は「訪問着」が近年主流に
母親の結納での正装は黒留袖や色留袖が基本でしたが、現在では和装の場合、訪問着や付け下げ、色無地が主流になっています。洋装の場合は、フォーマルスーツやワンピースでも、もちろんOK。
和装の正装の場合は特に、両家で格を合わせるために細かい点も打ち合わせておきましょう。例えば色留袖でも紋の数によって格が変わります。また、父親の服装同様、仲人を立てる場合の配慮もお忘れなく。
略装で結納を行う時の服装は?
最近は結納を行う場合も、略式を選ぶカップルが増えています。そうしたケースでは、服装も略装を選ぶのが一般的。略装といっても、普段着で良いということではなく、あくまでセミフォーマルです。ここでも大切なポイントは、正装の場合と同様、両家のバランスです。
■新郎は「ダークスーツ」
略装で結納を行う場合、新郎は紺やグレーなどのダークスーツを選びましょう。無地、または無地に近いスーツで、シャツはできればダブルカフスの白を選ぶと良いでしょう。新婦の服装に合わせることを意識しましょう。
■新婦は「フォーマルなワンピース」が人気
略装の結納の場合、新婦はフォーマルなワンピースやスーツ、セットアップでOKです。婚礼の儀式ですから、喪服をイメージさせる黒は避けましょう。肌の露出の少ない上品なデザインが望ましいです。夏でもノースリーブ、素足は避けましょう。ストッキングを必ず着用します。
■父親は新郎より目立たないように「略礼服」
略装で結納を行う場合、父親の服装は、略礼服のブラックスーツか、ダークスーツを選ぶと良いでしょう。新婦よりフォーマル感のある服装がベターです。ただし、スーツやネクタイを選ぶ際は、主役の新郎より目立つことがないよう、抑えた色調や柄を意識しましょう。
■母親は抑え目なカラーの「フォーマルワンピース」
母親が略装で結納に出席する場合は、訪問着やフォーマルワンピースやスーツ、セットアップなどを選びます。新婦とのバランスも重要です。洋装でも和装でも、主役である新婦より抑え目のカラーやデザインの服装を意識しましょう。色は新婦同様、黒以外を選びます。
男性の服装の注意
ここでは、結納に参列する際の男性の服装の注意点について、見落としやすいポイントをいくつか挙げておきます。
■靴は紐のついた革靴がベスト♪
正装で結納に臨む場合、案外見落としがちな服装のポイントが靴です。正装では、靴は紐のついた革靴が正解。黒のプレーントゥかストレートチップを選びます。ダークスーツを着用する略装の場合は、紐のない革靴でもOKですが、フォーマルな席なら、紐のついた革靴を選ぶのがベストです。きちんと汚れを落として磨いておきましょう。
■ネクタイは白色に地模様が基本
男性の正装であるモーニングを着用する場合は、明るめのやシルバーやライトグレー地に黒やシルバーのストライプが入ったものが正式です。また、スーツなら、結納のようなフォーマルな場には、白かシルバーの無地か、地模様の入ったものを合わせるのがベストです。
略装の場合は、パステルカラーか、派手すぎない上品な色合いのネクタイを選ぶと良いでしょう。この場合、黒は柄物であっても、喪服を連想させるので、避けるのが無難です。
■靴下はスーツの色合いに合わせて
結納の服装で意外と見落としがちなのが靴下です。料亭や個人宅など、会場によっては靴を脱ぐこともありますので、穴が開いていたり、生地が薄くなっているような靴下は絶対NG!きれいなものを選びましょう。また、色合いはスーツに合わせます。モーニングや略礼服なら黒で良いでしょう。
女性の服装の注意点
女性の結納の服装は男性より選択肢が幅広い分、注意すべきポイントが多いです。せっかくの晴れの儀式で、うっかりマナー違反にならないよう、気を付けるべき点を整理しておきます。
■「和装」か「洋装」かは、両家で事前に打ち合わせを!
結納を正装で行う場合も略装で行う場合も、女性の服装は着物、洋服とどちらも選ぶことが可能です。あらかじめ両家で打ち合わせを行い、和装と洋装どちらかに合わせておきましょう。また、服装の格を合わせておくことも重要です。新婦が略装のワンピースなのに、母親が正装の留袖といったアンバランスがないよう注意しましょう。
また、仲人を立てる場合は、あらかじめ仲人とも服装の確認をしておきましょう。
■母親は淡い色合い、新婦は華やかな色合いを意識
結納は婚礼の儀式ですから、新婦はおめでたい場にふさわしい華やかな色合いを意識しましょう。母親は淡い色合いがおすすめです。黒は縁起が悪いので正装の黒留袖以外では避けましょう。また、母親の服装は主役の花嫁より目立たない色やデザインが基本です。
■アクセサリーはパールがおすすめ♪
結納の服装は、上品で控えめな方が望ましいです。アクセサリーや香水のつけすぎはNG!選ぶならフォーマルな場にふさわしいパールのアクセサリーがおすすめです。大ぶりな物やカジュアルすぎるデザインも避けましょう。
結納の服装のマナーをおさえて思い出に残る1日を!
結納は婚礼のための大切な儀式です。お祝いの場にふさわしい服装を選ぶには、まずはマナーを押さえておくのが大切な基本ステップです。きちんと準備さえしておけば、余裕をもって当日を迎えられることでしょう。思い出に残る1日にしてくださいね!