押さえておきたい!ビジネスで使うお礼状の書き方と注意点!
個人でなにか頂き物をしたり、何かをしてもらった場合は、お礼状を出しますよね。
ビジネスで何か品物をいただいたり、配慮いただいた場合も、お礼状って必要なんです。しかし、ビジネスでのお礼状は、個人のお礼状とはちょっと異なるところもあるんです。
今回は、ビジネスにおけるお礼状の書き方について確認してみましょう。
知っておきたい!ビジネスでのお礼状の基本的なマナーとは!
パソコンで作成したビジネス文書が主流となっている今だからこそ、「手書きのお礼状」というのは印象に残りやすいものです。
印象に残りやすい分、失敗すると後々まで尾を引くことも事実。そんな「残念なお礼状」にならないよう、注意点をチェックしてみましょう!
■使う文字の書体に気をつける
どんなに字が上手であっても、草書などの「崩し字」は読みにくいので避けましょう。同じ理由で「達筆すぎる字」というのも「何て書いてあるの?」という事態になりかねません。
お礼状は「相手が読みやすいように」書くものなので、楷書で読みやすく書きましょう!
■文中で相手の名前や会社名に触れる場合の注意点
お礼状の中で、相手の会社名や肩書き等に触れるときには敬称と位置に気を付けましょう。
敬称というのは「御中」や「様」など、相手に敬意を表す呼び名のこと。「敬称の使い方」と「敬称を使う位置」は間違えやすい落とし穴とも言えるのです。
また、ビジネス文書においては、会社名や個人名は行の上半分(横書きの場合は中央より左側)に来るように書くのが良いという暗黙のルールもあります。行をまたいでしまわないよう、文章の構成に注意が必要です。
敬称 | 使い方 | 注意点 |
---|---|---|
御中 | [会社名]御中 | 団体に宛てる場合に使用するが、宛名が会社名+個人名のときは使わない |
様 | [相手の姓名]様 | 会社名+個人名の場合、会社名は敬称なし/個人名にのみ敬称を付ける |
殿 | [相手の姓名]殿 | 目上の人が目下の人(部下など)にのみ使う |
君/さん | [相手の姓名]君/さん | 話し言葉で多く用いられるが、お礼状などの書き言葉では使わない |
役職名 (社長・部長・課長など) | [相手の姓名]役職名 または [役職名](の)[個人名]様 | 役職名自体に敬称が含まれているので、「社長様」とするのは間違い。 社長の〇〇様、あるいは〇〇社長とする |
知っておこう!ビジネスで使うお礼状の構成とその書き方とは?
個人のマナーもビジネスマナーも、基本的な部分は同じです。
社会に出てからの経験が長ければ長いほど、一目で「丁寧なお礼状なのかどうか」は見抜かれてしまいます。
最低限押さえておきたいポイントを確認してみましょう。
■お礼状の文章構成は「前文・主文・末文・後付け」の順番で!
お礼状の構成は決まっています。
「前文」に含まれるのは、頭語(とうご)と呼ばれるお手紙の初めにつける言葉や時候の挨拶です。
「主文」に含まれるのは、相手の健康や活躍を確信する言葉、品物や行為に対するお礼、その時の感想や状況などです。
「末文」に含まれるのは、今後も変わらないお付き合いを願う言葉、贈り物をした旨を伝える短い私信、相手の健康を願う言葉、結語(けつご)と呼ばれる締めの言葉などです。
「後付け」というのは、日付・差出人・宛名のことを指します。
■頭語と時候の挨拶で始まる「前文」はこう書こう!
前文は、決まり文句がほとんどなので、それほどアレンジをしなくても大丈夫です。
頭語というのは「拝啓」や「謹啓」などは「謹んで●●申し上げます」という表現を短縮した形。ですから頭語だけで改まった挨拶はOKなのです♪
時候の挨拶というのは季節に合わせてアレンジが必要になります。月ごとに既存の言い方があるのでそれを使っても良いですし、季節を感じる言(門松や桜、天の川や紅葉、イルミネーションなど)で自分らしい表現を作っても良いですね。
■起語で流れが良くなる「主文」の構成とは?
用件を伝えるビジネス文書では、本題に入るときに「さて」「この度は」などの表現で本題に入ったことを知らせますが、お礼状の場合は「このたびは」が多いでしょう。
漢字変換できるところを全て漢字で書くと堅い印象に、一部をひらがなで書くと柔らかい印象になります。全体のバランスを見ながら、混ぜて書くテクニックもありますよ。
まず「お礼」を述べ、それから状況やお願い事などの用件に移っていくと違和感がないでしょう。
■結語で締める「末文」を上手く書くコツとは?
お礼状のボリュームとしては主文が中心になりますので、私信などを加えるときは末文の直前に入れましょう。
末文は、結語に向かってだんだんフェードアウトしていく雰囲気で。人と会ったときも、別れ際は会話の内容がだんだん薄くなって、会話が続かなくなりますよね。あのイメージです!
■後付けの構成とは?
後付けは、手紙の最後に「いつ、だれが、誰に宛てて書いたものか」を示します。
そのため、まず行頭から日付を入れ、次の行の行末に自分の名前を入れ、次の行頭に宛名を入れるのが一般的な書き方です。
バランスを見ながら改行をして余白を作っても良いですね。
知ってますか?ビジネスが光るお礼状の宛名と差出人の書き方とは?
ビジネスであれば、たった1度のミスが取り返しのつかないことに、ということも起こります。
お礼状も、粗相がないよう何度もチェックしなくてはなりません。文面が完成したら、宛名と差出人の書き方にも気を配りましょう!
宛名は一番最初に相手の目に触れる部分です。特に心してキラリと光るマナーを身につけましょう。
■和封筒の場合の宛名の美しい書き方とは?
和封筒を使った宛名は、以下の点に気を付けると美しく見えます。
1.住所・宛名・差出人がそれぞれ封筒の縦1/3のエリアに収まるように
2.名前よりも「様」をやや大きめにするとよりバランスのとれた印象に
3.住所・宛名の書き出しは1文字分の空白を設けて書き始めると均整がとりやすい
4.数字は漢数字を使用する
■和封筒の場合の差出人の美しい書き方のコツとは?
封筒の継ぎ目を中心にし、継ぎ目の右側に住所を、左側に氏名を書きます。以下の点に気を付けましょう。
1.住所の文字の大きさを1としたら氏名は1.3~1.5くらいの大きさに
2.氏名の終わりと住所の終わりが横一列に並ぶように始まりの位置を調整
3.封じ目には封字(ふうじ=「〆」「封」「緘」など)を書き入れる
継ぎ目の左側に住所と氏名を書くことが多いと思いますが、マナーとしては中央に書くのが正しいなんて意外ですよね。
郵便番号欄がある場合、郵便番号の記入位置と住所・氏名の位置がずれてしまいますが問題はありません。
■洋封筒の場合のバランスのとれた宛名の書き方とは?
洋封筒の場合、縦書きに使うか横書きに使うかでルールが若干異なりますので両方ご紹介しますね。
【縦書きに使う場合】
1.改まった場合の手紙・不祝儀の手紙は洋封筒であっても必ず縦書きで使う
2.書き方は和封筒と同じ
【横書きの場合】
1.郵便番号欄がある場合、郵便番号欄は右下に来るように
2.数字は算用数字氏を使う
3.上1/3に住所を、中央1/3に宛名を書く
4.宛名は住所より大きく
■洋封筒の場合の差出人の書き方とは?
差出人の書き方も、縦書き・横書きでルールが異なりますので両方ご紹介します。
【縦書きの場合】
1.開封口が右側に来るように置いて左側に住所・差出人名を書く(開封口が左だと不祝儀になる)
2.郵便番号は住所の上部に
3.日付を書き入れる場合は郵便番号の上(封筒の左上)に
4.住所の最後の字と氏名の最後の字が同一ライン上に並ぶように
5.封じ目には封字を書き入れる
【横書きの場合】
1.郵便番号は住所の上に
2.住所・差出人名のどちらも、下の三角形の部分に収まるように
3.日付を書き入れる場合は左の三角形の部分に
4.封じ目には封字を書かない
■ハガキの場合の宛名と差出人の書き方とは?
ハガキの場合も縦書き・横書きで注意点が変わりますが、基本は封筒の書き方と同じです。
【共通ルール】
・縦書きであれ横書きであれ、切手を貼る位置は常に右上!
郵便番号欄の有り無し、縦書き・横書きで細かな違いがありますので、この場合はどうしたらいいの?というときは下記のサイトを参照すると間違えずに済みますよ。
■敬称を使う場合の注意点とは?
敬称とは「様」「御中」「課長」など、相手に敬意を表す言葉のことです。
よくやってしまうのが「二重敬称」と呼ばれる使い方です。二重敬称とは「●●株式会社御中 〇〇部 ●●部長様」のように、複数のヶ所に敬称を付けてしまうこと。
敬称はそれ1つで相手を尊敬する意味が含まれますので、過剰に使うと相手に慇懃無礼な印象を与えてしまいます。
会社名や役職も宛名に書き入れる場合は、どの敬称を使うか考えてから書きましょう!
押さえておこう!ビジネスマナーの良さを醸し出す月ごとの時候の挨拶とは?
手紙の出だしで「なんだか素敵なお手紙♪」と感じてもらうには、どんな時候の挨拶を選べば良いのでしょう?
同じ月の中でイベントが複数ある場合は、手紙を出す時期に合わせて異なった時候の挨拶を使うことが必要なんですよ!
1月の文例
時候の挨拶/季節の挨拶/挨拶文/季語-書き出しと結び[2017版]
季語・時候の挨拶・季節のあいさつ文と多彩な文例が用意されています。
お正月の季語である「新春」から、雪・寒さの文言まであり、「厳寒の候」や「寒冷のみぎり」といった頭語の表現は2月にも使えるので覚えておくと良いですよ。
2月の文例
手紙の書き方大辞典 時候の挨拶(2月・如月)
時候の挨拶だけでなく、そのあとに続く安否の挨拶の例文も掲載されています。
「余寒」「残雪」といった季節を表現する言葉から、「立春」「節分」といった行事に関する言葉まであり、時節に合わせた使い方が可能。
「梅鶯の候、皆さまにおかれましてはご健勝のこととお慶び申し上げます」という表現などはまさに春を思わせる言葉ですよね。
3月の文例
お礼状、案内状、手紙の書き方と例文(3月)
挨拶の始まりだけでなく、その後ろにどんな内容を続けたらよいのかも掲載されているサイトです。
一般・個人・ビジネスと用途が広く、「春暖快適の好季節、お元気でお過ごしのことと存じます」なんて表現はまさに「もう間もなく春!」という感じがして良いですね。
4月の文例
季節の挨拶 春夏秋冬(4月)
旧暦・新暦や上旬・中旬・下旬など細かな情報が行き届いているので「今は中旬だけど暑いから下旬の内容でも良いかな」なんて選択もできちゃいます。
「拝啓 桜端の候 貴社におかれましては益々御清祥のこととお慶び申し上げます 」といった言い回しは季節感満載で印象が良いですね!
5月の文例
Seasons call(5月の時候のあいさつ)
とにかく文例が多いので、使えるものが1つは見つかるサイトです。
「風薫る五月となりましたが、皆様には天候同様ご清祥なる日々をお送りのこととお喜び申し上げます。」という表現は、初夏や晩春をイメージさせるに十分な季節感ですよね。
例年より暑さが感じられる場合は「軽夏」という言葉も季節感があってオススメです。
6月の文例
履歴書 Do(6月の時候の挨拶)
就活でも使える文例が掲載されているサイトです。
「入梅の折、皆様におかれましてはますますご壮健のことと存じます。」など梅雨入りに関連する言葉や「立夏」「梅雨冷え」など夏に向けた言葉が並びます。
これらの言葉がスッと出てくるようになれば、マナーが身に付いている証とも言えますね。
7月の文例
MIDORI 手紙の書き方(7月・文月)
梅雨が明け、夏の盛りに入る7月は暑さでうだってしまう時期。そんな時期は「涼しさ」を演出する時候の挨拶が良いですね。
「小暑を過ぎ、夏本番を迎えました。貴社の皆様におかれましては、暑さに負けずご活躍のことと拝察いたします。」といった気遣いの見える文が書ければ素敵ですね。
「エコ活動が注目されているのを実感するこの頃。貴社におかれましても、涼を呼び込む工夫をされていらっしゃることと存じます。」のように「暑いですね~」という同意を求める文なども共感を呼びそうです。
8月の文例
いざ!安心家族 時候の挨拶(8月)
旧暦のお盆を挟む8月はお休みを取る企業も多く、お礼状を出す機会は少ないかもしれません。
8月の時候の挨拶は「暑中お見舞い申し上げます」や「残暑お見舞い申し上げます」などの影に隠れてしまいがちです。
「暮夏のみぎり、皆様におかれましてはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。」といった表現は美しい日本語ですね。
9月の文例
「直子の代筆」時候の挨拶(9月)
無料ソフト「直子の代筆」で生成される文例の一部を掲載しているサイトです。
質問に答えるだけで文面を生成してくれるソフトなのですが、こんな素敵な文面が楽々作れるとあれば欲しくなってしまいますよね。
「残暑ようやく衰え、皆様にはますますご健勝のほどお喜び申し上げます。」や「新涼のみぎり、貴社いよいよご多忙のことと存じます。」など、暑さがひと段落したことを伝える内容が多くなっています。
10月の文例
時候の挨拶にぴったりの季語や歳時記&日本の年中行事を解説(10月)
「秋麗の候、いよいよご清栄のこととお慶び申し上げます。」などの定番文面が多く掲載されているサイトです。
この文章の「秋麗」の部分を「錦冷」や「爽涼」に変えるだけでも、文章全体の印象がガラッと変わりますね。
11月の文例
手紙の書き方@礼状 例文(11月)
「日足がめっきり短くなりました、皆様にはますますご隆昌の事と存じます。」という少し変わった文面から「向寒のみぎり、ますますご清栄の事とお喜び申し上げます。」という定番まで種類が揃えられているサイトです。
「初霜」や「暮秋」など、冬に向かう様子や秋を名残惜しむ表現も日本らしい風情がありますよ。
12月の文例
ビジネス知識・ビジネススキルの学びサイト ビジネス図鑑(12月)
12月は冬の初め、クリスマス、歳末とイベントが目白押し。お礼状はしたためたらすぐに出さないと、あっという間に時季外れになってしまいます。
時期によって、「歳末ご多忙のおり」のような年の瀬のせわしなさを表す言葉と、「初冬の候」のように季節感を表す言葉のどちらを取るか検討が必要になりますね。
押さえておきたい!手紙の基本的なマナー!
普段あまり意識せずに思ったことを書き連ねる「お手紙」と、目的と意識をしっかり持って書く「お礼状」では、注意する点が異なっていることはお分かりですね。
では、文面ではなく用具や書式についても確認してみましょう。
■便箋とハガキの使い分け方
便箋は封筒に入れて出すので、中身が第三者に読まれないという特性があります。その一方でハガキは誰でも文面が読めてしまうので、プライベートなことを書くのには不向きであることはお判りでしょう。
受け取りました、ありがとうございます。というお礼状であればハガキでも構いませんが、便箋のほうが正式であり、自分より目上の方に出す場合はハガキは失礼になりますよ。
■ 縦書きと横書きの使い分け方
現在では「縦書きでも横書きでも気にしない」という方も増えてきました。
しかし一般的には「お礼状は縦書き」という考えが強く、横書きの場合は「カジュアルな印象」を与えがちです。
友達同士であれば横書きでも構いませんが、ビジネスという改まった場においては横書きはマナー違反と取られやすいので避けるほうが無難です。
■便箋の折り方と封筒への入れ方
文面が書きあがったら、最後の難関である「封筒への封入方法」が待っています。
「そんなことまで?!」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。しかし、マナーというのは「気持は行動に現れる」ものなのですよ。
お手紙は「相手が開きやすいように」折るのがマナー。封筒に入れる際も「取り出しやすいように配慮」するのが当たり前なのです。
便箋は3つ折り、もし入らない場合は4つ折りにします。差出人を書く側に便箋の上部が来るように入れるのがマナーですが、封筒の種類によって異なるので下記の図解入りサイトを参照してくださいね。
お礼状が書けるようになったらビジネスマナーも一人前
ビジネス上で素敵なお礼状が書けるようになったら、相手との距離も詰めやすくなりますね。
お仕事とは言っても、やはり「人柄」が良い人と一緒に仕事ができると能率も上がりやすくなります。円滑に進めるためのスキルの1つとして、お礼状に使える様々な表現は知っておいて損はないですよ!
相手の心をつかむお礼状が書けますように。