押さえておこう!基本を踏まえたお礼の手紙の書き方とは?
メールという手段が浸透し「お手紙」を書く機会が減っている現在、手紙の書き方についてよく知らないという方も出てきました。
伝統的な通信手段である「封書」と「葉書」は、『形式的なもの』ではなく『心を込めて書くもの』なので、手書きのものがより喜ばれますよ!
確認しておこう!お礼の手紙の基本的なマナーとは!
いまや死語となってしまった感のある「文通」でも、手紙の書き方にはルールがありました。
それと同じように、お礼の手紙にもルールがあります。基本を知ってこそ応用もできるものですから、まずは基本に忠実なお手紙が書けるようになると良いですね。
■手紙と葉書の使い分けよう!
まず、「手紙(封書)」と「葉書」の違いについて確認してみましょう。
封書というのは「私信」とも言われ、配達途中に中が見られないようになっているため、個人的なことや第三者に知られたくない内容を送るときに使います。
葉書というのは「端書」とも書かれ、文面の内容が第三者に容易に読めてしまうため、事務的なお知らせなどに使います。
親密な相手に送るお礼の手紙や、目上の方に送る手紙は封書にするのがベストですよ。
■お礼の手紙はいつ出すの?
お礼の手紙を出すということは、何かしらの頂き物をしているということですよね。
頂き物に対して「ありがとう」というアクションなのですから、あまり日を置かないで出すのが礼儀です。いただいて2~3日以内には出しましょう。
どうしてもお礼の手紙がすぐ出せない(遅れてしまう)場合は電話などで一度お礼を伝え、1週間以内にお手紙を出すようにすると良いですね。
■注意したい!敬語の基本とその使い方!
「敬語を正しく使えない人」というのはかなりの割合で居る、といわれています。『「お(御)」を付ければ敬語になると考えるのは間違い』というのは有名です。
学校で一通り習うのですが、覚えていない/覚えられない人も多いんですね。
貰う→いただく、食べる→いただく、といったあたりは混乱しやすい敬語の1つかもしれません。
■宛名・敬称の書き方とは?
ご夫婦の場合はご主人宛て、もしくはご夫婦連名宛てで出します。敬称は「様」が一般的です。目上の人から目下の人に送る場合のみ「殿」も許されますが、「様」で統一したほうが良いでしょう。
【正】〇×株式会社 △部 部長 〇〇 〇〇様
【誤】〇×株式会社御中 △部 〇〇 〇〇部長様
上記のような「敬称の重複(二重敬語)」にも注意が必要です。「御中」「様」はどちらも敬称なのですが、一度に使える敬称は1つだけです。
また、役職にはもともと敬称が含まれているので「様」は付けません。「様」を付ける場合は名前の前に役職を持っていくようにしましょう。
■便箋・封筒はどう選ぶの?
封筒や便箋にも選び方のルールがあります。
封筒には大きく6項目あるのをご存知でしょうか。縦封筒・横封筒、一重封筒・二重封筒、色柄・白無地に分かれています。この6項目から組み合わせを確認して使います。
便箋も大きく6項目あり、縦書き・横書き、柄入り・柄無し・罫線あり・罫線なしで選びます。
お礼の手紙として使う場合は「縦・二重・白無地」の封筒と「縦書き・柄無し・罫線なし」の便箋を組み合わせるのがベストです。
難しい場合は、「縦・色柄無し」の2項目がクリアできれば良いでしょう。
■便箋の枚数に注意!
便箋1枚だけの文面に、2枚目は何も書かれていない便箋が同封されているのを見たことはあるでしょうか。
「間違って入れた?」「なんで2枚目真っ白(何も書いていない)なの?」と思ったことはありませんか?実はあれ、「お手紙のマナーの1つ」なんです。
1枚で足りてしまった文面なのに、便箋を必ず2枚にして送る理由は諸説あります。どれが正しいのかははっきりしていませんが、いずれの理由も「配慮」から来ているようです。
参考までにその理由とは「封筒が一重の場合に、文面が透けて見えないため」「三行半(今でいう離婚届)が1枚ものであったため、1枚は縁起が悪い」「本当はもっと書きたかった、という気持ちを伝えるため」などと言われています。
■使う筆記用具と書体には気をつけて!
意外と気にしないでやってしまうのがこの「筆記用具」。
筆が特別なものになってしまった現代では、筆記用具というとまず筆頭に上がるのはボールペンでしょう。確かに油性で滲みもなく、書きやすいですよね。
でも、普段使い用の筆記用具なので、お礼の手紙に使うのはオススメできません。目上の方に出すお手紙なら尚更です!
お礼の手紙には筆 > 筆ペン > 万年筆 > 毛筆風サインペン > ボールペンとなります。
書体は相手が読みやすい楷書体で書きましょうね。
■便箋の折り方と封筒への入れ方の基本とは?
お手紙は「相手が広げやすいように折り目を少なく」するのがマナーなので、便箋の折り方は「三つ折り」が基本です。
封筒と便箋をセットで購入していれば、縦型ならほぼ三つ折りで入るようになっています。三つ折りで入らない場合はに四つ折りにしましょう。
書き始めの上の部分は、封筒裏の右側に来るように封筒に差し入れます。表側、住所を書く側には三つ折りの真ん中部分が来るはずです。
■切手の選び方と貼り方の基本とは?
郵便局の消印押印機が「封筒を縦に揃え、書面の左上に消印を押すようにセッティングされている」ため、切手は「封筒の左上」に貼付します。
縦封筒を横に使った場合や横型封筒の場合は、封筒を縦にして左上に当たる部分(封筒を横にして見た場合は右上になりますね)に切手を貼ります。
切手の図柄は、定番のものよりも季節を感じさせるものを選ぶと気遣いが感じられて好印象です。
■封をする前に確認したいチェック項目とは?
文面を書き上げ、宛名を記入し切手を貼って、お手紙を入れて・・・・あとは封をするだけ!ですが、その前に今一度チェックしてみましょう。
書いたその時は良いと思っていても、あとで見返すと「アレ?」と思うことがあったりするものです。誤字脱字・敬語の使い方・改行位置の3つは入念に確認してくださいね。
押さえておこう!お礼の手紙の書き方のポイントとは!
お礼のお手紙は、送る相手や内容によって若干の違いはあるものの、基本的な構成は同じです。
基本を踏まえ、「今回はコレを追加しよう」「ここは省略しよう」「この表現を入れよう」などのアレンジを加えることで、より心遣いの伝わるお手紙になることでしょう!
■「お中元」のお礼の手紙はこう書こう!
お中元のお礼は「お礼状」という形式になります。
暑中お見舞い申し上げます(時候の挨拶)
猛暑のような日々が続いておりますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。(安否を尋ねる)
このたびは素敵な品をいただきまして、誠にありがとうございました。夫婦で毎日楽しませていただいております。(主文)
まだまだ暑い日が続きますので、お体ご自愛ください。(末文)
というイメージで書くと良いでしょう。
■ 「お歳暮」のお礼の手紙のポイントとは?
お歳暮もお中元と同様に「お礼状」の形式をとります。年賀状の時期と近いことから、内容が被らないようにしましょう。
お中元のお礼状と異なるのは、お礼状の中に「こちらも1年間お世話になりました」というお礼の言葉を述べることです。
お礼状の他に、こちらもお世話になったという意味でお歳暮を贈るのも良いですね。お歳暮を贈る場合は、お礼状の主文の最後に、「こちらからもお歳暮を贈りました」という一文を追加しましょう。
■「内定」の感謝を届ける手紙のポイントとは!
就職・転職などの際に、企業に宛てて「内定のお礼」を表すのが内定のお礼状です。
以前はそれほどメジャーではなかったのですが、近年では学校側で企業にお礼状を出すように指導しているところも多いですね。
内容は「採用してくれたことに関するお礼の言葉」と「入社後の抱負」が主になります。
内定のお礼状は、内定通知を受け取った翌日に送り、遅くとも先方に1週間以内に届くようにするのがベストです。
■「結婚祝い」のお礼と喜びを伝える手紙のポイントとは?
結婚のお祝いといえば、人生最大の慶び事と言っても過言ではないイベントですよね。
その結婚をお祝いしてくださる方々に出す結婚祝いのお礼状は、「お祝いしてくれてありがとう」という気持ちだけでなく、「(私たちの)幸せをおすそ分けします」「あなたにも幸福が訪れますように」といった、相手の幸せを願う文面になると良いですよ。
■「病気見舞い」のお礼の手紙のポイントとは?
病気の時に良くしてくれた人というのはその後もお付き合いが続くケースが多いです。それまで仲良くしていたのに、病気を機に疎遠になったということは珍しくありません。
まずは「時間を作ってお見舞に来てくれたことに対するお礼」を伝えましょう。退院後も通院が続くなどの状況であれば、それとなく「今後もお願い事をするかもしれません」といったニュアンスだけを伝えるのもアリです。
■「快気祝い」のお礼と平癒の喜びを伝える手紙のポイントとは?
快気祝いというのは「病気が治癒しました」「完治しました」という報告を兼ねたお礼状です。
入院中・闘病中にお世話になりました、というお礼だけでなく、「おかげ様で良くなりました」という報告を兼ねたお礼の文章も入れましょう。
今後も一緒に飲みましょう・遊びましょうといった前向きな文面があると、相手がより安心するかもしれませんね。
■弔事のお礼の手紙を書く時のポイントとは?
弔事のお礼は、悲しみの中で書くものなので暗い内容になりがちです。
あまり落ち込んだ内容にならないよう、淡々とした文面で十分です。弔事のお礼状は故人に成り代わって書くことも多いので、あまり踏み込んだ内容にならなくとも問題ありません。
不幸が続かないようにという意味で、「繰り返し言葉(たびたび、ますますなど)」は極力避けるようにしましょう。
知っておきたい!お礼の手紙(縦書き)の基本的な流れとは!
お礼の手紙は縦書きと横書きがありますが、横書きはカジュアルな印象になりますので、普段の手紙なら良いですが「お礼」を伝えるには不向きです。
縦書きの手紙が正式なものとされていますので、今回は縦書きのお礼の手紙について掘り下げてみます。
■お礼の手紙は「前文・主文・末文」の順番で!
お礼の手紙は(頭語・時候の挨拶・安否のお伺い・自分の安否・お世話になっている感謝やお詫び)、主文(起語・本文)、末文(結びの挨拶・結語)、後付け(日付・署名・宛名など)がベースになります。
相手や内容によって、これらの中から取捨選択をして文章を作っていきましょう!
■前文の構成と書く時の注意点とは?
前文は、お手紙の本文(主要な内容)に入る前の文章です。
ビジネスやよほど急いだ内容でなければ、前置きもそこそこに要件に入るというのは失礼にあたります。ですから短くても良いので必ず前文を入れましょう。
時候の挨拶というのは「季節感」を大切にします。梅雨・初雪などの気候の他に、暑さ・寒さ、動植物など身の回りのことを気に留めておくと良いですよ。
■ 主文の構成と書く時の注意点とは?
主文は「用件」ですが、自分の用件よりも先に相手への配慮を書きましょう。
お礼の手紙であれば、相手へのお礼(品物などをもらったことに対する感謝)、それから自分の側の事(家族で美味しく食べたという状況や嬉しかったという感想など)を伝えます。
この時、状況を説明する作文にならないように気を付けることが大切です。
■末文の構成と書く時の注意点とは?
末文は「相手への気遣い」です。
ありがとうございます、と伝えるだけでは「自分の事だけ」になってしまいます。「そちらはいかがですか」「これからもお元気でお過ごしくださいね」といった配慮が感じられてこそ「オトナのお手紙」なのです!
■縦書きと横書きの違いとは?
例えば冠婚葬祭のお知らせ葉書やお礼状などで横書きのテンプレートはほとんどみかけませんよね。お手紙であれ葉書であれ、正式なものはビジネスを除いてはほぼ縦書きです。
その理由は、日本においては縦書きが正式なものとされているからです。
横書きが絶対ダメというわけではありませんが、縦書きに比べると横書きはカジュアルダウンしてしまう印象が拭えないため、友達などであればOKでも、ビジネスや目上の方、改まった場では極力使わないのが常識となっています。
スッとお礼状が書ける、デキるオトナを目指して
ある日突然お礼状を書きましょう、と言われれば誰しも面食らってしまいます。
しかし、お礼状を書くことが習慣になれば、必然とそれに関するアンテナが働き、普段から封筒や便箋、切手などに注意が向くようになるでしょう。
いつでもお礼状が書けるように美しい便箋と封筒&葉書を用意しておける大人って素敵ですよ♪