知っていますか?基本を押さえた「感謝の手紙の書き方」とは
何かをしてもらった時、何かをいただいた時、時間を割いて指導してもらった時、私たちは様々な場面で感謝する気持ちを持ちますね。その思いを手紙で伝える場合、相手に心からの気持ちを伝えるために押さえておきたい基本的なポイントがあります。具体的な例とともに、感謝の手紙を書くコツをご紹介していきます。
感謝の手紙を書く時に押さえておきたいこと
手紙で感謝の気持ちを表したい時、その内容や文章の書き方などももちろん大切ですが、渡す時期やタイミングも重要となってきます。感謝の手紙を書くときに押さえるべきポイントをご説明します。
■感謝の手紙を書くタイミング
まず感謝の手紙を書くタイミングですが、やはりお世話になり双方の気持ちや記憶が薄れないうちに渡すのが良いでしょう。1つの区切りがついたらすぐに感謝の手紙を出すようにしたいですね。万が一遅れてしまった場合は、お礼が遅くなり申し訳ございませんと、一文付け加えるようにしましょう。
■心からの感謝を伝えるポイント
本当に心から感謝しているということを伝えるために、回りくどい言い回しをするより、ストレートに「ありがとうございます」という言葉で気持ちを表しましょう。「心から」「心底」、という表現も添えてみるのもいいですね。また相手の尽力がなければ今のような良い結果になっていなかったと伝えるのも、相手は気持ち良い気分になることでしょう。
ケース別「感謝の手紙」の書き方と文例とは
感謝の手紙を書いて出す時は、様々なシチュエーションが考えられますね。物をいただいたり借りたりした時、仕事や勉強を教えてもらった時など、いろいろな場面で感謝の手紙を書くことがあります。こちらでは、それぞれケース別に感謝を示す手紙の、具体的な文例をご紹介していきます。
■「お歳暮やお中元」に対する感謝の手紙
お歳暮に対するお礼
謹啓
師走の候、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
このたびはご丁寧にお歳暮の品をお贈りくださいまして、厚く御礼申し上げます。
年末ご多忙のおりではございますが、皆様ご自愛くださいませ。
敬白
お中元に対するお礼
拝啓
梅雨が明け本格的な暑さが続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。
このたびは結構なお中元の品をお送り頂きまして、誠にありがとうございます。
しばらく厳しい暑さが続きますが、くれぐれもご自愛下さい。
敬具
■「お祝い」に対する感謝を伝える手紙
拝呈
初春の候、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
私たちの結婚に際しまして、お心のこもったお祝いの品を賜りまして、
誠にありがとうございました。
今後とも未熟な私たちのご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
敬具
■「お見舞い」への感謝を伝えるには
拝啓
大寒の候、お変わりなくお過ごしでしょうか。
先日はお忙しい中、お見舞いに足をお運びくださり、
ありがとうございました。
先日無事退院いたしました。しばらくは自宅にて静養に努めたいと思います。
○○様におかれましても、どうかお体に気をつけてお過ごしください。
敬具
■「研修先・実習先」に感謝を伝えるケース
拝啓
厳寒の候、貴社ますますご繁栄の事とお喜び申し上げます。
先日はご多忙の中、実習におきまして丁寧なご指導賜り、
誠にありがとうございました。
貴重な体験を糧とし、日々精進してまいりたいと存じますので
今後とも、よろしくご指導くださいませ。
末筆ではございますが、皆様の一層のご活躍を心よりお祈り申し上げます。
敬具
■「就職先の紹介」に対する感謝の手紙
拝啓
早春の候、いかがお過ごしでしょうか。
このたびの私の就職に際しまして本当にお世話になりました。
おかげさまで就職が決まり、入社式を待つばかりです。
今後とも変わらぬご指導くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。
敬具
■「内定」を貰った時の感謝を伝える
謹啓
天高く馬肥ゆる秋、皆様にはますますご壮健のことと拝察いたします。
この度は、内定をいただきまして、誠にありがとうございました。
一日でも早く貴社に貢献できるよう、一生懸命努力していく所存です。
今後ともご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。
秋涼爽快の折、貴社の更なるご発展を心よりお祈り申し上げます。
敬白
■「保証人」になっていただいた事への感謝
拝啓
若葉萌えいづる頃、ますますご健勝のことと存じます。
先日は快く保証人を引き受けてくださいまして、本当にありがとうございました。
おかげさまで手続きも滞りなく済みました。
これもひとえに〇〇様のお力添えのおかげでございます。
今後は○○様のご信頼に応えるよう努めたい所存です。
引き続きご厚情を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
敬具
■「借金」をさせていただいた感謝を伝える手紙
拝啓
実りの秋を迎え穏やかな季節となりきました。お変わりございませんか。
先日は厚かましいお願いを伺いまして、大変申し訳ございません。
なんとか危機を脱することができまして、誠にありがとうございました。
お借りしたお金は約束の日付までに必ず返済致しますので、
よろしくお願い致します。
秋の長雨にお体を冷やさぬよう、どうぞお気をつけください。
敬具
■「親」へ育てて貰った感謝を伝える
お父さん、お母さん
今まで深い愛情で育ててくれてありがとう。
お父さん
時には反抗的な態度をとってしまったけど、
決して弱音を吐かないお父さんをいつも尊敬しています。
お母さん
いつも私を理解して、支えてくれてありがとう。
お母さんのような愛に満ちた人になれるように頑張ります。
ふたりの娘に生まれて温かい家族の中で育ててもらったこと
本当に感謝しています。
これからもよろしくね
知っておきたい「手紙のマナー」の基本中の基本
手紙というものを書く時の基本的なマナーをご存知ですか?感謝の手紙に限らず、挨拶や報告などの手紙全般について、大人として知っておきたいルールやマナーがあります。手紙を出す相手に失礼にならないよう、しっかりお勉強しておきましょう。
■封書とハガキの使い分け
ハガキは「端書」とも言われるように、実は紙に書き取る覚え書きのようなものなのです。身内や友人同士など、親しい仲間と簡単な内容をやり取りするツールとされています。改まった内容や目上の人に出すには、封書で送るようにするのがマナーです。
■手紙を書くタイミング
手紙を書くのは新鮮なうちに、早めのタイミングで出すようにしましょう。お祝いも感謝の手紙も、記憶の新しい早い時期に受け取る方が嬉しいものです。例外として、お見舞いの手紙は病状を見て、相手が落ち着いてからの方が良い場合もあります。
タイミングを逃して手紙を出す時期が遅れてしまった場合は、遅くなってしまったことに対して謝罪する旨を記載して出すようにしましょう。
■宛名や敬称の書き方とは
宛名につける、様や御中、先生、各位などの敬称について正しい使い方を知っておきましょう。「様」は個人名の後につける敬称で、年齢や地位に関係なく一般的に広く使われます。「先生」は医師、教師、弁護士などに宛てて書く時に使用します。先生の後に様をつけないよう注意しましょう。
「御中」は会社や組織、またその中の特定の部署など、団体に宛てる場合の敬称です。「各位」は、団体ではなく複数の個人に宛てて書く場合に用います。「お客様各位」「保護者各位」などと言った使い方をします。こちらも各位のあとに様をつけて二重敬称にならないようにしてください。
■便箋・封筒の選び方とは
使用する便箋や封筒にも注意が必要です。改まった文書の場合は白無地、もしくは縦の罫線が入ったものを選びましょう。カラーや模様が入ったもの、横罫線のものは、基本的に親しい人やカジュアルな手紙の場合に使えます。
封筒についても、改まった手紙の場合は白無地で縦書きの和封筒を使いましょう。カラーや模様の封筒、洋封筒はライトな手紙に用い、また茶封筒は事務的な手紙を送る際に使用します。
■便箋の枚数のマナー
弔事の手紙を送る際は、不幸が重ならないようにと便箋1枚で収めるのがマナーとされています。しかし、通常の手紙で便箋1枚に収まった場合は、白紙の便箋を重ねて2枚にします。その理由は、裏から透けて他の人に読まれないように、返信用の便箋として使ってもらうために、本当はもっと書きたいという気持ちを示すために、など諸説あります。
■切手の選び方と正しい貼り方
改まった手紙の場合はポップなイメージの切手は使用せず、風景など季節感のあるものを選ぶようにしましょう。縦封筒の場合は左上に、2枚以上の切手を使用する際は縦に重ならないように貼ります。横封筒の場合は右上に貼り、2枚以上の場合は横に重ならないように貼ってください。
あまり切手が多いとあり合わせのもので済ませた印象になってしまうので、できるだけ少ない枚数で出すのが礼儀です。
■頭語と結語の組み合わせに注意
手紙は頭語で始まり結語で終わります。頭語とは「こんにちは」などの挨拶に当たる部分で、結語とは「さようなら」の部分です。また頭語と結語には決まった組み合わせがありますので、その組み合わせを間違わないようにしましょう。たとえば拝啓に対しては敬具や拝具、謹啓に対しては謹言や敬白といった組み合わせとなります。
また前文を省略する場合は前略という頭語を使い、草々やかしこといった結語で締めます。
■前文と末文の組み合わせにも注意
前文とは、頭語の次に書く文で、季節の移り変わりを手短かに表現します。寒冷や早春、盛夏や秋雨といった季節を表す単語のあとに候などをつけて、「盛夏の候」と書きます。末文は相手方の健康や繁栄を祈る文で締めくくるようにします。末文は季節に関係する文章でもいいですし、相手の健康を願ったり今後の指導を願ったりする場合や、返事や伝言を頼む文で締めることもあります。
■時候の挨拶の言葉とは
頭語のあとにくる、季節感を思わせる挨拶のことを時候の挨拶といいます。例えば春は「日ごと春の訪れを感じるようになりました」、夏は「堪え難い暑さが続きます」、秋は「さわやかな秋晴れが続く今日この頃」、冬は「寒さもいっそう身にしみるころ」などと使用します。
■使ってはいけない忌み言葉
不吉なことをイメージさせる忌み言葉。手紙の文中でうっかり使ってしまうと失礼にあたりますので注意が必要です。たとえば結婚祝いの手紙では、分かれる、離れる、壊れる、もう1度、再び、などは避けるようにしましょう。長寿の祝いでは、倒れる、果てる、途切れる、お見舞いの手紙では、枯れる、重なる、消えるなどの単語は使わないようにします。
温かい手書きの手紙を書いて気持ちを伝えよう
今はメールが基本的な連絡手段となっているので、手紙を書くという機会は減ってきています。しかし、手書きで一字一句心を込めて書くというのは、自分も相手に対して気持ちを込められますし、相手にとっても温かさや思いが感じられるものです。忙しい日々、便利な日常の中で時間を作り、じっくりお礼の手紙を書いてみてはいかがでしょうか。