押さえておこう!お礼状の「封筒」の正しい書き方とは?
社会人にはお礼状を書く機会が、思いのほか頻繁にあります。便箋(びんせん)に書く内容や書き方について気を配るのはもちろんですが、それだけで安心していませんか?受け取る方が最初に目にするのは封筒です。お礼状を入れる封筒にもちゃんと押さえておくべきマナーがあります。
今回はお礼状の封筒の正しい書き方について解説します。
確認しておこう!お礼状の「封筒」の基本とは?
封筒は受け取った方の第一印象を左右します。詳しい書き方の前に、まずはお礼状の封筒の選び方や基本について押さえておきましょう。
■正式な「お礼状の封筒」とは
ビジネスレターとして正式なお礼状を出す場合、便箋の大きさや種類に合わせて封筒を選べがちになりますが、封筒はどんなものでも良いという訳ではありません。
封筒の種類は、和封筒でも洋封筒でも構いません。色は白を選びます。カラフルなものや茶封筒はNG。中に薄い紙が入った二重封筒を選ぶのが正統派。ただし、弔事などの場合は「不幸が重なる」イメージを連想させるので、二重封筒は避けましょう。封筒のサイズは、B5の便せんを使用するとして、定形の長型4号が良いでしょう。
■守りたい「封筒」を書く時の基本マナー
最近、ビジネスの場においてはメールでのやり取りが増え、文書を送るとしても印刷したものが大半です。
でも、お礼状だけは例外。手書きで書く方が、相手の目に留まりやすく、良い印象を与えられる可能性が高いです。反面、マナー違反が致命的なダメージになることも。お礼状本文だけでなく、封筒の書き方についても、基本を疎かにしないことが大切です。
手書き&縦書きが基本
お礼状を出す場合は、本文だけでなく封筒の宛名も手書きが望ましいです。楷書で丁寧に書きましょう。書き損じた時は修正液を使ったりせず、新しい封筒に書き直してください。
正式なビジネス文書として送るなら、縦書きが基本。数字は縦書きする場合は漢数字、横書きなら算用数字を使いましょう。横書きは、ビジネスの場でも、少しカジュアルなシーンや相手なら問題ありません。
宛先の間違いは失礼に当たりますので、投函する前に誤字脱字や間違いがないか、しっかり確認しましょう。
切手の貼り方や封筒の閉じ方にも注意して!
せっかく丁寧に封筒の宛名を書いても、切手が斜めに貼ってあったり、いい加減な封じ目だったりすると、乱雑でだらしない印象を与えてしまいます。これでは、お礼状が台無しです。最後まで気を抜かずに丁寧に処理しましょう。封筒は糊や両面テープで、しっかり封緘すること。間違ってもセロテープを使わないでくださいね。
押さえておこう!和封筒「表書き」の書き方とは?
封筒の種類によって、書き方のルールも変わります。まずは和封筒でお礼状を送る場合のルールについて押さえておきましょう。
■住所を書く位置とその書き方
和封筒は、縦書きが基本です。まずは住所の書き方ですが、都道府県名から順に記入していきます。番地や建物名も略さず記入すること。「丁目」「番地」の代わりに「-(ハイフン)」を使っても構いません。
また文字と文字の間のスペースを均等に、バランスよく書いていきましょう。住所が長い場合は特に要注意。縦スペース一杯の寸詰まりでは、残念な見た目になってしまいます。
■宛名を書く位置とその書き方
次は宛名の書き方について。お礼状を送る先の宛名は、封筒の中央に住所よりも一段下げて書き始めます。住所よりも少し大きめの文字で書きましょう。こちらも文字とスペースのバランスには注意を払いましょう。
■社名や肩書をつける時の注意点
お礼状の宛先に会社名や所属を記入する場合は、住所の書き方と同様、略称ではなく正式名称を書きましょう。例えば「株式会社」を「(株)」と略さないこと。部署などの所属も分かっているなら記入します。また、肩書や役職を付ける場合は「営業部長〇〇様」といったように、氏名の前に入れるのが正式な書き方です。
■敬称の書き方とその注意点
封筒の書き方で、間違いやすいポイントが「様」や「御中」などの敬称。正しく区別できていますか?「様」や「先生」等は個人宛、「御中」は組織や団体宛の敬称です。宛先によって使い分けましょう。
「殿」は公文書や表彰状などでは比較的使われる敬称ですが、目下の人に使われることが多いため、お礼状の封筒の宛先に使うのは避けた方が良いでしょう。ちなみに「各位」は「関係者各位」など、複数の個人に宛てる場合の敬称。お礼状の宛名で使うことは、稀と言ってよいでしょう。
「氏名+役職名」の場合は?
氏名の後に役職を付ける場合は、その役職名自体が敬称となりますので、重複して「様」を付ける必要はありません。例えば「〇〇課長」はOKですが「〇〇課長様」は二重敬語でNG。ビジネスマナーとして常識です。
なお、封筒の宛名の書き方としては「役職名→氏名+様」が正式ですが、お礼状の文中では「氏名+役職名」を使っても支障はありません。
相手のフルネームが分からない時は?
お礼状の封筒の宛先はきちんとフルネームで書くのが正式な書き方。苗字しかわからない、氏名も分からない…という場合を除いて、省略しないこと!
どうしても相手の氏名が分からない時は、役職名のみわかる場合は「役職名」、役職名も分からない場合は「ご担当者様」でもOKです。内定採用のお礼状であれば「採用ご担当者様」にしましょう。
■外脇付の書き方とその注意点
外脇付(そとわきづけ)とは、「親展」や「請求書在中」など、文書の種類や内容を封筒に示す表示を指します。これにより、受け取った側は開封する前に、それがどのような書類か、どう扱うべきかを察することができます。正式なビジネス文書の書き方として、押さえておきたいポイントの1つです。
外脇付は封筒の左下に記入します。お礼状のように、宛先の本人だけに開封してほしい場合は「親展」とします。外脇付は朱書きすることが多いですが、黒や青でも問題ありません。
押さえておこう!和封筒「裏書き」の書き方とは?
ここからは、お礼状を和封筒で送る際の裏書の書き方について解説します。
■差出人の住所と氏名の位置とその書き方
差出人の住所と氏名は、封筒の中央に寄せる書き方と左側に寄せる書き方の2種類があります。一般的に、郵便番号枠があらかじめ印刷されている場合は、左寄りが多いので、封筒に合わせて位置を選んでOK。表書より少し小さい字で書きましょう。
中央に寄せる場合は、封筒の中心線より右に差出人の住所、左に氏名を記入します。左に寄せる場合は、中心線より左よりに、住所→氏名の順で記入します。なお、名前は住所や所属より一段下げて、少し大きめの字で書きましょう。
■日付の位置とその書き方
ビジネス文書では、封筒の裏書に日付を入れるのが正式な書き方。日付は左側の余白に縦書きで書きましょう。なお、住所・氏名を封筒の左側に寄せた場合は、右側の余白に日付を入れてもOKです。数字は漢数字を使いましょう。
■封じ目の書き方
封筒を閉じたら、封じ目の中央に「〆」「締」「緘」等の封字を書きます。これは、封筒を閉じた印であると同時に、途中で開封されていないことを示すもの。「〆」より「締」「緘」の方が、よりオフィシャルな印象を与えます。
知っていますか?洋封筒を縦書きで使う時の書き方とは?
横書きで使用することの多い洋封筒ですが、改まったお礼状の場合は、縦書きで使用するのがビジネスマナーとしてベター。ここでは、洋封筒を縦書きで使う場合の具体的な宛名の書き方について解説します。
■表面の宛名の書き方
洋封筒を縦書きで使用する場合、表書きの書き方は、和封筒と同じです。封筒右側から順に住所、中央に所属→氏名、左下に外脇付をバランスよく書いていきます。
■裏面の差出人の書き方
洋封筒を縦書で使う場合、お礼状のような通常の文書であれば、開封口が右側になるように置きます。差出人の住所と氏名は、封じ目の左側に書くのが一般的な書き方です。日付は左上もしくは右上の余白に小さく記入します。
■封じ目の方向に注意
洋封筒を縦書きに使う場合は、和封筒と同じように「〆」「締」「緘」などの封じ目を記入します。ただし、不祝儀の場合は封じ目の方向に注意。通常は開封口が右側ですが、不祝儀の場合は、開封口が左側にくるように封筒を置きます。この場合は、通常とは逆方向でも使える郵便番号枠のない封筒を選びましょう。
ちなみに不祝儀の場合は、差出人の住所・氏名も封じ目に合わせて、通常とは逆の右側に書きます。
知っていますか?洋封筒を横書きで使う場合の書き方とは?
お礼状を出す先が、少しカジュアルな相手なら、横書きの洋封筒を使用しても問題ありません。ここからは、洋封筒を横書きで使用する場合の書き方についてご説明します。
■表面の宛名の書き方
洋封筒を横書きで使う場合は、切手を貼る位置が右上になるように置きます。住所は封筒の上3分の1くらいのスペースで収まるよう、バランスよく書きましょう。封筒の左端は2文字程度の余白があった方が望ましいです。宛名は封筒の中央に住所より大きめの文字で記入します。
なお、郵便番号の枠線がない封筒なら、住所の上に横書きで郵便番号を記入してOKです。
■裏面の差出人の書き方
洋封筒を横書きで使う場合は、差出人は封じ目の下に記入します。書き方は、郵便番号→住所→氏名の順。住所と郵便番号は書き出しを揃え、名前は少し大きめの字で住所より一段右に寄せて記入するとバランスよく見えます。日付は左上に横書き・算用数字で記入しましょう。
■封じ目の処理の仕方
封筒を縦書きで使用した場合は、封じ目に「〆」などの封字を記入しますが、洋封筒を横書きで使用する場合に限って、封字は省略しても構わないというルールがあります。もちろん、書いても失礼には当たりませんので、ご安心を。
封筒の書き方 参考になるサイトはココ!
ここでは、お礼状を出す際に参考になるサイトをご紹介します。封筒の書き方はもちろん、文例やマナーなどの情報が豊富なものを選りすぐりましたので、困った時はお役立てください。
■公私問わず使える「手紙の書き方大事典」
手紙や葉書、封筒の基本的な書き方やマナー、お礼状などのシチュエーションに合わせた文例まで、幅広く紹介したサイトです。公私を問わず様々な場面で応用できる情報が盛りだくさんです。
■ビジネスパーソン必見「ビズ式」
ビジネス文書に特化したマナー解説サイト。手書きの手紙や封筒の書き方、文例はもちろん、メールの例文なども豊富です。お礼状はもちろん、お詫びや催促など、職場や取引先で遭遇しそうな様々な事例が掲載されていますので、ビジネスパーソンにとっては心強いサイトと言えます。
■基本から丁寧に解説「手紙の書き方」
手紙や葉書、封筒の基本的な書き方について、丁寧な解説が掲載されています。お礼状などのビジネス文書の文例もちろん、印象に残る手紙やメッセージ書き方指南など、プライベートでも使えるアイデアも豊富です。
封筒はお礼状の「顔」
封筒はいわばお礼状の「顔」のようなもの。もちろん文書の中身が一番重要ですが、封筒は受け取って最初に目に入るものですから、書き方次第で印象が変わります。「たかが封筒」と侮るなかれ。丁寧に仕上げることで、いっそう気持ちが伝わりますよ♪ぜひ参考にしてください。