結納の意味って知ってる?
正式に婚約した2人が行う結納。最近では、結婚も簡略化する傾向にあって、結納を省略するカップルも多いですが、古くからの伝統にのっとって結婚の手順を進めたいという人にとっては、外せない儀式ですね。でも、そもそもの結納の意味ってご存知ですか?
今回は、結納の意味や由来について、詳しくご紹介します。結納をすると決めた人も、まだどうするか迷っている人も、参考にしてみてください。
結納とは?
結納は両家が正式な婚約の成立を確認し、金品をかわす儀式です。結婚式の半年から3ヵ月前に行うのが一般的。仲人が仲立ちする正式結納と、簡略化して行う略式結納の2つのタイプがあります。そもそも、結納にはどんな意味があるのでしょうか。ここでは基本をおさらいします。
■「家と家との結びつき」の儀式
結納は結婚によって、両家が「結」びつき、親族となることを祝って、お互いに贈り物を「納」める儀式です。単なる両家の顔合わせより、一段格上の意味のある儀式と考えて良いでしょう。
現代の結婚は、当人同士のものとは言え、やはり伝統を重んじる家庭もまだまだ多いもの。結納は必ずしも必要ではありませんが、当人だけでなく両家の親族が納得して要否を判断することが大切です。なお、新郎側から結納の省略を提案するのはマナー違反なので、避けてくださいね。
■結納の意味は婚約をより公にするもの
結納は、あくまで両家のプライベートな儀式という位置づけです。とはいえ、当人同士だけでなく、両家の結びつきを改まった場で、結婚の約束を確かなものとしてお互いに確認するという意味で「結納をすませること」イコール「婚約をより公にするもの」と言えます。
■地域によって風習が異なる場合も!
結納の意味そのものは、どこでも基本的に同じです。しかしながら、しきたりや進め方については、他の冠婚葬祭と同様、地域や家庭によって大きく異なる場合があります。
例えば結納品についても、関東では新郎新婦がそれぞれ同等の品を準備し、お互いに取り交わす形式が多いのに対し、関西では新郎が新婦に献上する形式が多いと言われています。また、結納品の品目自体も地域でかなり異なります。
思い込みで進めてしまうことのないよう、お互いがきちんと確認して準備することが大切です。出身地が異なる場合は、特に注意しましょう。
■両家での事前の打ち合わせを入念に
結納には様々な準備が必要です。日取りや会場の手配をはじめ、どのような形式で行うのか、結納品や費用負担はどうするのかなど、事前に決めておかなければならないことが多数あります。お互い不慣れなことが多いので、思わぬことで見落としがあったり、ちぐはぐになってしまうことも。
例えば、当日の準備や進行、お互いの服装など、細かい点に至るまで、検討しておくことが重要です。両家の大切な儀式ですから、お互いに齟齬がないよう入念な打ち合わせをしておきましょう。
結納のルーツとは?
結納は日本の古くからの伝統というものの、そもそもいつから始まったのでしょうか?結婚の在り方も、時代によって変遷してきたはずですが、結納の意味も変わってきているのでしょうか?ここでは結納の歴史についてご紹介します。
■結納の始まりはなんと「古墳時代」だった!
日本における結納の起源は4世紀から5世紀ごろ、いわゆる古墳時代にさかのぼると言われています。仁徳天皇の皇太子、のちの履中天皇が妃を迎える際に、贈り物(納采)を贈ったことが結納の始まりとされています。現在でも「納采の儀」は、皇族の結婚の儀式として受け継がれています。
■中国の六礼の中の「納采」が結納のルーツ
皇族によって行われる「納采」は、もともと中国の「六礼(りくれい)」に定められた儀式のひとつです。六礼は中国古代に冠婚葬祭を含めた6種類の礼式を定めたもので、納采に関しては、婚礼前に男性側が女性側に贈り物を納める儀式としています。これが現代まで続く結納のルーツです。
なお、結納の語源には諸説あり、宴席の酒肴を意味する「結いのもの」が転じたという説や、結婚を申し込むという意味の「云納(いいいれ)」に由来するとも言われています。日本の古くからの慣習と中国古来からの伝統が結びついたものと考えられています。
■庶民に伝わったのは江戸時代から
皇族によって取り入れられた婚礼の儀式は、平安時代の貴族にも受け継がれ、室町時代に武家によって整備されていきます。結納の作法が整うのも室町時代のころ。しかしながら、当初は公家や武家の間でのみ行われており、庶民は結納どころか、結婚式を挙げる風習すらありませんでした。
江戸時代に入ると、豪商など一部の裕福な家庭で、結納や結婚式などの儀式を行うことが浸透していきます。明治時代に入り、ようやく一般の家庭でも結納や婚礼の儀式が行われるようになりました。儀式そのものの歴史は古いものの、広く一般に普及したのは、近代になってからなのです。
■「婿入り婚」から「足入れ婚」そして「現在の形」へ
古来、日本は男性が女性の家庭に入る「婿入り婚」が一般的でした。それが室町時代以降、武家社会にかわるにつれ、女性が男性の家庭に入る形式にシフトしていきます。正式な婚姻前に女性が男性の家庭に入り、その後に正式な婚姻に至る「足入れ婚」を経て、女性が男性に嫁ぐいわゆる「嫁入り婚」へ移行していきます。
家庭の在り方が多様化した現代でも、やはり女性が男性の家に嫁ぐ形式が多数派を占めているのが現状です。
■結納は「婿入り婚」をせずにすぐに男性側の家に入ることへの感謝の気持
時代を経て女性が男性に嫁ぐことが主流になったとはいえ、日本はもともと「婿入り婚」が基本だった社会です。そうした背景から、結納は「婿入り」ではなく「嫁入り」をしてくれる婚家への感謝の意を表す意味も込められているのです。男性側から女性側へ贈り物をする習わしは、そうした背景があると思うと納得ですよね。
結納金の意味って?
本来、結納の席では、お酒や肴、寿留女といった現物を結納品として準備するのが習わしでした。しかし、現在では、現物をお金で代用する意味で結納金を贈ることが定着してきています。そうした背景もあって、結納金自体にも、きちんと意味があります。しっかり理解した上で準備しましょう。
■「この金額でお嬢さんをください」なんて人身売買みたいな考えは大きな勘違い!
結納金は一般的に高額なこともあってか、嫁いでもらうことへの代償の意味で支払うと勘違いしている人がいますが、それは大きな間違いです!もともと「婿入り婚」が主流だった日本において、そうした売買のような考え方はありません。結納金は、婚家への代償というより、むしろ感謝の意を表すものなのです。
■「このお金で嫁ぐための準備を!」という意味
もともと結納では、嫁いでくる新婦に対し、新郎から帯地や着物地を贈っていましたが、現在はその代替として結納金を贈るようになりました。そうした名残から、今でも結納金は「小袖料」や「御帯料」と呼ばれることがあります。要するに、結納金は嫁ぐための準備資金の意味で渡すものなのです。
なお、男性が養子に入る場合は、迎える側の新婦側が結納金を準備するのが一般的です。
■結納金の平均相場は100万円
結納金の平均的な相場は、100万円が最も多いようです。ただし、これはあくまで目安の金額です。特にルールがあるわけではないので、各々で金額は決めるしかありません。金額は100万円のようにキリの良い数字か、50万円、70万円などの奇数、末広がりの80万円などが良いとされています。
■金額は「西高東低」の傾向に
結納金の金額は、地域によっても差があります。一般的な傾向として、東日本より西日本の方が高め。金額を検討する上では、相手の出身地域の傾向も把握しておくと良いでしょう。
なお、結納を受け取った側が、一定の額の金品を結納返しとして贈る風習もありますが、これも地域によって異なります。一般的には関東では半額を返す「半返し」関西では結納返しをしない、もしくは1割程度を返す、というケースが多いようです。
■その家庭に見合った金額を
結納金は、地域差の他にも、様々な要素が絡むので、金額を決めるのは難しいかもしれません。相手に具体的に希望額を確認するわけにはいかないので、支払う側が自身や家庭の身の丈に見合う金額を判断するしかありません。結婚の準備資金、あるいは婚家への謝意という結納金の意味に見合う金額であることが大切です。
結納を行う意義とは
結納は金銭的な負担も大きいし、堅苦しいことはしたくないという人も、最近は多いかもしれません。結納をすべきかどうか、迷っているという人もいるでしょう。一方で、何世代にも亘って育まれてきた結納には、様々な意義も込められています。単に「古い慣習」と切り捨ててしまわずに、その意義を考えてみてはいかがでしょう。
■形式的な儀式で両家の結びつきを強める
お互いの両親も納得している場合は、簡単な両家の顔合わせだけで結婚準備を進めることも、もちろん問題ありません。とはいえ、結納という儀式を行うことで、両家の結びつきが強くなるものです。結婚後も長くお付き合いが続く両家の関係を円滑にする意味で、結納を行う意義は充分にあると言えます。
■「結婚」へのけじめ
結納には、正式な結婚の約束をとりかわしたことを公にするという意味もあります。きちんと正式な手順を踏むことは「結婚」へのけじめになると言えるでしょう。新たな人生のスタートを前にして、決意を新たにするためにふさわしい儀式と言えます。
■大切なお嬢さんに嫁いでいただくことへの感謝の気持を形に♪
結納は嫁ぐ側への謝意を示す儀式です。様々なしきたりや贈り物も、感謝の気持ちを形に表したもの。大切に育てたお嬢さんに嫁いでもらう訳ですから、相応の誠意を示すことに、きちんと意義があるのです。
結納の意味をきちんと理解していざ本番へ♪
結納は長い歴史に育まれた伝統の儀式です。単に形式的にすませるのではなく、本来の意味を知ることで、両家の絆が深まり、意義のある式典にすることができるのではないでしょうか。参考になれば幸いです。