知っていますか「寒中見舞い」を上手に使う方法とは?
年賀状や暑中見舞いに比べて、寒中見舞いを出す人は少ないのではないでしょうか。
郵便局の広告でも、年賀状や暑中見舞いはがきは見たことがあるが、寒中見舞いの告知を見たことはないという人も多いでしょう。なかには「寒中見舞いってなぁに?」という人もいるかもしれません。
寒中見舞いとはどんなものなのか、みてみましょう。
寒中の意味と「寒中見舞い」の基本的な注意点
寒中見舞いは時候の挨拶状のひとつです。そもそも「寒中」とは、どんな意味なのでしょうか。
暑中見舞いが「夏の暑い盛りに出す」ことを知っている人であれば、寒中見舞いは「冬の寒い時期に出す」ものであることは簡単に推測できるでしょう。
具体的に「いつ」「どんなときに」出すものなのか、詳しく見ていきましょう。
■寒中とは
「寒中」という字から「寒い季節・冬」ということはすぐに理解できると思います。では、具体的にいつのことを指すのかご存知ですか?
「寒中(寒の内=かんのうち、ともいいます)」とは24節気のひとつで、小寒から立春までの間を指してこう呼びます。寒さや雪を心配する便りと考えれば納得ですね。
■寒中見舞いを出せるのは何時から何時まで?
小寒が1/5ごろを指し、立春が2/4ごろのことを指しますので、寒中見舞いを出せるのは具体的には1/5~2/4までの間、ということになりますね。
いくらこの期間に出せるとは言っても、この期間内に投函するのではなく、この期間内に相手方に届くように贈るのが良いでしょう。
寒中について、3通りの解釈
寒中の終わりは立春(2/4頃)で一致しているのですが、始まりの期間は大きく3つの解釈があるようです。
期間の始まり | 理由 |
---|---|
小寒(1/5)以降から | 寒中は「小寒」から、という考え方に基づいた日付。しかし松の内(1/7)前なので年賀状のやりとりも可能です。そのため、あまり現実的な日程ではないかもしれません。 |
松の内明け(1/8)から | お正月や年賀状の期間を過ぎたら、という考え方。お正月飾りを片付けるなど普段の生活に戻ったところに届くので、小寒以降に出すよりは失礼がないでしょう。 |
小正月(1/15)明けから | 関西の一部地域は1/15までが松の内というところもあるようです。年賀状のやり取りとは期間が被らないので間違いはないでしょう。 |
■立春を過ぎたら「余寒見舞い」
同じ2月の挨拶状でも、立春を過ぎたら暦の上では春になりますので「寒中見舞い」の代わりに「余寒見舞い」を使います。
「余寒」というのは『春に残っている冬の寒さ』という意味で、寒中よりも少し温かく感じられる時期に使われます。時候の挨拶も春を感じさせる言葉を使うのが決まりです。
春めいてくる3月には使わないのが通例ですので、立春から2月いっぱいまでを目安にしましょう。
■寒中見舞いの基本的な文章構成
寒中見舞いは、
1.時候の挨拶
2.相手の安否や状況を気遣う言葉・年賀の欠礼などを詫びる言葉
3.近況報告・相手の健康を祈願する言葉
という、3部構成で書きましょう。
時候の挨拶とは季節を表す言葉で、「小寒の候」など24節気の言葉を当てはめるものと、「松の内も過ぎ、寒気ことのほか厳しく感じられます。」など気候や気温を表現するものがあります。
■イラスト入りのハガキを使う時の注意点とは
寒中見舞いには白地のハガキではなくイラストの描かれたハガキを使う方が多いと思います。
寒さを表す雪に関係するもの(雪の結晶、雪だるま)や寒椿などが一般的です。雪ウサギや福寿草の絵柄は年賀状の代用としては良いですが、相手方(もしくは自分方)が喪中などの場合は控えたほうが良いでしょう。
■年賀状を出し忘れた時の「寒中見舞い」で避けたい言葉
年賀状をもらったが、松の内までに出しそびれてしまった・・・。そんな場合にも寒中見舞いは使えます。
必ず「年始のご挨拶が遅れたことを詫び」ましょう。また、「年賀状を出し忘れた」というニュアンスが伝わる言葉は避けます。もし自分がもらった寒中見舞いに「年賀状を出し忘れた」と書いてあったら不快ですよね。
■喪中対応の「寒中見舞い」の注意点
相手が喪中の場合の寒中見舞いは、季節の挨拶状という意味合いの他に年始の挨拶の欠礼や返礼をしなかったことに対するお詫びの意味合い、故人に対して年賀状を贈った失礼を詫びる内容が含まれることもあります。
悲しみの中にあるので、ことさら「お祝いをイメージ・連想する図柄や言葉は避ける」のが望ましいとされています。
時候の挨拶として「寒中見舞い」を出すケースと文例の紹介
年賀状とは別に季節の挨拶状として寒中見舞いを出す場合や、年賀状の代用として出す場合、寒中見舞いの返礼として出す場合など、さまざまなシーン別に例文をご紹介したいと思います。
どの場合も「時候の挨拶」で始め、日付で締めるようにします。「拝啓」などの頭語や「敬具」などの結語は不要ですので覚えておくと良いですね。
■時候の挨拶として出す本来の「寒中見舞い」
時候の挨拶状として出す寒中見舞いには、大きなタブーはありません。雪ウサギや南天などの絵柄付きのハガキも使えますし、「春が待ち遠しい」という意味を込めて福寿草や紅梅をあしらったイラストを使用することもあります。
風邪が流行したり雪が多い季節なので、相手の体調や寒さを気遣う言葉を添えて「お変わりありませんか?」と尋ねる内容にすると良いでしょう。
『寒中お伺い申し上げます。
松の内が過ぎ、寒さが益々厳しくなっておりますが
いかがお過ごしでしょうか。
おかげさまで私どもは無事に過ごしておりますので、ご安心ください。
もうすぐ春の足音も聞こえてきましょう。どうぞお風邪など召しませぬよう、
お体を大切にお過ごしください。』
といったような文面は素敵ですよね。
■「寒中見舞い」の返事として出す時
寒中見舞いをいただいたときは返礼を忘れずに。時候の挨拶の部分で「寒中見舞いをいただいたお礼」を述べ、自分の近況を伝えましょう。また「そちらはいかがですか」と気遣う文面があればなおスマートですね。
『お正月気分も抜けてますます寒さが厳しくなってきました。
丁寧な寒中見舞いをいただきありがとうございました。皆様お変わりなくお元気とのことで嬉しく思います。
こちらは例年より雪が少なく、春の訪れがいつもより早く感じられそうです。』
といった感じの文面だと柔らかな印象になりますね。
■年賀状の返事が遅れた場合に出す「寒中見舞い」
年賀状の代用として寒中見舞いを出す場合は「年賀状を出さなかったことに対するお詫び」と年始の挨拶を追加します。
『寒中お見舞い申し上げます
ご丁寧なお年賀状をいただきありがとうございました。ご挨拶が遅れまして誠に申し訳ございません。
皆様におかれましては良い御年を迎えられたようで心よりお慶び申し上げます。
私どもも無事に年を越すことができました。
厳寒の折、皆様におかれましてはお風邪など召されませんようご自愛ください。
本年もご厚誼のほど宜しくお願いいたします』
といった感じですね。
■年末ギリギリに届いた「お歳暮」のお礼として出す時
お歳暮のお礼状を出したかったが年始と重なり、お礼状を出せなかった場合に使います。そもそもそんなギリギリにお歳暮を贈ってくる相手にも落ち度はあると思うのですが、そこは堪えましょう(笑)
『寒中お見舞い申し上げます
小寒の候、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
さてこのたびは結構なお品をご恵贈頂きましてありがとうございました。お礼のご挨拶が遅れまして誠に申し訳ございません。
寒さはこれからが本番でございます。皆様どうぞご自愛くださいませ。』
といった感じですね。
喪中対応として「寒中見舞い」を出すケースと文例の紹介
喪中の方に寒中見舞いを出す場合と、寒中見舞いで喪中を伝える場合では若干違ってきます。
お祝い事である「年賀」という表現はNGですので「年始」と言い換えましょう。年賀状は(お)年始状となります。その他にもお祝いを連想させる絵柄や言葉は使わないように気を付けましょう。
■喪中の方へ「年頭の挨拶」として出す時
欠礼はがきをいただいている(喪中であることを知っている)場合は、年賀状の代わりに寒中見舞いで年始の挨拶をします。
『寒中お伺い申し上げます
ご服喪中と存じ、年始のご挨拶はご遠慮させていただきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
私どもはつつがなく元気に過ごしております。
ご家族がひとり欠けたこの冬は、寒さもひとしおと存じます。世間では流感が猛威をふるっておりますが、くれぐれもご自愛くださいますようお祈り申し上げます。』
といった内容だと、相手を気遣い、こちらの近況も伝えられますね。
■喪中を知らせるとともに年頭の挨拶を欠礼したお詫びとして
時候の挨拶と、欠礼を伝えなかった失礼を詫びます。そして年始の挨拶を添えましょう。
『寒中お見舞い申し上げます。
寒さはこれからが本番ですが、皆様にはお変わりございませんか。
〇〇の喪中のため年始のご挨拶を差し控えさせていただき失礼いたしましたが、今年もなにとぞよろしくご厚誼のほどお願い申し上げます。
寒い日が続きますが、風邪など召されませぬようお体を大切にお過ごしください。』
というような内容で相手に喪中を知らせましょう。
■相手が喪中とは知らずに年賀状を出してしまったときのお詫びとして
年賀状を出した後喪中であることを知った場合は、先に電話などで失礼をお詫びし、更に寒中見舞いで「年賀状を出してしまった失礼を詫び」ましょう。
『寒中お伺い申し上げます
御喪中をわきまえず年始状を差し上げてしまい、深くお詫び申し上げます。遅ればせながら、〇〇様のご冥福をお祈り申し上げます。
寒気冴え返る時節ゆえ、何卒ご自愛ください。』
これでスマートな大人だと思われますよ。
■喪中を知らせずに年賀状をいただいた時
欠礼はがきを出していなかった方から年賀状が届いた、ということもあるでしょう。そんなときは寒中見舞いで喪中を知らせるとともに喪中を知らせなかったことをお詫びしましょう。
『寒中お見舞い申し上げます
昨年、〇〇が亡くなり、新年のご挨拶を控えさせていただきました。
欠礼のお知らせも申し上げず、大変失礼いたしました。
寒い日が続きますが、風邪など召されませぬようお体を大切にお過ごしください。』
故人や家族の人間関係を知る機会ともなるので、誰から年賀状が来たのか確認しておくと良いですね。
■故人に年賀状が届いた時のお礼として
故人に宛てた年賀状は、ご家族にとってやるせないものかもしれません。しかし故人にとっては縁もゆかりもある人なので、故人に代わってご家族がお礼を伝え、亡くなったことをお伝えするのが礼儀でしょう。
『寒中お伺い申し上げます
先日はご丁寧な年頭のご挨拶を頂戴し、誠にありがとうございます。
○○は、昨年○月に他界いたしました。
ご通知が遅れましたことをお詫び申し上げますとともに、故人との生前の交誼に深く御礼申し上げます。
酷寒の折、何卒お身体を大切に、穏やかに新春をお過ごしください。』
故人だけでなくご家族も交流がある方であれば、ご家族の近況を伝える一文を追加するのも良いですね。
寒中見舞いで大人度アップ♪
しょちゅう使うことのない「寒中見舞い」だからこそ、文面や対応でその人の器がわかってしまうものです。
失礼のないことはもちろんですが、選ぶ言葉でかなり印象が変わってきます。季節を愛でる日本人だからこそ、季節に合った言葉を選びたいですね。