傘寿は大切な長寿のお祝い♪
つい最近のことのように思えますが、実は1950年ごろまで日本人の平均寿命は50歳くらいしかありませんでした。そのため、60歳で迎える還暦が非常に長寿でおめでたいと盛大に祝われるようになり、その名残がいまでも残っています。
しかし昨今では皆さんもよく知っているように日本は長寿大国になり、60歳はまだまだ若いというイメージに変わりましたね。そんな現代では、80歳で祝う傘寿こそが、長寿祝いとしてもっともしっくりくるのではないでしょうか。まだ知名度は低いですが、大切な長寿祝いのひとつ。ぜひ家族で集まってお祝いしましょう♪
傘寿とは?
■数え年で80歳を迎えるお祝い
簡単に長寿祝いのうちの一つに傘寿というものがある、ということだけ紹介してきましたが、結局傘寿とはいったい何なのでしょうか?
具体的には、傘寿とは「さんじゅ」と呼び、数え年で80歳を迎える時に行うお祝いです。数え年というのは、産まれたときを1歳としてかぞえ、元日を迎えるたびにひとつ年を取るという考え方です。たとえば、2017年4月うまれの場合、2018年の元旦で2歳になります。
普段見かけないので、あまりピンとこないのではないでしょうか。実際に、数え年で祝うのではなく、いまでは80歳の誕生日にお祝いをすることが多いようです。
■傘寿のシンボルカラーは紫色
傘寿をはじめ長寿祝いにはシンボルカラーのようなものがあり、諸説ありますが、傘寿では紫色とされています。80歳を迎える人に紫色のちゃんちゃんこと座布団を贈り、お祝いをするのが一般的です。
■あまり知られていない!傘寿の次は「半寿」のお祝い♪
非常にマイナーな長寿祝いなのですが、実は傘寿の1年後に「半寿」と呼ばれる長寿祝いが存在します。これは数え年で81歳を祝うものなのですが、正直、きりのいい数字ではないことや、傘寿の翌年ということもあり、お祝いをする家庭はほとんどないようです。
半という漢字を分解すると八十一になることに由来して半寿と呼ばれていますが、将棋の世界では盤が9×9マスであることから、盤寿と呼ばれています。
傘寿の由来は?長寿祝いの歴史も併せて紹介!
傘寿についてご紹介していますが、では、なぜ80歳で祝うのに「傘寿」なのでしょうか?ここではその由来と、長寿祝いの歴史について調べてみました。
■「傘」の略字が八十に見えることが名前の由来!
傘寿の傘という字は、略字で書くと「仐」という字になり、これが縦書きで八十に見えることが傘寿の由来とされています。略字というのは画数の多い漢字を省略したもので、傘の略字を見かけることはあまりありません。しかし、「前」という字の下半分を「の」にしたり、いくつかよく使われる略字も存在するようです。
■長寿祝いの文化は「儒教」の影響という声も
そもそも、この長寿祝いの文化は中国から伝わってきたとされています。中国では紀元前に興(おこ)った儒教が強い影響力を持っており、敬老と長寿を尊ぶ思想が日本でも広まっていきました。最初は40歳、50歳・・・と10歳きざみだったそうですが、江戸時代ごろには現在の長寿祝いとほぼ同じ祝い方が定着したようです。
■平安時代には長寿祝いが存在していた!
長寿祝いが日本でも祝われるようになったのは、今から約1000年前の平安時代だったという説があります。最初は貴族の間で広まり、長寿を祝う詩を贈ったりしていたようです。その後祝う年齢や祝い方は変わりましたが、こんなにも古くから続いている風習だと知ると、きちんとお祝いをして次の世代にも伝えていきたくなりますね。
■長寿祝いの目的は長寿を祝い長寿にあやかる♪
長寿祝いでは、長生きしたことを祝い、そしてこれからも健康でいて欲しいとの願いを込めてお祝いをしましょう。また、運のよい人のそばにいれば自分も運がよくなるというように、ぜひその長寿にあやかりましょう。
知っておきたい!傘寿祝いのマナー
どんな祝い事でもマナーというものは存在し、傘寿のお祝いでもいくつか注意すべきことがあります。贈りものなどをする際に、参考にしてみてくださいね。
■お祝いの日取りは誕生日か敬老の日が一般的
本来は数え年で祝う行事なのですが、今では満80歳の誕生日や、80歳になる年の敬老の日に行うことがほとんどです。しかし、傘寿のお祝いの主役はあくまで本人なので、体調を考慮したうえで本人の希望に合わせることが大切です。
■お祝い金の平均相場は1~3万円
傘寿のお祝いでの贈り物は、物を贈る以外にご祝儀を渡すという場合があります。好みのものがわからなかったり、欲しいものを聞いてみても本人が遠慮したりするときなどですね。では、いくら包めばよいのでしょうか。ひとつの目安ですが、相場としては本人の子供は2、3万円。孫は1万円から3万円、親族は5千円から3万円ほどのようです。
■水引は紅白か金銀の蝶結びのものをチョイス♪
傘寿祝いでご祝儀を贈る際に、まず注意するのはご祝儀袋選びです。袋には水引と呼ばれる飾りひもがかかっていますが、結婚式やお葬式など、その時々で選ぶポイントが変わってくるので、間違った水引のものを選ばないように気を付けましょう。
傘寿などの長寿祝いでは、何度も繰り返してもおめでたいので蝶結び、色は紅白か金銀のものを選べば大丈夫です。
■表書きは「祝傘寿」や「傘寿御祝」がベター
ご祝儀袋を渡すまえに、忘れずに表書きを書いておきましょう。まず下半分には名前をフルネームで書きます。そして上半分には「祝傘寿」や「傘寿御祝」など、傘寿のお祝いであることを明記しておきます。「御祝」だけでも大丈夫ですが、傘寿の言葉が入っているほうが、きちんとしている印象を受けるかもしれません。
■「お茶」や「櫛」の贈り物はNG!
お年寄りの方にはむしろ好まれそうですが、傘寿祝いとして「お茶」や「櫛(くし)」を贈ることはおすすめできません。お茶は、お葬式などの弔事でよく用いられますし、櫛は「苦」と「死」を連想させるのでNGだそうです。何でもよいというわけではないので、このようなマナーを踏まえたうえでプレゼントを探すようにしましょう。
傘寿祝いをもっと喜んでもらえる秘訣
傘寿のお祝いを開くことになると、本人を喜ばすためにあれこれとアイデアを考えるのが大変ですよね。ここではより喜んでもらえるポイントをご紹介します。
■家族で長寿をお祝いしよう♪
もっとも重要なのは、家族が揃ってお祝いをすることです。80歳ですので、子供のみならず孫も何人かいるのではないでしょうか。何を贈りどこで食事をするのかを考えるよりも、まずは家族全員が傘寿祝いをする日に予定を合わせるよう、連絡を取り合いましょう。それが本人を喜ばす大きなポイントです。
■実用的な贈り物が喜ばれる秘訣
傘寿祝いに限らず、喜ばれる贈り物の鉄板は、実用的なものだそうです。これ何に使うの?というようなプレゼントでは、貰ってもあまり嬉しくありませんね。花好きなら花でも構いませんし、コーヒーが好きなら珍しい豆など、すぐに役に立つものを選ぶのがおすすめです。
■「傘寿」にかけて傘のプレゼントも◎
定番の贈りものですが、傘のプレゼントもおすすめです。普段なら買わないような傘をプレゼントしてみてはいかがでしょうか。
ここで注意すべきなのは、80歳ということなので、生活スタイルが人によってかなり違うという事。足腰がしっかりしていてよく外出するという方なら雨傘で良いでしょう。しかし、あまり出歩かないという方には、晴雨兼用の傘やおりたたみ傘にすれば、どんな時でも役に立つのではないでしょうか。
家族そろって傘寿のお祝いを♪
どんなプレゼントよりも、本人が一番喜ぶのは、やはり家族全員が揃うことではないでしょうか。ふだんなかなか会えない家族がいるなら、傘寿祝いの席で会えることを、どれほど心待ちにしていることでしょう。長寿祝いは離れ離れになった家族の絆を結びなおす素晴らしい伝統です。ぜひ、盛大にお祝いしてあげてくださいね。