知っていますか?開店祝いの「のし紙」のマナー
開店祝いでは、祝儀袋に入れた現金や、選んだ品物にのし紙をかけて贈りますが、その祝儀袋やのし紙には種類があります。これを間違って選ぶと、恥をかくだけでなく相手に大変失礼になります。今回は、開店祝いを贈る際にはどの祝儀袋やのし紙を選び、どのように書いたら良いのかを詳しくご紹介しますので、ぜひご参考ください。
知っておきたい!「熨斗」と「水引」の基本とは?
まず最初に、「熨斗」と「水引」について基本的なことをご説明します。開店祝いだけでなく、他の慶弔ごとでも選び方の参考になりますので、覚えておくととても役に立ちますよ。
■「 熨斗」の由来と使い方
そもそも「熨斗」とは、ワビを熨(の)して乾燥させた「アワビ熨し」のことで、昔から長寿の象徴とされお祝いには欠かせないものでした。お祝い事には必ず酒とともに持参した「アワビ熨し」ですが、時代とともに簡略化されています。今では祝儀袋やのし紙の右上に、紙を縦長の六角形に折ったものがついていたり印刷されていたりします。
お祝い事に欠かせない「熨したアワビ」は用意しにくいので、省略してここに最初からついていると理解してください。つまり、「熨斗」というのはこの飾りの部分のみを指します。また、品物に巻く掛け紙を「のし」という人がいますが、これは間違いで正しくは「のし紙」と言います。「のし紙」は熨斗と水引と紙の全てを合わせたもののことですので、混同しないようにしましょう。
■ 「水引」の種類と選び方
「水引」とは贈答品の包み紙を結ぶヒモのことを指します。本来は実際にヒモで結んでいましたが、今はのし紙や祝儀袋に印刷されているものが多くなりました。このヒモは、和紙をこより状にしたもので、緩まないように水糊(ノリ)を引いて固めたことから、「水引」と言われれいます。
この「水引」にはいくつか種類があり、間違えると大変な失礼にあたります。まず、結び方には「蝶結び」と「結び切り」の2種類があり、「蝶結び」は何度あっても良いお祝いごとに使用し、「結び切り」は二度と繰り返さないで欲しいことに使用します。
具体的には、「結び切り」は結婚関係と弔辞全般、快気祝いが主な用途で、それ以外は概ね「蝶結び」に該当します。
水引の本数は3、5、7本の奇数になります。粗品などの簡素なものは3本、通常は5本、特にめでたいことは7本...というのが本来の本数ですが、そこまで明確にせずにほとんどが印刷されている5本を使います。ただし、結婚に関しては、5本を2セット使用し、10本になっています。
つまり、結婚の10本さえ意識すれば、それ以外は通常はほとんど5本で違和感なく使用できます。
■表書き・名前を書く時の基本
表書きは、水引の上に書く「寿」「御祝い」「御礼」などの“どんな贈り物であるのか”を表す文字を言います。文字の大きさやバランスをよく考え、文字が水引にかかってしまわないよう注意して書きます。
4文字は縁起が悪いとされているのでできる限り避けますが、「幸せ」にちなんで4文字でも良いとする説もあります。しかし、受け取られる方は4文字を気にするかもしれませんので、4文字になってしまう時は「祝 ご卒業」のように空間を空けたほうがようでしょう。
そして、表書きも名前も黒い墨、または筆ペンで書きます。筆ペンは、インクが切れる前はかすれたようになってしまうことがありますが、薄いインク(墨)やかすれ文字はお祝い事では絶対にお渡ししてはいけません。また、かすれた場合に再度なぞることもできませんので、別の紙できちんと試し書きをしてインクがしっかり出ることを確認しましょう。
尚、墨や筆ペンの代用としては、サインペンはOKですがボールペンや万年筆はNGです。
知っておきたい!「贈る側の名前」の書き方とは?
のし紙でも祝儀袋でも、水引の下に贈り主の名前を書きます。ここにもいろいろと書き方のマナーがありますので、詳しくご説明します。
■肩書を入れる場合の書き方
会社名、団体名、役職などの肩書きを入れる場合には、氏名をフルネームで中央に大きく書き、肩書きは右側にやや小さめに書きます。肩書きは文字数が多くなると下の方が詰まってしまうことがあり、バランスを取るのが難しいので、あらかじめ別の紙で試し書きをしましょう。
■連名の場合の書き方
連名の場合、3名までは表に並べて書きます。年齢や職務が上の方を右側から順に書いていきますが、友人関係など同等の場合にはアイウエオ順にします。4名以上の場合には一番上位の方のみフルネームを記載し、「他○名」または「〇〇一同」などと左側に書き添えます。そして、中包みに全員の名前を記載したメモを入れます。
謙虚な日本人の性格として、会社名を遠慮して書かなかったり、グループの時も「一同」とだけにしてしまいがちですが、特に内祝いや香典返しなどお返しが必須なものの時など、誰に何を(または、いくら)いただいたのか分からないと困ってしまいます。ここはきちんと明確にするのがマナーでもあります。
夫婦の場合は右に夫、左に妻の名を書きますが、姓は夫だけにつけ、妻は名前だけを書きます。
■ 名刺を貼る場合
ビジネスのおつきあいの場合には、名刺を貼るケースがあります。左下に貼りますが、一応略式という扱いなのでできる限り会社名や肩書きも併せて、きちんと記載した方が良いでしょう。
■宛名を書く場合は
通常、のし紙や祝儀袋に宛名を書くことはありませんが、例えば開店したお店が共同経営の場合など、その中の一人に贈りたい時に記載します。宛名は水引の左上に、やや小さめに書きます。
知っておきたい!祝儀袋の「中包み」のマナーとは?
祝儀袋には「中包み」と呼ばれるものがあります。ここにも記載することやお札の向きなどいろいろマナーがありますので、詳しくご説明します。
■「中包み」とは?
「中包み」とは祝儀袋についている、白無地の封筒です。この中にお札を入れますが、ない場合には奉書紙や半紙で代用します。お札を直接祝儀袋に入れるのはマナー違反ですので注意しましょう。
■ 包むお札は新札を!入れる向きにも注意
ご祝儀に包むお札は新札にするのがマナーです。普段から、どのお札も数枚新札を用意しておくといざという時に慌てませんが、どうしてもない場合には銀行や郵便局に行って両替をお願いしましょう。
また、中包みにお札を入れる向きは、表を上にし、お札の左を下に、右が上に来るようにします。つまり、左側から入れるイメージです。お札を入れる際に封筒を裏返しているとお札も反対に裏表が反対になってしまうことがあるので、間違えないように注意しましょう。
さらに、半紙などで包む場合にも、仕上がった時にお札が正しい向きになっているようにします。
■「中包み」の表側と裏側の書き方
「中包み」の表には、中央に「金○○圓也」と中に入れた金額を記入します。この時、例えば30,000円であれば「金参萬圓也」というふうに、漢字で記載します。
裏には、贈り主の住所、名前を記載します。左下に通常縦書きの封筒で手紙を出す時のように書けばOKです。もし、裏に金額を記載するスペースがあらかじめ印刷されている場合には、金額は表には書かずここに書きます。
■「上包み」の折り返し方にも注意
最後に、「中包み」をきちんと準備できたら、それを「上包み」に入れる際の注意です。お祝い事の時は、裏面の折り返しの、下からの折り返しが上に来るようにします。幸せを受け止めるというイメージを持つと覚えやすいです。
逆にしてしまうと、不祝儀用になります。表からはわかりにくいので贈る側は気づかなくても、受け取られた方は開ける時に気づきますので大変失礼になってしまいます。
開店祝いの「のし紙」のマナーとは?
「熨斗」「水引」「表書き」の基本について全体的なことを詳しくご説明しましたので、最後に開店祝いを贈る場合についてご説明します。祝儀袋にも同じことが当てはまりますので、これさえ押さえておけば、マナーはバッチリです!
■「熨斗」の有無
開店祝いの場合、お祝い事ですので「熨斗」は必要です。右上に「熨斗」がついているものか、印刷されているものを選びます。
■「水引」の種類とその理由
また、水引は何度あっても良いお祝いごとですので、「蝶結び」を選びます。一般的な紅白の5本のもので大丈夫です。
■「表書き」に使う文言は?
開店祝いの場合、のし紙や祝儀袋の表書きには「御開店御祝」です。「祝 御開店」は4文字ですのでふさわしくありません。5文字は長くて書きにくいですが、水引に文字がかかってしまわないようにバランスよく書きましょう。
■「上包み」の折り返しは?
お祝い事ですので、下からくる折り返しが上になるようにします。歓びや幸せを受け止めると覚えましょう。
正しいマナーで開店祝いを贈りましょう
「のし紙」や「祝儀袋」は使い方や選び方が間違っていたらどうしよう....と不安になってしまいますが、基本を理解しておけば大丈夫です。あとは心を込めて新しい門出を祝い、応援しましょう♪