自慢したい「快気祝に使うのしの意味と表書き」とは?
入院していた本人が退院した場合に「退院したよ、ありがとう」という意味を込めて贈る快気祝い。
しかしマナーを間違えてしまうと、たちまち「ナニあの人!」と常識を疑われてしまうこともあります。知っておくとみんなに自慢できるのし紙のマナーについて、見ていきましょう。
押さえておきたい「快気祝いで使うのし紙のマナー」とは?
のし紙には種類があり、使う場面によって選ぶ必要があります。
ひとくちに「病気が良くなった」と言っても、完治から経過観察、とりあえず退院など様々な状態が考えられるので、その状況に合わせて表書きを変える必要があるんです!
■熨斗(のし)はつけるのか?
基本は、「全のし」と呼ばれる「熨斗・水引・表書き(上書き&下書き)」が全て含まれたのし紙を使います。
見かけることは少ないですが、本人の病状(体調)などにより、熨斗を外したのし紙を使うこともあるようです。
のし紙って種類があるの?
「全のし」というからには、他にも種類があるのでしょうか?当然の質問ですよね。
はい、あります♪
のし紙というのは、「熨斗・水引・表書き」という3つのパーツで構成されます。そして「熨斗」を含まない「水引・表書きだけ」のものは「掛紙(かけがみ)」と呼ばれています。
ただしここにも注意が必要で、お祝い事(慶事)のときは「熨斗なしののし紙」、ご不幸(弔事)のときは「掛紙」と呼び分けることもあるのです!
熨斗は1種類ではない
現在、熨斗といえば四角い紙を折って中に伸しあわびを包んだ「折熨斗(おりのし)」の事を指すことが多いようです。
実は熨斗は非常にたくさんの種類があります。
略式のものであれば「松葉のし」「文字のし」「わらびのし」「判のし」など。折熨斗であれば「両折り熨斗」「片折り熨斗」「束ね熨斗」「宝づくし」等々。
形も「草・真・行・蝶花」などがあり、これらはそれぞれに用途が定められているのです。
■使う「水引の種類とその理由」とは?
お祝い事なので白赤の水引を使う、それは正解です。では、結び方は・・・?
病気やケガは何度も繰り返したくはないもの。ですから「結び切り」と呼ばれる結び方の水引を使います。
結び切りには「二度と繰り返さない」という意味もあるんですよ。
■表書きはこう書こう!
表書きは、水引の上部に書く「用途」の部分だけを指す場合と、水引の下部に書く氏名も含む場合とがあります。
氏名も含む場合は「用途」の部分を上書き(うわがき)、氏名の部分を下書き(したがき)と呼び、セットで表書きと呼ぶようです。
上書きは「進物の用途」を表します。状況により、「快気祝」「全快祝」「快気内祝」などがあります。
押さえておきたい「快気祝いを贈る時のマナー」とは?
快気祝いを贈るとき、マナーやタイミングを間違えると「イタい人」になることがあります。
面倒くさいと思うかもしれませんが、礼儀としてわきまえておくべきことや大人としてデキて当たり前のことは最低限できるようにしておくのがスマートですよ。
■快気祝いを贈るタイミング
快気祝いは贈る時期(期間)が限られています。期間が短いので、注意が必要です!
一般的には「退院・復帰・床上げから10日以内」と言われています。案外短いですよね。もしこの期間より後になってしまった場合でも、なるべく早く贈りましょう。
■快気祝いで定番の品物
快気祝いとして贈る場合は「消え物」と呼ばれるものを贈るのが習わしです。
消え物とは、お菓子などの食品や石鹸など、「後々まで形の残らないもの」のこと。きれいさっぱり治りました、という意味から後に残らない食べ物、病気を洗い流すという意味から石鹸類が好まれます。
■快気祝いの金額の目安
快気祝いはあまり高価なものを贈るものではないとされています。
金額にして3,000円~5,000円、高くても10,000円、いただいたお見舞金額の1/3を目安とし、相手の方との関係によって金額を考慮すると良いですね。
退院の報告も兼ねるので、あまり高いものだと相手も恐縮してしまいますよ。
品物じゃなきゃダメなの?
近年ではマナーが緩くなり、返礼に金券を使用することも少なくありませんよね。
しかし、本来のマナーではNGです。兄弟や親友など「非常に近しい、あるいは嗜好を良く知っている間柄」であれば例外的にOKとも言われていますが、会社関係などの場合は使うべきではありません。
どうしても金券を使う場合は、「本来は品物をお贈りするのですが・・・」とことわりを入れたうえで渡すと、マナーを知った上での対応だと理解してもらえるでしょう。
知っていますか「表書きで変わるお見舞のお返しの意味」とは?
病気やケガで療養している間にお見舞をいただいた場合、病状の回復後に「返礼」をします。
表書き(上書き)が何と書いてあるかによって、相手の状態を知ることができることをご存知でしょうか。
それぞれの表書き(上書き)の場合の「意味」を見ていきましょう!
■「快気祝」と書く場合の意味とは
快気とは「治った」という意味なのですが、快気祝いの場合は「周囲に退院を知らせる」という意味に変化します。
入院していた人が退院したことを伝える言葉であり、入院中にいただいた「お見舞の返礼」としても使われます。
■「快気内祝」と書く場合は
元々の内祝いというのは「お祝いのおすそ分け」という意味なので、お見舞をいただいていない方にも病気が治った旨のお知らせをする際に用います。
快気内祝はちょっと違う意味も含まれることがあります。快気内祝となっている場合は「退院はしたけれど通院や自宅療養が必要な状態」の場合に使われることもあるのです!
■「全快祝」と書いた場合の意味
「快気祝」と混同してしまいがちなのがこの「全快祝」です。
快気は「退院を知らせる」=病気が「ほぼ」完治した、ということを知らせるのに対し、全快は「自宅療養や通院も完了したことを知らせる」=病気に関連することが全て完治した、ということを知らせているのです!
■「御見舞御礼」と書いた場合の意味
「御見舞御礼」は病気に関連するお礼という意味ですが、別な意味が潜んでいることがあるので注意が必要です。
というのも、「御見舞御礼」というのは「まだ退院していないけれどお見舞いのお礼がしたい」場合にも、「治療の甲斐なくなくなってしまった」場合にも使われるからです。
■ 「退院祝」と書く場合の意味とは
入院そのものを知らなかった場合やお見舞に行く前に退院してしまった場合などは、お見舞の代わりに「退院祝」を出してお見舞の代わりにすることがあります。
退院祝いは「周囲が病気だった方に出す」ものですので、病気だった本人が出すものではありません。「快気祝」の反対ですね。
「退院祝」は退院後~1ヶ月以内に贈り、金銭ではなく品物で贈るのが一般的です。
知っていますか「水引の種類と使い分け」とは?
水引とは、のし紙の中央に掛けられた「紙縒り(こより)状の紙紐」や「紙縒り状の紙紐を印刷したもの」を指します。
白・赤・黄色・金・銀・黒など様々な色がありますが、「慶事」「弔事」それぞれに使う色と結び方が決まっているのです。
■「蝶結びの水引」の意味と使うシーンとは?
蝶結びは「双輪(もろわな)結び」「リボン結び」「花結び」などの呼び名がある結び方です。
人生において「繰り返しあっても良いお祝い」に使います。病気やケガなどは人生に何度もあるのは良くないため、退院祝いや快気祝いにはNGです。
■「結び切りの水引」の意味と使うシーンとは?
「本結び」とも呼ばれる結び方です。左右の手を変え「ばってん結び」を2回繰り返すこの結び方は、いちど結ぶとほどけなくなります。
そのことから、良い事であれ悪いことであれ「何度もあってはいけない事」「2度となくて良い事」に使われます。快気祝にはこの結び方がBESTです。
■「あわじ結びの水引」の意味と使うシーンとは?
「あわび結び」とも呼ばれ、結び切りを応用した結び方です。
左右の端(長く出ている部分)を持って引くと左右の輪が引き締まり強く結ばれることから、婚礼など長くお付き合いをする場合に使われます。
今回のような快気祝や退院祝いに使う場合は、結び切りの応用である「梅結び」などは可愛らしくて見た目にも華やかかもしれませんね。
知れば怖くない快気祝いのマナー!
病気やケガなど、不慮の事は避けて通れません。しかし「もしも」に供えておくことは大切ですよね。
今回ご紹介した快気祝いに関する事も、自分が見舞う側だった場合と見舞いを受ける側だった場合はかなり印象が異なってくることでしょう。でも、それが当たり前です。
基本は「相手に配慮をすること」、これに尽きます。ぜひ、真心を正しく伝えられるようになってくださいね♪