知っていますか「お歳暮に使うのし紙」とは?
のし紙というのは、『「のし」と「水引」がついた「掛け紙」』のことです。
え?と思った方、もしかしたら「間違えて覚えている」かもしれませんので、この機会に一度見直してみてはいかがでしょうか。お歳暮だけでなくお中元にも共通することがけっこうありますし、それ以外の場合にも覚えておくと便利なことがたくさんありますよ。
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確認しておこう「のし紙の基本」とは?
のし紙というのは複数のパーツが組み合わせられたモノ、と考えましょう。紙としては1枚なのですが、その中にはそれぞれに呼び名があり、それらを1枚に備えたものが「のし紙」と呼ばれるのです。
パーツは「水引」「熨斗」「表書き」「名入れ」です。それぞれについてみていきましょう。
■「掛け紙」とは何?
「掛け紙」、何かに掛ける紙の事です。では、「何に」掛ける紙なのでしょう?
贈答品に掛ける紙?それは包装紙のことですね。「掛け紙」というのは「のし紙の中でも『熨斗』や『水引』がついていないもの」を指します。包装紙の上に掛ける(付ける)、白い紙のことです。
つまり、「のし」があるものは「のし紙」、「のし」がない(場合によっては水引もない)ものは「掛け紙」となるのです。
■「のし紙」とは何を言うの?
熨斗のついた「掛け紙」が「のし紙」です。
先ほどの「掛け紙」との違いが理解出来たら「のし紙」の定義も理解できるかもしれませんね。のし紙と掛け紙の一番大きな違いは「用途によって使い分ける」ことです。のしというのは「慶事(おめでたいこと)」にのみ使われるという特徴があるのです。
ただし熨斗=生臭もの(なまぐさもの=生もの) を表す印でもあります。お歳暮においては肉や魚、海鮮品などを贈る場合と不幸があった先へのお歳暮は、「のし無しの掛け紙」を使うこととされています。
ギフト屋さんも知らない?!掛け紙の慶弔
慶事でも弔事でも水引の付いたのし紙や掛け紙を使いますが、意外と知らないのが、掛け紙が裏側で交差するとき、「天地に対して、掛け紙のどちら側が上に来るか」ということ。
「天地」とは字の通り、物の上下のこと。つまり、品物の上を天、下を地とした場合、掛け紙の左右どちら側を上にして掛けるか、ということです。お歳暮は慶事に含まれるので、「右上」になるように掛けるのがルールです。
詳しくは下のサイトを確認してみてくださいね。
■「熨斗(のし)」とはどの部分?
熨斗というのは、(キティちゃんを除く)画像のような色紙を六角形に折ったもの(ひし形のマーク)のことです。
本来、熨斗というのは「あわびを薄く削いで干したもの」を紙に包んだもの。画像であれば、上部に出ている黄色いめしべのようなところが本来の「熨斗」です。
「熨斗」はあわびを干して薄く伸ばすところから、伸ばしあわび→伸しあわび→のしあわび→のし、と変化したという説もあるのですよ。
■「水引」の種類と使い分け
水引には大きく2種類あります。「リボン結び(蝶結び・花結び)」と呼ばれるものと「結び切り」と呼ばれるものです。
お歳暮を贈る本来の意味を考えれば「結び切り」より「リボン結び」のほうが良いでしょう。また、水引の色は白赤(または赤金)とするのが最適です。
お歳暮を贈る意味って?
お歳暮は「1年間お世話になった人へお礼の品」です。「もらったからお返しする」のではなく、「自分がお世話になったお礼として贈るもの」と考えると良いでしょう。
お歳暮をいただいたほうは貰いっぱなしにせず返礼し、返礼をしない場合は電話やお礼状を出すなどするのがマナーです。
お中元は「夏の暑さによる体を心遣った品(夏を乗り切るために涼しくなれるもの)」を、お歳暮は「家族で楽しめる品」を贈るのが通例で、お中元よりも値段を高くする(1年のお礼のため)のが一般的です。
■「表書き」とは何を言うの?
表書きというのは水引の上に書く「タイトル(名目)のようなもの」です。お歳暮の場合の表書きは「お歳暮」ですね。
「表書き」というのは「目録が変化したもの」と言われています。つまり、これは〇〇の品ですよ、と表すためのものなのです。
自分が表書き無しの品をもらったら、「これは何のお祝いだろう?それとも何かのお礼なのかな?」って迷いますよね。
■「名入れ」とは何?
「名入れ」とは、水引の下に書き入れる氏名の事を言います。
名入れは苗字だけのこともあれば、フルネームの場合も連名の場合もありますよね。子供の内祝いの時には子供の下の名前だけを入れることもあります。
〇〇家としてのお付き合いや持参する場合であれば苗字だけを、個人のお付き合いや発送する場合はフルネームを書くことが多いようです。
■「外のし」とはどんな場合に使うの?
「外のし」というのは、品物に包装紙を掛けた上からのし紙を掛けることを言います。
そのまま紙袋や風呂敷に包んで相手方に持参する場合に多く用いられます。直接手渡しすることが前提です。略式の場合は品物に直接のし紙を掛けて届けることもあるようです。
■「内のし」とはどんな場合に使うの?
「内のし」というのは、品物にのし紙を掛けた上から包装紙を掛け、のし紙を包装紙などで覆うことを言います。
配送など、直接持参しない場合に多く用いられる方法ですが、最近では包装紙→のし紙→包み紙という3層包み構造にすることもあるようです。
実はこんなに種類がある!のし紙
お店ののし紙を使うのもいいけれど、手作りの品などであれば自分でのし紙を掛けることもあるでしょう。そんなときはコチラのサイトで印刷してみてはいかがでしょうか。
水引の本数や色、デザインタイプのものまでさまざま取り揃えられていますよ!
知っておきたい「お歳暮に使うのし紙のマナー」とは?
これまでご案内してきたように、のし紙はシーンによって使い分ける必要があります。
どんな場合にどんなのし紙が最適なのか、細かく見ていきましょう。ここからの内容はお歳暮だけでなく、お中元やお祝い、内祝いなどにも使える事が多いので、知っておくとオトクですよ!
■使う「水引」の種類とは
「水引」の色と種類については、「お歳暮はどんな状況で贈るのか」を考えるとわかりやすいですよ。
慶事・弔事の区別→お礼品はお祝い事に分類なので水引は白赤か赤金
熨斗→お祝い事なので熨斗あり。(自分や相手に不幸があった場合は無しにする)
結び方→お礼なので毎年繰り返し贈ることからリボン結び(蝶結び・花結び)。リボン結びの理由は来年もお歳暮を贈ることができますように、という願いも掛けられているためと言われています。
本数 → 左右各5本ずつが基本とされ、より丁寧な7本と、より簡易な3本のタイプがあります。
以上のことから、「熨斗あり・5本タイプ・白赤・リボン結びの水引」を使うのが良いと考えられます。
■「熨斗(のし)」をつけてはいけない品物とは
お歳暮に贈る品で、熨斗つきののし紙を使ってはいけない品物があります。
それは「生もの」。「生臭もの(なまぐさもの)」とも呼ばれるもので、鮮魚・お肉・生の海産品などや酒の肴になるもの(荒巻鮭やイクラなどの魚卵)がこれに当たります。
熨斗というのは「縁起物」とういう意味のほかに「生もの(あわびは海鮮であることから)」という意味もあります。そのため、中身が生ものの場合は熨斗の付かない掛け紙を使い、開封前に中身を知らせる意味もあるのです。
■贈る相手や自分が喪中の場合に使う「のし紙」とは
自分や相手にご不幸がある場合のお歳暮の「のし紙」は「掛け紙」を使います。
年賀状と違い、喪中でもお歳暮は出すことが可能です。その場合、(喪中はお祝い事を控えるべきものなので)中身が生ものでなくても熨斗をつけないのが決まりです。
そしてもうひとつ、喪中の掛け紙は「水引を付けない」というルールもあります。
簡易包装となりますが、水引不要の「短冊タイプ」を使うのも1つの手ですよ。
■表書きや名入れに使う筆記用具と書体とは
印刷の「のし紙」であれば、表書きや名入れをした状態で印刷されることも多いので、あまり気にしない方もいらっしゃるかもしれません。
表書きや名入れを自筆する場合、正式には筆と墨で書きます。それに準じるのが筆ペンで、略式になりますがサインペンも可と言われています。イメージとして、「筆圧の強弱がわかる(文字の太さの変化がわかる)筆記具」であると良いでしょう。
書体は誰でも読みやすい楷書体がオススメです。
押さえておきたい「お歳暮の表書き」とは?
お歳暮は、贈る時期によって表書きが変化することをご存知でしょうか。
意外に知らない「表書き」についてご紹介しますので、全部知っているか確認してみましょう。もし知らなければ、この機会に覚えてくださいね♪
■基本の「表書き」とは
基本の表書きは「お歳暮」です。これは皆さんがご存知でしょう。
お歳暮の「お」を「御」とするか「お」とするかによって表書きの印象が少しだけ変わるので、そういったところにこだわる方もいらっしゃるようです。
ひらがなのほうが柔らかい印象になるので目上の方に贈るのであれば「御」を、それ以外の方に贈るのであれば「お」と使い分けても良いかもしれません。
■やむを得ず年が明けて贈る場合の「表書き」とは
お歳暮を贈る時期に間に合わなかった、という場合は表書きが変わります。お歳暮は12/20頃までに届くように贈るものですので、お歳暮の時期と、時期を過ぎてしまった場合をご紹介しますね。
12/上旬~12/20 → お歳暮・御歳暮
12/21~年末 → 寒中お見舞い
お正月(1/1~1/7) → 御年賀
1/8~2/4(立春) → 寒中お見舞い
立春を過ぎてしまったらもはやお歳暮ではなくなりますのでご注意を。
押さえておきたい「お歳暮の名入れの書き方」とは?
名入れをするとき、「あれ?」と思ったことはありませんか。
苗字だけ書き入れたり、姓名(フルネーム)を書き入れたりと状況によって使い分けることもあるので、「このときはどうするんだっけ?」となることも多いでしょう。
そんな「?」となる場合をみてみましょう。
■お歳暮を「1人」で贈る場合の名入れの書き方
1人で贈る場合は、苗字あるいは氏名を中央に書き入れます。
〇〇家として贈る場合や目下の人に贈る場合は苗字だけ、目上の人に贈る場合はフルネームを記入することが多いでしょう。名前の上下に同じくらいのスペースがあり、最初の文字から最後の文字までの余白が等間隔になるようにするとバランスがとりやすくなります。
■お歳暮を「2人」で贈る場合の名入れの書き方
中央よりも右に目上の人の名前を、中央よりも左に目下の人の名前を書きます。
字のバランスのとり方は1人で贈る場合と同じです。夫婦の連名にする場合は、右側に書かれる名前の方はフルネームで、左側に書かれる名前の方は苗字を省略して下の名前だけを書くケースもあります。
■お歳暮を「3人以上」で贈る場合の名入れの書き方
3人以上で贈る場合は、中央に年長者の名前を書き、中央から左に序列します。左側に名前が来るほど目下の人になります。
友人など序列のない場合は50音順に中央(右側)から名前を書いてくださいね。
3人以上の大人数で贈る場合は、代表者の氏名と、その左側に「外一同」とします。連名は3名までしか名前を連ねないというルールがあるためです。
■「会社名や住所」を入れたい時の名入れの書き方とは
会社の代表としてお歳暮を贈る場合、「〇〇株式会社」などの社名や住所は、名前の右側に。名前よりも小さめにしましょう。
メインは「誰が」です。社名や住所は人を示すものではないので控えめに書くようにしましょう。企業として贈る場合は企業名がメインになりますので、住所だけを小さめに。
■「名刺を貼る」場合の名刺の貼り方
住所や氏名を書かず、名刺を直接添付して送る場合は中央に貼り付けます。
しかし、本来は氏名を書き入れるものなので名刺は略式と捉えられがち。そのため中央ではなく少しずらした位置に貼り付けることもあります。
改まった場合は、氏名を書き入れた上で名刺を貼るほうが良いでしょう。
■贈る「相手の名前」を入れたい時の書き方とは
贈る相手の名前を書き入れる場合は、表書きの左端に、表書きよりも小さめの文字で記入しましょう。
1行で相手の名前だけを書き入れる場合よりも、2行にして企業名と相手の名前を書き入れるスタイルのほうがよく見かけるかもしれません。2行にする場合は、企業名は相手の名前よりもさらに小さめにしましょう。
複数の人数で名入れをする場合のサンプルがありますので、参考にしてみてくださいね。
これでお歳暮マナーは完璧!
ここまで出来れば、もうお歳暮のマナーについて心配することはないでしょう。
どんな場合においてもTOPというのはあります。「なんとなく」やっている慣習も、実は深い意味があるのだということがご理解いただけたのではないかと思います。
これであなたはお歳暮マナーで失敗することはないはずです。自信をもってお歳暮を出しましょう!