結納は結婚前の「けじめ」の儀式
華やかな結婚式とはまた違う雰囲気がある結納。「堅苦しそう」「よくわからない」となにやら難しいような儀式に聞こえますね。
結納に限らず結婚を見てみても、「写真だけの結婚式」や「事実婚」など今となってはいろいろなスタイルの結婚があり、時代が変わってきたことを感じることがあります。
結納も時代の流れを受けてきたかというと、逆に結納はきっちりとした儀式で、結婚を約束しあう大切な儀式であることには変わりありません。
結納が堅苦しく感じるという声が多いのは、その時代の流れを感じさせない厳(おごそ)かな雰囲気から来ているのですね。
今回は「結納を詳しく知りたい」「結納を知らなかった」という方でも結納についてちゃんと理解できるように、結納のあれこれを紹介していきます。
これを読めば、結納に秘められた意味を知ることができ、あなたの結納観にも変化がみられるかも。では早速、見ていきましょう。
結納とは?その意味もリサーチ♪
結納を知るためにも、まず結納とはどのような儀式なのか、ざっくりと見ていきましょう。
プロポーズとも結婚とも違う結納。地域によって風習の違いがあったり、現代の結納事情はどうなのかなど、初めて耳にする情報がありそうですね。
■婚約したことを公のものにする儀式
結婚を約束するという意味では、プロポーズがあります。でもプロポーズは儀式的なものというよりは、どちらかというと「結婚してください!」と意思表示をするものという感覚が強いもの。
結納は、プロポーズのように意思表示だけでなく、結婚の約束を公にするために行う儀式で、結納を行うことで婚約を確かなものにします。
儀式である以上、形式ばったこともありますが、逆にこうした儀式を行うことで2人の結婚に対する気持ちもしっかりと固まります。
■両家の結びつきを祝い、贈り物を納め合うもの
結納では、贈り物を納めあうことも儀式の一部です。結納品が贈り物となりますが、9品目や7品目など2で割れない数字の品数を用意します。
9品目だと、目録(もくろく)・長熨斗(ながのし)・金包包(きんぽうづつみ)・勝男武士(かつおぶし)・寿留女(するめ)・子生婦(こんぶ)・友白髪(ともしらが)・末広(すえひろ)・家内喜多留(やなぎだる)です。
縁起物が選ばれ、長寿や子宝などの願いが込められています。
■地域により結納の風習は様々
地域や家によって風習が違う場合もあるのが結納の特徴。そのため結納のときは、両家で相談を重ねて話を進めることが重要になります。
地域差で考えると、関東式と関西式があり、先に紹介した結納品もその地域によって違いがあります。
結納は地域や家系など、その家その家の手順があるため、結納では親の果たす役割も大きなものとなります。
■現代では結納は減少傾向に
結納には色々な願いや意味が込められていますが、現代では結納を行うという方は減少傾向に。
その理由には、やはり「堅苦しさ」「手間」など結納では避けることができない儀式的なやり取りが面倒だという方が多く見られます。
結納そのものの存在を知らなかったという方もおり、結納をしたという方はこれからは珍しくなってくる時代になってきました。
一方で結納をしたという方の声を聴くと、「けじめがついた」「親が満足してくれた」「しきたりを大切にできた」など、初めは乗り気ではなかったけれど結納を行った後はむしろやって良かった、安心したという感想が聞かれます。
減少傾向にあるといえども、結納が果たす役割というのは変わらないもの。結納の意義を、再確認したいですね。
結納の歴史を調査
結納の始まりはどのくらい昔からなのでしょうか。結納の歴史を知れば、結納がなぜ大切にされてきたかを理解することに役立ちます。
結納の歴史をのぞいてみましょう。
■日本の結納の起源は「仁徳天皇」にあり!
結納の起源は5世紀までにさかのぼります。仁徳(にんとく)天皇の皇太子が黒媛(くろひめ)を妃(きさき)に迎えるときに贈り物をしたことが始まりとされています。
その後は、宮中儀式として受け継がれてきました。
■庶民が結納を行うようになったのは「明治時代」
宮中儀式でもあった結納が私たち庶民に広まったのはいつ頃でしょうか。明治時代にはすっかり定着したようで、小笠原流や伊勢流など礼法として体系化されてきました。
結納は「納采の儀(のうさいのぎ)」が元ですが、民間で行われている結納はこの略式ということになります。
諸説あり♪ 結納の語源をチェック!
結納の語源ですが、こちらは諸説あり。
3つの説を紹介しますが、どれも納得してしまいそうなくらい説得力があるので「どれが本当なの!」となってしまいそう。3つの説ですが、1番有力な説は実は…
どんどん読み進めて、確認してみましょう。
■男性が酒や肴を持ち寄って婚礼の申し入れをする「結いのもの」説
結納に使う酒や肴(さかな)を「結いのもの」といいます。それがなまって「ゆいのもの」から「ゆいもの」「ゆいのう」と変わっていったのではというのが、一説あります。
■婚礼の申し込み「言い入れ」の語形変化説
結婚を申し込むことを、「言納(いいいれ)」ともいいますが、こちらもなまったものが「ゆいのう」と読めることから結納の由来になったのではといわれています。
■中国の「六礼」説
中国では紀元前から婚姻の規定があり、六礼(りくれい)といわれ6段階の婚礼手続きが取られていました。これは長く伝統とされ、日本にもこの六礼が伝わり、婚姻の儀式に取り入れられるようになりました。
六礼の中でも納采(のうさい)は男性側が求婚をすることですが、この言葉、どこかで出てきましたよね。そう、宮中儀式でも「納采の儀」があったと紹介しましたが、結納は六礼から来ているといっても過言ではありません。
3つの説を紹介しましたが、この六礼説が一番信ぴょう性が高いといわれています。
結納のあれこれ♪
結納といっても、現代の風潮に合わせたスタイルも増えてきています。なかにはインターネットを活用した結納も。
結納の服装や、結納返しについても紹介します。結納の豆知識をご覧ください。
■「結納式」よりもカジュアルな「顔合わせ食事会」が今の主流
「結納も良いけれど、もう少しカジュアルさがほしい」ということで最近人気なのが「顔合わせ食事会」。
結納と同じ点は、時期や主席者といったところ。やはり気楽さや費用負担が少なくて済むという点が、メリットとしてあります。
デメリットして、結納ほどの決まりがないため中途半端になってしまったりすることなどがあるため、結納の方がちゃんとしていて落ち着くという方も。
■インターネットで申し込める「結納セット」は大活躍間違いなし!
結納品は9品目もあり、また関東式や関西式もあるなど地域によって違いがあることも悩みどころ。ですが、だいたいどのような結納品が良いかが決まったらインターネットで結納セットを申し込んでみるのも1つの手です。
関東式や関西式を始め、九州式や略式などニーズにマッチする結納セットがたくさん。インターネットを利用しない手はありません。
■結納の服装は両家で事前に打ち合わせを
服装は男性はスーツ、女性は和服やワンピースが良いです。親の場合は、父親がスーツで母親が留袖(とめそで)といった感じです。
ここで大切なのは、親の服装の格をそろえるということです。何を着ていくかも重要ですが、それ以上に前もって話し合って親の服装に差が出ないようにしましょう。
■結納金は嫁ぐ際の「支度金」の意味合い
今では結納金なしというかたちも増えてきましたが、結納金は支度金という意味合いも。
結納は、家と家との結びつきを強くするという儀式でもあります。結納金をどのように使うかは、両親と相談するという方も多いですよ。
■結納金の平均相場は100万円
気になる結納金の相場ですが、100万円がきりの良い金額でこの金額が相場です。
次に多いのが50万円という金額。中には300万円を出した方もいるようですが、こちらはごく少数です。
■地域によっては「結納返し」の風習も!
結納を贈られたお返しとして、「結納返し」というものがあります。スーツや時計などが現代では結納返しとして呼ばれていますが、正式な結納返しが気になりますね。
結納品と似たようなかたちで、目録(もくろく)や家内喜多留(やなぎだる)を贈りますが、結納品よりも控えめの金額にするのがポイント。
結納の意味や歴史を理解することは大切♪
結婚ともプロポーズとも全然違う結納。日本の良き伝統ではありますが、最近では減少傾向に。結納の本来の意味を知れば、人と人とのつながりが希薄(きはく)といわれている現代でもその意義がしっかりとしたものに見えてきます。
結婚の約束をする結納ですが、この儀式を行うことで2人の気持ちも固まり幸せのスタートにもなるかもしれませんね。