オーダーメイドスーツをもっと身近に
「オーダーメイドでスーツを作ることには、かなり敷居が高いイメージがあると思います。それをもっと手軽に、身近に感じてもらいたいと思ってスタートしたのが『スマートオーダー』です」そう語る、FABRIC TOKYOの谷崎拓哉さん。
「スマートオーダー」は、FABRIC TOKYOのオンラインによる発注システム。採寸で得たデータをクラウドで管理、ユーザーはインターネットを通して24時間オーダーメイドスーツの注文ができる。
時間の制約を受けないので、仕事から帰って夜間に注文するユーザーも多い。また自分のサイズを登録してあることから、2着目以降の注文も手軽にでき、リピート率も高いという。
「スマートオーダー」では、まず東京・横浜に6店舗あるFABRIC TOKYOの実店舗に足を運び、専門のコーディネーターに採寸をしてもらう。
採寸では体型・サイズなどのデータの他、シルエットをきれいに見せるための補正、好みのフィット感なども記録される。
FABRIC TOKYOの面白いところは、採寸しても商品を購入しなくていい点だ。それを象徴するように店舗にはレジがない。
「やっぱりスーツを作ろう!」そう思ったときに、オンラインで注文すればいい。オーダーメイドできるのは、スーツ以外にジャケット、パンツ、シャツ、ネクタイ。納期はスーツの場合、4〜5週間、価格は3万円台からと既製品と変わらないところも魅力である。
またオーダーメイドをサプライズに変えるサービスもある。スーツのギフトカードだ。こちらは夫婦の記念日などに妻から夫へのプレゼントとして、またフレッシャーズの就職祝いなどに活用されている。
オーダーメイドスーツをECで決済するという、利便性の高い仕組みを提供したFABRIC TOKYO。しかし同社の強みは、スーツを作製するときにこそ発揮される。そこには同社ならではの理念があるのだ。
一人一人のライフスタイルをカタチにする
FABRIC TOKYOは2014年に創業し、話題&実力共に急成長中の会社である。社長の森雄一郎氏は32歳、60名ほどの従業員の平均年齢も若い。
同社が活動の理念としているのは「誰もが自分らしいライフスタイルを自由にデザインできる」こと。さらに「それを実現するオープンな社会を作る」こと。その2つのビジョンを元に運営されている。
FABRIC TOKYOという社名には「ダイバーシティ(多様性)を構築する」という意味合いがあり、同社は多様な人に向けてサービスを発信することを心がけている。
社長の森氏は、20代にバックパッカーとして世界40か国を歩いたという。
これは憶測にすぎないが、森社長は広く世界を歩くことによって、“人はそれぞれ違う”ということを実感し、“それぞれのカタチにフィットした服”を作ろう、そう構想したのかもしれない。
既製品のスーツは、既にある形の中に自分を押し込める。それに対してFABRIC TOKYOは、のびのびと自分らしく生活するユーザーに添う服を提案する。ブランドコンセプトである、「Fit your life」を実践しているのだ。
■お客様のライフスタイルに合わせた生地選びを目指して
採寸のためにFABRIC TOKYOの実店舗を訪れたユーザーは、まずカウンターでコーディネーターと打ち合わせをする。
作りたいスーツのイメージ、職業、ワーキングスタイル、そしてオフの生活までも含めたライフスタイルを伝える。 そこから先はコーディネーターとの共同作業だ。
コーディネーターからは、ライフスタイルに合わせて、より“自分らしさ”を表現できる生地・デザインがアドバイスされる。
「スーツは仕事の現場で着用することが多い。だから生地選びは重要なポイントだ。」前出、谷崎氏は語る。
「たとえばリュックを背負って自転車で通勤するという方の場合、生地がこすれて傷みやすくなります。ですから通常の14倍の強度があるコンバットウールをおすすめします。
また出張が多い方にはシワになりにくい生地を、さらにほぼデスクワークという方には、まるで“部屋着”のようにリラックスできる生地を提案します」
また、FABRIC TOKYO銀座には、さまざまな生地のパターンを展示したFabric Wallがある。ホワイトを基調とした店内に、ポップなアクセントとなっている100角以上のキューブは、触って感触を確かめられる「布見本」の壁だ。
生地感や色柄に直接触れることができるため、オーダースーツをより身近に感じることができる。
また、キューブの裏面のQRコードを読み取ることで、スマホからすぐに生地のデータを見ることができ、お気に入りの登録することも可能だ。
生地選びの段階からスマート体験ができるのも、FABRIC TOKYOの魅力の一つである。
国内生産にこだわる、高機能で高品質生地づくり
FABRIC TOKYOでは、品質の高い生地をつくることにこだわりを持つ。 原料のウールやコットンを吟味を重ねて選び、連携する国内メーカーの工場で丁寧に布にする。
バラエティ豊富な生地は、2つのLINEUPに分けられている。BASIC LINEUPとORIGINAL LINEUPだ。
BASIC LINEUPは、いわば定番ともいえるスーツ生地。 ウール100パーセントのベーシックなウールから、ポリエステルをブレンドした耐久性・ストレッチ性の高いウール、さらに高級感あるヨーロッパの生地 などが揃っている。
生地の色選びも豊富。黒・グレー・チャコールなどの他に、明るいブルーやベージュなども選べる。また柄も無地だけでなく、ストライプやチェックも選択できる。
そして 同社の個性をより際立たせるのは、ORIGINAL LINEUPだ。 これは、テクノロジーによって高機能を持たせた生地やストーリー性を備えた生地のシリーズ。
タバコの煙をブロックする抗菌防臭機能付きの「煙ブロックスーツ」、さらにNASAの技術を援用した「Outlast」。こちらは寒暖の差にきめ細かく対応する生地である。
宇宙服に使用されるマイクロカプセルが生地内に埋め込まれ、暑い環境では溶け寒いときには固まり、一年中快適な体感温度をキープできる。
またユニークなのは、“土に還るスーツ”だろう。ORIGINAL LINEUPには、「ボタニカルダイ」という草木染めを施した生地がある。ブルーベリーとログウッドから抽出した天然染料を最新の化学染料と合わせて染色すると、生地の色合いには天然の深みが出る。
このスーツは、役目を終えたあと土壌に同化できる。まさに自然環境に適合するロハスな素材なのだ。
さらに、日本のものづくりの高度な伝統技術によって生まれたのが「水の都」。この生地は、半世紀前に製造された「ションヘル」という織機で織られている。織機は今は製造されておらず、高い技術が必要とされるため熟練工にしか扱えない。
FABRIC TOKYOでは、ションヘルを扱える数少ない職人、山内和義氏の手によって生地をつくる。ションヘルで織った生地はゆったりと空気をふくみ、手織りに近い柔らかい風合いを持っている。
こうした日本の高度な手ワザから生まれた素材もまた、スーツ作りのオプションのひとつなのである。
製造メーカーとのパートナーシップ
スーツを作るにあたって、FABRIC TOKYOでは国内生産にこだわっている。そして確かな製造技術を持つ三つのメーカーと連携してものづくりを行う。
「三甲テキスタイル」「オリジナルテクノロジー青森」「オリジナルテクノロジー新潟」がそのパートナーだ。
岐阜県にある「三甲テキスタイル」は、百年の歴史を持つ生地製造メーカー。原料から糸への加工、さらに布に織り上げるまでを担当している。ションヘルで織られた生地「水の都」も三甲テキスタイルの手によるものだ。
さらに「オリジナルテクノロジー青森」はスーツの縫製メーカー、「オリジナルテクノロジー新潟」はシャツを縫製するメーカーである。
三つのメーカーとFABRIC TOKYOは、綿密な打ち合わせを重ねて製品を仕上げる。「布の織り方を変えてみたらどうだろう」など、新しいアイデアにもメーカーは柔軟に対応する。
FABRIC TOKYOが高品質なスーツを適正価格で販売できるのは、原料の加工から完成品までの間に中間流通業者を挟まないからだ。
流れを一本化することによってコストを省いている。またそこには別のメリットもある。メーカーとの連携が密になり、仕事をしながら信頼関係を深めてゆけるのだ。
森社長が心がけているのは、下請けを決して“買い叩かない”こと。 「それでは良いものづくりはできない。私たちはお客様のデータをお預かりしています。スーツの事業を望ましい形で継続してゆくことが使命なのです」
事業展開にあたって同社では、サステナビリティというキーワードにこだわるという。つねに持続可能社会へ向けて先進的な取組みを行うアパレル企業でありたいと考えている。
その試みの一環として、 2017年、同社は国内ビジネスウェア業界で初めてフェアトレードの認証ライセンスを取得した。2018年5月には、インドのコットンを使用したシャツが販売される。
スーツを着る人、作る人、そして販売する人。三者がよりよい形で共生し、活性化してゆくことをめざすFABRIC TOKYO。その事業は、さらにのびのびとフィールドを広げてゆく。
FABRIC TOKYOスタッフの想い
■FABRIC TOKYO CXMチーム 谷崎拓哉さん
自分らしい新たなスタイルの発見と感動のお手伝いを
たとえば私の場合なら肩が大きくて手が長いというように、一人一人の体型には個性というか難点があります。でも無理して既製品のスーツに体を合わせているケースが多いんですね。
いっぽう、ジャストサイズに作られたスーツは、とても着心地がいいものです。オーダーしたお客様が完成品を身につけて感動していらっしゃるのを見ると、私たちも嬉しくなります。
スーツ作製にあたっては、生地やデザインだけでなく着こなしもアドバイスさせていただくので、新たに自分に似合うスタイルを発見されるお客様も多いですね。
うちで作ったスーツを着用され、お客様が働きやすくなったと感じられ、暮らしの中で自分らしく活用されるお手伝いができればいいですね。
当社はスピード感のある会社。成長スピードもとても速く、私自身も日々働きがいを感じています。
■FABRIC TOKYO コーディネーター 平山浩次さん
1着のスーツ作りから生まれるご縁を大切に
コーディネーターという仕事には、お客様と一緒に1着のスーツを作り上げていく喜びがあります。
職業や用途に合ったスーツ選び、シーンに合う着こなし方など、プロの目でアドバイスできることは沢山あるんです。
お客様のお役に立てたときは、やはりやりがいを感じますね。 最初の1着だけでなく、2着目を作るときも、実際に生地を見て私と話をしてから決めたいと、来店して下さるお客様もあるんです。
こうしてスーツを通してご縁が続いていくのが嬉しいですね。
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