箱を開ける瞬間も、贈り物。── ライオンハート30周年、ギフトパッケージ刷新の裏側

「贈る」という行為には、言葉では伝えきれない想いが宿っています。「常に変化を恐れず 新たな価値観をシェアし続ける」アクセサリーブランド・ライオンハートはこれまで、多くのギフトシーンを彩り続けてきました。そして今年、ギフトパッケージのリニューアルを実施。1996年の創業から30年の節目に、「新たなギフトの形」を再構築する一手です。今回は、リニューアルプロジェクトの中心を担った統括部長・EC課長の藤原勇気さん、EC課の加藤智子さんに、パッケージに込めた想いから「これからのギフト」観まで伺いました。 

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〈プロフィール〉

株式会社ライオンハート 統括部長・EC課長
藤原 勇気(ふじわら・ゆうき)

株式会社ライオンハートにて、ECを中心としたブランド戦略全般を統括。今回の30周年プロジェクトにおいては、ギフトパッケージ刷新を含むプロジェクト全体の指揮を執る。店頭での販売業務を経験後、Eコマースの商品企画・開発・広報を担当の後、現職(写真右)

株式会社ライオンハート EC課
加藤 智子(かとう・ともこ)

株式会社ライオンハート EC課所属。30周年を機に実施されたギフトパッケージのリニューアルプロジェクトにおいて、デザインコンセプトの企画から実装までを一貫して牽引する。個人的には「じっくり時間をかけて選んだギフトを贈るのが好き」(写真左)

30年の節目に「ギフト」と向き合う理由

――30周年という大きな節目に、「ギフト」にフォーカスした理由からまず伺えますでしょうか。

藤原勇気さん(以下、藤原):理由は大きく3つあります。まず「原点回帰」です。僕自身、元々アクセサリーが「誰かに贈る」「想いを形にする」性質が強いものだと思っていて。アクセサリーそのものに、ギフトとしての普遍的かつ根源的な価値があるのだと、改めて回帰したところがあります。

次に「顧客の広がり」。30年続いてきたブランドを、初期のお客様だけでなく次の世代にも届けていく必要があります。ギフトは「自分用」のアイテムと比べて裾野が広く、ゆえに新たな出会いの起点となり、顧客を増やすポテンシャルを持っています。

そして「市場の変化への対応」。最近は何を買うかより、「誰に」「どの場面で贈るか」。ブランドに求められるトレンドとしても、「ギフト」の需要が明確になってきました。

「原点回帰」「顧客の広がり」「市場の変化への対応」――。これら3つを同時に実現できる打ち手こそがギフト体験のリニューアルであると、確信して進めてきました。

加藤智子さん(以下、加藤):昔と比べて、今アクセサリーはプチプラかつデザインのバリエーションが豊富なものが増えました。それでも、やはりアクセサリーは「大切な人への贈り物」。特別な存在だと思っています。この節目に、ギフトとしての満足度をさらに高めるべきタイミングだと感じました。

――30年という歩みの中で、改めて今、ライオンハートが大切にされている「贈り物の価値」とは何でしょうか?

藤原:贈り物は、受け取った瞬間に嬉しくなるものですよね。でもそれ以上に、誰かのことを思い浮かべながら選ぶ時間そのものにも、価値があります。

私たちも日々、店頭やECでそうした場面に立ち会う中で、渡す方と受け取る方、両方の笑顔が自然と浮かんできて、そのたびにうれしくなります。30年という時間の中で変わらず大切にしてきたのは、そんな小さな「うれしさ」の積み重ねなのかもしれません。

加藤:「人と人との絆」だと思います。誰かを想う気持ちを伝え合う手段として、贈り物はとても素敵なもの。身近な人にも遠方の人にも、想いを伝え合うよろこびを感じてほしいです。

30年で変わったこと、変わらなかったこと

――この30年で、お客様のギフトの選び方や贈る相手は、どのように変化したと感じますか?

藤原:贈る相手の幅が大きく広がりました。30年前は恋人、パートナー、家族など、身近な関係の中で特別な日を祝うものが中心でしたが、今は友人へのフランクな贈り物、職場の人への軽いギフト、推しや自分自身へのギフトなど、関係性のグラデーションに合わせた贈り方が増えています。

選び方にも変化があります。以前は価格帯やブランド・素材といった軸で選ばれていたのが、今は「その人らしいか」「シーンに合っているか」など、ちょうど良い意味合いを探すような選び方が増えてきました。情報が豊富なため、「正解」より「選んだ理由」にこだわる傾向も強くなっています。

また、若いお客様が増えており、話を聞いてみると「失敗したくない」とおっしゃる方が多いですね。

加藤:贈る相手も、家族やパートナーだけでなく友人や推し活など多様化しており、「大切な人」の定義がずいぶんと広がったのではないでしょうか。加えて、SNSの普及が大きく影響していると思います。

SNSやWebサイトで事前に調べて「これを買おう」と決めて選ぶスタイルが定着し、そのままECで購入する方もいれば、じっくり調べたうえで店舗に足を運ぶ方もいらっしゃいます。

――実際に、これまでの接客や、お客様からの声の中から「ギフトのあり方が変わった」と実感した象徴的な出来事はありますか?

藤原:大きく感じる変化のひとつは、バレンタインデーのギフト需要が減ったことです。かつては「贈る」イベントの定番でしたが、需要が少しずつ変わってきました。

一方、入学祝いや卒業祝いなどに贈るギフトは増えている印象があります。少子高齢化の影響もあると思いますが、一人ひとりの節目をより大切にする流れが強まっているのかもしれません。イベントに紐づいたギフトから、その人の人生や関係性に寄り添うギフトへ。そんな変化を、店頭での接客を通じて実感しています。

加藤:「推し活」が象徴的だと思います。お客様のアンケートでも、「推しが着けていたからお揃いで」「イベントに参加する際、推しへのギフトに」という声が増えています。近年、アーティストや声優の方々とのコラボレーションもさせていただくようになり、より実感しています。

――そうした変化の一方で、「これだけは守り続けてきた」ブランドのこだわりを教えてください。

藤原:30年でトレンドは大きく変わりましたが、「きちんといいものを贈りたい」想いは変わっていません。だからこそ、商品そのもののクオリティはもちろん、手に取った瞬間や箱を開けたときの体験まで含めて、「贈り物としてどう届くか」を大切にしてきました。

ただ渡すだけでなく、相手を想う気持ちがきちんと届くように。そのための細部へのこだわりは、これからも変わりません。

加藤: いい意味で「守り」に入りすぎないのがこだわりかもしれません。つまり、時代のトレンドを取り入れたアクセサリーを提供しているところがライオンハートらしさだと思っています。

変化を恐れず、お客様が求める商品性やデザインをつくり出し続ける姿勢こそが私たちのアイデンティティであり、30年間積み上げてきた「ものづくりへのこだわり」にもつながっています。

ギフトパッケージ、刷新の舞台裏

――今回のプロジェクトの核心に迫りたいのですが、6月のパッケージリニューアルに至った背景を聞かせてください。

藤原:30周年という節目に改めて、ギフトを見直したことがきっかけです。ここ数年でお客様の選び方や贈る相手が変わり、より日常的に、さまざまな関係性の中でギフトが選ばれるようになりました。

商品だけでなく、手に取った瞬間や開けるときの印象まで含めて贈り物だと考えると、パッケージが担う役割はこれまで以上に大きい。ブランドとしての「ギフト体験」をより一貫したものにするために、今回の刷新に至りました。

加藤:レビューやアンケートからさまざまな声をいただき、ギフトとしての満足度をさらに高めたいと考えたとき、商品を包むパッケージのデザインにこだわり、魅力的なものにすることで、ライオンハートらしい「感動体験」をお届けできると感じました。

――実際にお持ちいただきましたが、すごく高級感がありますよね。新たなパッケージに込めたテーマやコンセプトは何でしょうか?

加藤:テーマは「インダストリアル・ミニマル」です。無駄を削ぎ落とした機能美と建築的な雰囲気を組み合わせた、洗練された都会的なデザインをコンセプトにしています。

アクセサリーの光沢を引き立てるライトグレーをメインカラーとし、無機質な素材とあたたかみのある布素材をハイブリッドで使用。エンボスや箔などのアクセントも施し、視覚的な美しさだけでなく、質感や手触りの上質さにもこだわりました。受け取った時、率直に「素敵」と感じていただけたら何よりです。

藤原:受け取る体験ごと、うれしさを感じてもらえるギフトにしたいと思っています。肩肘張らず手に取れて、それでいてきちんと特別感がある。贈る側の気持ちも、受け取る側の気持ちも、やさしく後押しできるようなギフトでありたいとの想いを込めました。

ペア・ジェンダーレスという新しいギフトのかたち

――近年注目が高まっている、ペアアクセサリーやジェンダーレスデザインについてもお聞かせください。ライオンハートではどのような考え方で展開していますか?

藤原:ECサイトでも「お揃いで購入しました」とのレビューは多く、完全に同じものを身につけるというより、「同一ブランドで揃える」流行を感じています。

ペアやジェンダーレスという考え方も、無理に境界をなくすというよりは、それぞれのスタイルや関係性の中で自然に選ばれていくものだという感覚が近いです。だからこそ、同じものを持つことだけでなく、「同じ価値観を共有できる」ことに意味が生まれるようなデザインと品揃えを意識しています。

加藤:最近は「同じデザイン」だけでなく、「アイテムは違っても同じブランドで」という揃え方も増えてきました。もし、アイテムそのものよりもブランドで選んでいただけているとしたら、とてもうれしいことです。

最近は、開発においてもサイズ感やデザインでジェンダーレスの概念を大切にしています。今後も、より多くのお客様に楽しんでいただけるような展開を続けていきたいです。

――ペアで選ばれる、意外と多い組み合わせや人気の傾向はありますか?

藤原:ネックレスやリングが定番ですが、最近はピアスを選ばれる方も増えてきました。また、まったく同じアイテムを揃えるというよりも、同じコレクションやシリーズの中で組み合わせるケースが多いのも特徴的です。

たとえばアイコニックなシリーズ「LEO(レオ)」の中で、片方はピアス、もう片方はリングというように、それぞれのスタイルに合わせながら統一感を持たせる「リンクコーデ」が人気です。完全にお揃いよりも、「さりげなく揃っている」くらいのバランスが、今らしいのかもしれませんね。

30周年の先に見える、「これからのギフト」

――30周年を迎えた今、ギフトを通じてこれからどんなブランドでありたいですか?

藤原:特別な日だけでなく、日常の中でも自然と選んでもらえるブランドでありたいと思っています。

ギフトの形や贈る相手が多様化している今、誰かを想う気持ちに「ちょうどよく」寄り添える存在でいたい。大げさなものじゃなくても、もらったときに少しうれしくなったり、贈る時間そのものが思い出として残ったりするようなブランドであり続けたいです。

ものを届けるだけでなく、その背景にある関係性や時間まで含めて、価値を届けていけることが理想です。

加藤:30年積み上げてきたブランドへの信頼に、これからもお応えできるよう、クオリティの高いものづくりとギフト提案を続けていきたいです。贈り物を考えたとき、「ライオンハートはどうだろう」と、ふと思い浮かべてもらえるブランドになりたいと思っています。

――最後に、大切な人に何を贈ろうか迷っている読者へ、一言アドバイスをお願いします。

加藤:私自身、ギフト選びはとても好きなのですが、時間がかかるタイプです(笑)。基本的には相手の好きなもの、ファッション・暮らしに合いそうなものを想像しながら選びます。

想像力を働かせるのは大変ですが、選んだ理由を相手に話すといい思い出になることも。「自分では買わなさそうなもの」を贈るのも、新しい世界が広がって素敵です。あまり気負わず、直感を信じて選んでみるのもいいと思いますよ。

藤原:あまり難しく考えすぎず、「渡したら喜んでくれそうだな」という気持ちを大切に選んでみてください。相手の表情を思い浮かべながら。その想いが相手にきちんと届くよう、私たちもしっかりお手伝いできればと思います。

撮影:ikuko
取材・文:渡辺 和希

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